よくある質問
2. 口臭の基礎を学ぶQ&A
口臭の基礎を学ぶための質問をまとめてみました。
Q:なぜ歯磨きを行う必要性があるのか? (口臭の原因を理解する第一歩)
A:
「皆さんは、なぜ歯磨きをしているのですか?」
虫歯予防?
歯周病予防?
汚れを取るため?
口臭予防のため?
正しい答えを言える方はほとんどいらっしゃらないでしょう。
歯周病、虫歯、口臭予防ということに共通して言えることは、細菌のコントロールです。
汚れを取ることが予防ではないのです。
それでは、口臭予防としての歯磨きの意味について解説します。
口臭を気にされている方の多くは頻繁には磨きをされています。
しかし、この頻繁な歯磨きが逆に口臭を増悪させていることに気づいていないことが多いのです。
口臭の根本的な原因をきちんと理解していないと無駄な口臭予防を行っているだけでなく、逆に悪化させていることになります。
まず、口臭の根本的な原因は、口腔内細菌の増殖から起こります。
本来口腔内には細菌を増殖させないための生理的な働きがあります。
これは唾液の分泌です。
唾液の中には、細菌の増殖を抑えるための抗菌成分が存在します。
そのため、口腔内に唾液が十分分泌される状態であれば、細菌の増殖は抑えられるのです。
ここでは、口臭の原因を理解していただくための打一歩として虫歯の成り立ちについて解説します。
かなり難しい話しになりますので、興味のある方のみご覧になって下さい。
飲食後(食物を摂取後)虫歯細菌の一部は、多くの糖(ショ糖)から酸(乳酸)という歯を溶かす成分をつくります。
この酸により歯が溶けてくるのです。
いわゆる虫歯になるのです。
この細菌の産生する酸は、唾液の抗菌性や自浄性(洗い流す作用)等により抑えられていくのです。
しかし、歯を磨かないと問題が起こるのです。
この問題とは、プラーク(デンタルプラーク)が形成されるのです。
プラークとは、細菌の塊のことです。
食べかすではありません。
プラーク(細菌の塊り)をバイオフィルムと言います。
このバイオフィルムを知ると、歯磨きを行う重要性が分かるのです。
以下は、さらに難しい話しになりますが、口臭を学ぶ基礎になりますが、口臭で悩んでいられる方は、是非ご覧になって下さい。
虫歯細菌の中には食物中のショ糖から粘液性多糖体(水不溶性グルカン)を作るものが多くあります。
粘液性多糖体とは、細菌が着きやすいネバネバしたものと思って下さい。
このネバネバ(粘液性多糖体)を介して細菌が凝集していきます(細菌が集まってきます)。
多くの細菌が集まった状態をバイオフィルムと言います。
このバイオフィルムがあると外来からの影響を受けにくくなります。
バイオフィルムは、バリアーと思って下さい。
先にも説明しましたように通常口腔内細菌が繁殖すると唾液により洗い流されたり、唾液の抗菌作用により細菌が繁殖するのが抑えられます。
しかし、バイオフィルムの中に生息する細菌は、唾液の影響を受けにくくなるためバイオフィルムの中で細菌は増殖していくのです。
バイオフィルムというバリアで囲まれた中に生息する細菌は、産生した酸(乳酸)の拡散を防ぎ、唾液に流されないために局所に留まります(停滞する)。
そのため、虫歯予防をするためには、バイオフィルムという細菌の住処を破壊することが重要なのです。
簡単に言えば歯磨きを行うことです。
これでなんとなく歯磨きを行う理由が分かったかと思います。
歯磨きとは、汚れを取り除くのではなく、細菌をコントロール(減少)する(させる)ことなのです。
口臭が気になる方の多くは、汚れがついているから臭いがすると思っています。
そうではないのです。
細菌が増殖することにより口臭が起こるのです。
口臭を予防することの最大のポイントは細菌の繁殖を抑えることです。
これを忘れないで下さい。
是非以下でこの続きもご覧になって下さい。
Q:歯磨きはいつ行なうことが良いのか? (口臭を理解する第一歩)
A:口臭の原因には、さまざまなことがあります。
その中でも口臭の大きな原因として細菌の増殖による口臭があります。
細菌が増殖すると細菌の出す代謝産物により口臭が発生します。
