歯周病治療を中断される患者様は、問題をさらに大きくする!:その4

9/19(月曜日)です。
このブログは、歯周病に関するブログです。
毎週月曜日 にアップしています。

始めに休診のお知らせです。

• 9/24(土)は歯周病学会のため休診となります。
 *前日の23日も祝日のため、代わりに9/23(木)は診療となります。

昨日(9/16〜18開催)は、名古屋での日本口腔インプラント学会 に参加してきました。
また、発表(共同演者)もありました。
   P-2-17★ 細菌検査を用いたインプラント治療の予後評価に関する後ろ向き症例集積研究

日本口腔インプラント学会は、歯科医学会専門分科会の中で最大の学会であり、
1万人以上の歯科医師が参加する学会です。

このブログは歯周病のブログですが、
インプラント と 歯周病には大きな関係があります。
インプラントは歯周病と同様の状態になります。
インプラントが歯周病になった状態をインプラント周囲炎 と言います。

こうしたインプラント周囲炎 に関する研究も多く発表されていました。

私達の研究グループもこうした内容の発表を行いました。

次の週末は下関で行われる日本歯周病学会 です。
今回は研究発表はありませんが、興味深いテーマがありますので楽しみです。

今日のテーマは、『歯周病治療を中断される患者様は、問題をさらに大きくする!:その4』になります。

今までの3回の内容で、歯周病治療が中断される理由として以下の1〜5番までを解説してきました。

1.初期の治療により出血等の症状が改善したから!
2.仕事等が忙しく、通院する時間がない!
3.治療に対する痛み等があったから!
4.治療の必要性はわかっていてもなかなか行動に移せない!
5.一度予約をキャンセルしてしまったために通院しにくくなった!
6.治療に対する理解が得られなかった!

本日は、6番目について解説します。

これが一番重要なことになります。

歯科にかぎらず、どのような病気でもそうですが、病気を治すためには、
現在かかっている病気がどのような状態であるのかを患者様ご自身がご理解することが非常に重要です。

現在の病状(進行程度)、病気の原因、治療方法、将来性(予後)…等をきちんんとご理解していただくことが治療を行う上で非常に重要になってくるのです。

特に病気が重度であった場合には、歯科医師(医師)まかせてはなく、きちんとご理解していないと治療自体もうまくいきません。

例えば、糖尿病という病気になったとします。
糖尿病を治すためには、単に病院に通院し、薬を服用すれば治るわけではありません。
糖尿病となった原因である 食生活、運動、喫煙、睡眠、ストレス…等を見直すことが重要です。
また、将来的に糖尿病が悪化した場合には、さまざまな合併症が起こり、命を落とす危険性も十分あることもご理解していたくことが重要です。
また、糖尿病が悪化した場合には、透析治療が必要となり、仕事や生活が現状のようにできないことも十分理解することが大切です。
こうしたことは、分かっているようで現実的には、十分理解していない方が多いのです。
十分理解していない方は、結果的に糖尿病は悪化し、後戻りできない状態になってしまうのです。
このような方は、本当に多いのですよ。
病状が悪化した状態で『あの時、きちんとしていれば良かった…』と思っても手遅れになってしまうこともあります。

『病気をきちんと理解する!』ことが病気を治す第一歩なのです。

また、ガン(癌)という病気もそうです。
どのような状態まで進行しているのか?
どのような治療が必要なのか?
現在どうすれば良いのか?
予後はどうなのか?
等をきちんとご理解することが重要です。

例えば、癌(ガン)ですぐにでも手術する必要性があったとします。
しかし、患者様ご自身は、痛み等の自覚症状がないため、
手術となると 仕事も休まなくてはならかなったり、手術に対する不安等もあり、
結果的にそのままになってしまう方もいらっしゃいます。
そして、痛み等があり、再度病院を受診した時には、もう手遅れ…
という可能性もでてきます。
今、病状はどのような状態であるのか?
等をきちんとご理解していないといけません。
多くの病気は放置することにより悪化していくからです。

話は、歯周病に戻ります。
歯周病ポケット検査 を行い、重度歯周病であった場合、
歯周病治療の必要性、
放置することの危険性
等をご説明致します。

しかし、
 特に痛みもないから…
 忙しくて通院ができない…
 歯科治療は痛みがあり、嫌だから…

今までの数回で解説した1〜5の内容のように中断してしまうことがあります。

また、治療の理解が得られないこととして、抜歯があります。
私は、 歯周病専門医ですが、全ての歯を残すことはできません。

歯周病が進行してしまった歯は、抜歯となることがあります。
この詳細は、以下を参考にして下さい。
     ・歯周病は治るのか?

