骨再生法(GBR法)

適切な状態で植立してこそインプラントの長期安定が望めるのです。

適切な状態で植立してこそインプラントの長期安定が望めるのです。
インプラントを行うにあたり、インプラントを植立するための骨幅や骨の高さがない場合、そのままの状態でインプラントを行うと成功率は非常に低くなります。適切な状態で植立してこそインプラントの長期安定が望めるのです。
GBR法とはインプラントを行うにあたり、骨の幅や高さがない時に、骨を再生させる方法です。
術式としては2つの方法があります。一つはインプラントを植立する前に骨の増大をはかる方法です。これはインプラントの前準備としてのGBR法です。まず、歯肉の中に骨の再生を促す特殊な膜を入れます。(図1参考)状態によって異なりますが、4~8ヶ月間骨が成熟するのを待ちます。その後、膜を除去するとインプラントに適した骨が膜の下に再生しています。そこで初めてインプラントの植立を行います。この方法は治療期間が長くなりますが、もともと大きく骨の幅がない人などはこのGBR法を行ってからインプラントを行う必要性があります。無理な状態でインプラントを行ったとしても長期的な安定は期待できません。今後のことを考えれば確実な選択といえます。
次にインプラントと同時にGBR法を行う方法です。
これはインプラントを行うには骨が少ないが(骨幅に問題があるが)、術前GBR法をしなくても大丈夫な場合に適応します。インプラントを植立すると同時にGBR 膜を併用します。3~6ヶ月後に膜を除去し、後は上部構造を作製するだけです。(図2参考)
当医院ではこうしたGBR法に対し2種類の膜を使用します。
一つは吸収する膜:Tiuuse GuideTM メンブレンで、もう一つは吸収しない膜: GORE-TEX®メンブレンです。
Tiuuse GuideTM メンブレンはコラーゲンからできており、吸収するため後から取り出す必要性がないので治療の回数が少なくなります。しかし、この膜には適応症が限られており、大幅に骨を再生させることはできません。
GORE-TEX®メンブレンは吸収しないため後から取り出す必要性がありますが、GBR法の多くはこの膜を使用します。GORE-TEX®メンブレンは1969年に開発されたもので、歯科領域以外でも、人工血管や人工硬膜、縫合糸等で400万症例に使用されており、医療分野において非常に高い評価を得ている材料です。
どちらの膜を使用するかは適応症があり、その状態によって異なります。

図1:インプラント前に行うGBR法

図1:インプラント前に行うGBR法

図2:インプラントと同時に行うGBR法

図2:インプラントと同時に行うGBR法

GBR法の症例

それでは実際にGBRの症例を見ていきましょう。わかりやすいように前項のGBRの図とあわせて症例をお見せします。

治療前 GBR後1ヵ月 GBR後3ヵ月 GBR後5ヵ月 インプラント埋入

症例2

治療前

治療前

下顎臼歯部にインプラントを希望されて来院されましたが、骨の凹吸収が大きく認められ、このままではインプラントは行えません。そこでGBR法を行い、骨の増大後インプラントを行う計画を立てました。

GBR後5ヵ月

GBR後5ヵ月

GBR後5ヶ月のインプラント診査時の状態です。骨の凹吸収部に再生が認められます。 インプラントを行うのに十分な骨の高さができました。

GBR後10ヵ月

GBR後10ヵ月

GBR後10ヶ月の状態です。
インプラント周囲に十分な骨が存在しており、安定した状態です。
このように骨がない(少ない)部分には骨を再生させて行うことが必用です。そうでないと将来的に不安(問題)が残ります。