つまり、細菌を増やさないことが口臭予防にとって重要なことなのです。
このような話しをすると「細菌を増やさないこと?」「歯磨きをすれば、細菌が増えないのでは?」と考えている方が多くいらっしゃいます。
これが大きな誤りなのです。
歯磨き=細菌を増やさないではありません。
患者様に以下のようなご質問をすることがあります。
「口腔内に歯垢(しこう:プラーク)や細菌が最も多く存在するのはいつかわかりますか?」
多くの患者様は以下のように答えます。
「食後と朝起きてすぐです。」
これが、認識違いなのです。
歯磨き製品を販売しているメーカーによるテレビコマーシャル等で「食後にすぐ歯を磨きましょう!」といような誤解を報道がなされているために食後(食直後)=歯磨きという図式があるのです。
これが誤っているのです。
まず、一日のうちで最も口腔内細菌が多いのは、起床直後です。
朝起きてすぐの唾液の中に含まれる細菌数は、1,000,000,000~100,000,000,000個/mlです。
これは、同じ量の糞便に含まれる量に匹敵します。
また、歯垢(しこう:プラーク)中には、10,000,000,000~100,000,000,000個/gですから同じ量の糞便の10~100倍の菌が生息しています。
びっくりですね。
朝起きた状態は、お口の中は、非常に多くの細菌が生息しているのです。
そのため、歯磨きを行なう重要なタイミングは、朝起きてすぐです。
これは十分理解できますよね。
細菌が最も多時間帯ですので、この時に歯磨きを行なうことは非常に大切です。
それではなぜ起床時に細菌が増えるのでしょうか?
口腔内の細菌が最も多くなるのは、唾液の分泌が減少している時です。
唾液には、細菌を減少させるための抗菌物質が含まれています。
唾液を多く分泌させることが虫歯予防、歯周病予防、口臭撃退に大きく関係してきます。
そのため、唾液の分泌が少なくなると細菌が増殖しますので口臭が起こります。
唾液の分泌が最も少ないのは就寝時です。
また、就寝前に口腔内を清潔にすることは、就寝時の細菌繁殖に大きく影響します。
そのため、口臭予防(虫歯予防と歯周病予防も同じ)を前提とした歯磨き時期は、起床時と就寝前です。
それでは、以下のようなごご質問に対してはどのような回答になるでしょう!
「口腔内(唾液中)の細菌が最も少なく、非活動状態になって、細菌学的に最もクリーンなのはいつでしょうか?」
この質問には、ほとんどの方が間違えます。
答えは、食後です。
食後の唾液を顕微鏡でみると細菌の活動は非常に少ないのです。
これは、食事を行なうことにより、唾液の分泌が大量に出てくるからです。
唾液の分泌大量 = 細菌の増殖を抑えることが可能ということです。
これで、口臭の原因となる細菌の増殖についてだいぶわかってきたと思います。
食直後に歯磨き剤を使用しての過剰な歯磨きは、唾液の損失を起こします。
歯磨き後には、当然のことながらうがいを行いますよね。
このうがいにより唾液は洗い流されてしまいます。
うがいが多いのは口臭にとって悪いことなのです。
口臭が気になる方の多くは、歯磨きを通常の人以上に行なっているにも関わらず口臭が気になる!ということがだいぶ理解できてきたのではないでしょうか?
食後には、食べかすが分解されて酸になります。
この酸性の状態が続くと口の中が酸っぱくなったり、酸性臭がしたり、虫歯細菌の活動が活発になったりします。
酸性状態が続くと歯が溶け出したり(脱灰)、虫歯になりやすくなります。
こうなると口臭もひどくなります。
さらに酸性状態が続くと菌が集合してプラークとなります。
始めにも説明しましたようにこのプラークを取り除くことが歯磨きの目的なのです。
食べかすを取ることが歯磨きの目的ではありません。
つまり、虫歯予防や飲食後の口腔内ケアーによって重要なのは、プラークを除去し、口腔内の酸性化をコントロールすることです。
これをpHコントロールといいます。
簡単に言えば、中和です。
専門用語では、唾液の緩衝能(だえきのかんしょうのう)と言います。
この続きは以下「Q:唾液の緩衝能とは?」をご覧になって下さい。
Q:唾液の緩衝能とは?