歯周病は、 歯周病細菌による感染症です。
感染が進行すると歯を支えている骨が吸収(溶ける) します。
この歯周病細菌による感染は、他の歯へも感染してしまいます。
そのため、感染を停止させるために、徹底して歯周病の治療 が必要になります。

ただし、歯周病の治療が行えない歯であった場合には、抜歯が必要です。
もし、歯周病治療が行えない歯をそのままにして
おくと その歯から健康な歯(治療を行った歯)へと再度歯周病細菌が感染してしまいます。

例えてお話すると ガン(癌)があったとします。
抗ガン剤や放射線治療で癌(ガン)を治すことができれば良いのですが、
切除しなければ、治ることがなった時には、手術で切除することが必要になります。
もし、ガンの部分を切除しなければ、他に転移してしまいます。
転移が起ると病状はさらに悪化し、場合により治療ができない『手遅れ状態』になってしまう可能性もあります。
薬 等で治るのか?
手術で切除するのか?
切除するとすれば、どこまで切除が必要なのか?
等の判断を間違ってしまうと病気は治りませんし、逆に悪化してしまいます。

歯周病もまったく同じで、抜歯しか方法がない歯を放置すれば、他の歯へも歯周病細菌が転移してさらに多くの歯を失う結果となってしまいます。
また、歯周病が進行すると 歯を支えている骨が吸収(溶ける) します。
骨吸収が進行した状態で抜歯すると その後の治療が大変になります。
入れ歯であった場合には、入れ歯が合わなくなり、
インプラント治療となった場合には、インプラント治療を困難にさせたり、場合によりインプラント治療ができないこともあります。

なにせ悪い状態を放置することが最も危険なのです。

しかし、この抜歯は、患者様のご理解を得られないことがあります。
抜歯と聞いただけで、『この歯科医院は、抜歯するから止めよう!』
と決めつけてしまう患者様のいらっしゃいます。

残念なことながら歯科医院の中には、きちんとした診断(歯周病の検査)を行わず、
本当は、抜歯しなければならない歯があっても
患者様が抜歯を希望しなければ、そのままに放置することがあります。
その方が患者様の希望がかなえられるからです。

しかし、これは、単に抜歯しないだけであって、
現実的には、治らないのが分かっていながら放置しているだけなのです。

そのため、最終的には、さらに多くの歯を失い、
骨吸収が進行するため、次の治療を困難にさせてしまいます。

先程のガン(癌)を例にとってお話をすると
末期ガンを分かっていながら
患者様の『手術をしたくない』
という希望のみを優先させ、放置するのと同じです。

話はまとめになりますが、
当院では、歯周病の検査 後には、治療計画書をお渡しし、
歯周病になった原因、
どのような治療が必要なのか?
抜歯は必要なのか?
将来性はどうなのか?
をお話します。

そして、どうしても抜歯が必要な部位があれば、きちんと抜歯が必要であることをお話します。
もちろん治る可能性がある歯は、徹底して治療を行います。

しかし、このような治療の話をすると
その時点で未来院となることもあります。

 現在歯周病がどのように進行しているとか
 このまま放置するとどうなるのか?
 どのような治療が必要なのか?

等を理解する前に
単に『抜歯だけは嫌!』
ということだけで、きちんとした病状をご理解されないうちに未来院となってしまうのです。

何回かに分けてお話してきました『歯周病の中断は、良くない!』ですが、
重要なことは、ご自身の歯周病の状態をきちんとご理解していたくことが
歯を残す第一歩なのです。

次回のブログは、9月26日(月)になります。

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