Q:食後の歯磨きは意味がない?
A:口臭を気にされる方の多くは、頻繁に歯磨きをされています。
この頻繁に歯磨きを行うことは、口臭にとってもっとも悪循環と言えます。
口臭を予防するための最大のポイントは、口腔内細菌のコントロールです。
口臭予防は、歯を磨くことではないのです。
この点をきちんと理解しないと口臭は治りません。
口腔内には常に細菌が存在しています。
正常細菌叢と言われる状態です。
その細菌の数が増えてくると口臭の原因となります。
通常生体は、唾液の抗菌作用により細菌の数をコントロールしています。
しかし、唾液の分泌が少なくなると細菌が増殖し、口臭が起こります。
通常食後には、唾液の分泌が多くなるため、細菌の数は少ないのです。
そのため、食後に起こる臭いは、食物自体の臭いなのです。
食物の臭い以外を除けば、食後には唾液の分泌により、細菌数は少なくなるため、口臭は少ないのです。
しかし、口臭が気になる方の場合、必要以上に歯磨きを行ったり、うがいを行うことにより唾液を喪失してしまいます。
そのため、口臭予防という点では、食後には以下のような方法を行うことが重要です。
- 歯磨きは必要以上に行わない(まったく行わなくても良い)。
- うがいは、唾液を喪失するため極力行わない。
-
舌の上に付いた汚れを取ることは最も重要なことです。
そのため、少量の水を含み、口の中で舌を良く洗うことが有効です。
舌を口蓋に押し付けてよく洗います。
舌以外にも頬等の粘膜に付着した汚れも舌で洗います。
そして、その水は吐かないで、飲み込んで下さい。
先にも説明しましたようにうがいは、唾液を喪失してしまいます。
これを「お口直し」と言います。 -
次にガムを噛むことです。(ガム法)
これは非常に有効です。
ガムを噛むことにより唾液が分泌されます。
唾液の分泌が増えると細菌が減少します。
もちろんシュガーレスガムです。
ガム法の詳細は、以下をご覧になって下さい。 Q:口臭予防方法:ガム法
特に外食した後は、歯磨きができない場合が多いこともあり、必要以上にうがいをする方がいらっしゃいますが、これは逆効果です。
唾液の喪失を助長して口臭の原因となっているのです。
外食後こそ、まず「お口直し」を行い、「ガム法」で対応することが最も有効と言えます。
Q:唾液の緩衝能とは? (緩衝能力が低いと虫歯細菌が増える!)
A:
唾液の緩衝能とは、どのようなものなのでしょうか?
また、口臭とはどのような関係にあるのでしょうか?
通常口腔内のphは、中性状態を保っています。
pHは6.8~7.0です。
この中性状態を保つことが重要なのです。
例えば、歯の表面にある硬いエナメル質が虫歯細菌で溶けるためにはpHが約5.5以下になることが必要です。
(歯肉が下がると見えてくる根元の象牙質はpH6.0以下で溶ける)
pHの低下は、さまざまなことで起こります。
飲食物、虫歯細菌が産生する産(乳酸)等が口腔内を酸性化させる主な原因です。
口腔内が酸性に傾いた状態を中和させる機能を緩衝能と言います。
この中和させるのが唾液です。
唾液はとても重要な働きをしています。
具体的には、唾液中の重炭酸塩やリン酸塩が酸性に傾いたpHを中性に戻してくれます。
食後直後から口腔内は酸性に傾きます。
(細菌が乳酸を産生するためです)しかし、唾液の緩衝能により30分程度で中性に回復するのです。
もし、唾液の分泌が少ない人であったり、唾液の緩衝能が低い人であれば、酸性状態となってしまいますので虫歯になりやすいということになります。
間食が多い人や加糖入り飲料を食間に好む方は、pHが酸性状態に傾いた状態のままとなってしまうため、虫歯になりやすいのです。
また、酸っぱい物を食べると唾液が出るのは、酸性に傾いた状態を中性にもどそうとする作用があるためです。
Q:唾液の緩衝能力(中和能力)が低い人の対処方法
A:この項目をご覧になる前に「唾液の緩衝能」について分からない方は、先に上記「Q:唾液の緩衝能とは?」をご覧になって下さい。
「唾液の緩衝能」の検査は、非常に簡単な方法で行なえます。
「歯をきちんと磨いているのに虫歯になりやすい!」という方は、唾液の緩衝能が低い(中和能力が低い)のかもしれません。
「唾液の緩衝能」の検査は、唾液採取した唾液を試薬に入れれば、すぐに判定できます。
予防歯科を行なっている歯科医院では、こうした検査を行なっているとことも多いと思いますので、ご希望される方は、通院されている歯科医院で聞いてみると良いでしょう。
唾液の緩衝能力(中和能力)が低い人は、口腔内が酸性化した状態が続きます。
口腔内が酸性化した状態が続くと虫歯になりやすくなったり、口臭が起こりやすくなります。
そこで唾液の緩衝能力の低い人は、以下の方法で対応します。
1. 食事生活の改善
1口30回は噛むようにします。
よく噛むことで唾液の分泌が促進され、唾液緩衝能力が低いのを補います。
また、和食中心の食生活を心がけることが有効です。
特に朝食にパンとコーヒー等だけの人も多くいますが、こうした食生活は噛む回数が少なくなるだけでなく、炭水化物や糖分を含む粉系の食べ物は、粘膜に付着した残りやすい食品です。
繊維質を多く含む食生活が重要です。
2. 舌の上の食物残渣を取り除く
食後の食べかすは、歯の隙間に約10%、舌の上や頬等の粘膜に約90%残っています。
つまり、食べかすが最も残っている舌の上や粘膜を清潔にすることが重要なのです。
食物残渣が舌の上に残ると口腔内は酸性に傾きます。
そこで食後には、舌の上の汚れを取り除くことが重要です。
詳細は「舌をきれいにすることは重要!」を参考にして下さい。
ただし、絶対に舌を歯ブラシ等で磨いてはいけません。
舌をブラシで磨くことは禁忌です。
舌を傷つけてしまい、さまざまな問題を引き起こします。
3. 酸性化しやすい飲食物は避ける
唾液の緩衝能力が低い方は、食後に「お口直し」を行なって下さい。
詳細は、以下を参考にして下さい。
Q:食後に重要な「お口直し」とは?口臭治療の必須ポイント
Q:唾液には2種類のタイプがある! (サラサラ唾液とネバネバ唾液)
A:唾液には、安静時唾液と刺激時唾液があります。
安静時唾液は、じっと静にしている時に出る唾液です。
量は比較的少なく、多少ネバネバしています。
それに対して刺激時唾液は、物を咀嚼時(物を噛む時)に分泌される唾液です。
刺激時唾液はサラサラしており、大量に分泌されます。
また刺激時唾液の特徴として酸性に傾いたphを中性に戻す重炭酸塩が多く含まれています。
そのため、虫歯になりにくい唾液と言えます。
刺激時唾液の緩衝能力は、安静時唾液の30倍と言われています。
日中は、刺激時唾液が多く分泌されるため、虫歯に抵抗する能力が高いのですが、夜間(就寝時)には安静時唾液が分泌されるため、量も少なく、緩衝能力も低いため、虫歯になりやすいのです。
Q:口臭スプレー等の口臭予防用品は効果があるのか?
A:口臭を気になさる方のほとんどが、口臭予防用品を使用しています。
最近では、コンビニでも売っていますし、ロフトや東急ハンズ等の生活便利用品を取り扱っているお店では、相当多くの口臭予防用品を取り扱っています。
また、インターネットでもバナー広告等でよく見ます。
それでは、こうした口臭予防用品は、本当に効果があるのでしょうか?
先にも説明しましたように口臭に来院される方のほとんどの方が口臭予防用品を使用しています。
しかし、口臭に来院されるということはそうした製品を使用してもまだ口臭を感じているということになります。
それでは、口臭予防用品は、効果がないのでしょうか?
答えとしては、口臭予防用品は、使用方法によっては効果があります。
もちろん使用する製品によっても違いますが…
最近では、単に香りを付けただけで、口臭自体を消退させる効果がない製品も多く出回っています。
ご注意下さい。
「口臭予防用品は、使用方法によっては効果があります!」「使用方法によっては…、口臭の原因によっては…」ということがポイントです。
まず、生理的口臭であることが条件です。
口臭に対する精神的不安が持続すると唾液の分泌機能が低下します。
唾棄の分泌機能が低下すると口腔内が乾燥し細菌が繁殖しやすくなり、口臭が起こります。
生理的口臭が感じられるとき、口臭予防用品を使用により精神的安定がはかれて、唾液分泌機能が正常になり、自然に口臭のことが気にならなくなるような方には有効です。
しかし、口臭予防用品を使用しても精神的安定がはかれず緊張がとれずに唾液の分泌能力も低下したままの方には不向きです。
製品によっては、含まれている合成化学薬品が悪影響を及ぼすこともあります。
先にも説明しましたように口臭を受診される方の多くは、すでに口臭予防用品を使用されている場合がほとんどであり、そうした製品を使用しているにもかかわらず口臭が治ることはないのです。
こうした場合には、すぐに口臭予防用品を中止する必要性があります。
使用し続けることによりさらに口臭に対しての不安が増悪されることがあり、口臭予防用品に依存することになってしまいます。
また、生理的口臭以外に問題がある場合には、口臭の問題点を的確に対処しないと改善されません。
口臭予防用品を使用しても改善されない場合には、口臭を受診されることをお勧めします。
最も重要なのは、水分補給です。
うがいは避けるべきです。うがいは、唾液を失い口腔乾燥を招き、細菌増殖を起こします。
口臭予防用品を使用しすぎるあまり化学的刺激により舌は荒れて、免疫力や活性が低下し舌苔の付着は慢性化していきます。こうなると口臭は悪化していきます。
このようなタイプの方は、非常に多いです。
また、花粉症やアトピー等のアレルギー性素因がある方も使用を避けたほうが良いでしょう。
これらの口臭予防用品中の化学成分がアレルゲンとなり口腔粘膜も過敏に反応することがあるからです。
Q:水は多く飲んだ方が良いの?
A:水はある程度服用した方が口臭予防という観点からは効果的です。
ただし、基本的に水にして下さい。
お茶やウーロン茶、コーヒーは避けて下さい。
この理由については以下をご覧下さい。
Q:口臭予防には水分補給が重要!
もちろん砂糖入りの飲料はダメです。
飲むタイミングは以下のとおりです。
まず起床直後の歯磨きを行った後です。
飲む量は、コップ1杯です。
これにより腸の働きも上がり唾液の分泌もスムーズとなります。
また、仕事中等は、時間があれば定期的にコップ一杯の水を飲用されて下さい。
一定間隔で水を飲用することにより唾液の分泌につながります。
【ポイント】3時間程度の間隔でコップ1杯の水を飲むことが重要
Q:必読!口臭を自覚されるほとんどの方に起こっている「自律神経バランスの乱れ」
口臭と自律神経の関係
口臭と自律神経は大きく関係しています。
唾液の分泌が口臭改善にとって非常に重要であることは、さまざまな項で解説しています。
唾液の分泌量が多い方は、口臭は起こりにくいのです。
しかし、口臭を主訴として来院される患者様の多くは、
唾液の分泌量が少なかったり、
唾液の性状に問題があったり
等の問題が起こっています。
唾液の分泌が少なくなる原因として、いくつかのことが考えられます。
その中でも
- 食生活習慣の乱れ
- 誤った歯磨き方法や誤った口腔ケアー習慣
- 生活のリズムの乱れ
- 精神的ストレス
が大きく関わってきます。
だ液の分泌量が適切であれば、口臭は起こりにくいのです。
しかしながら唾液の分泌は、基本的に私達の意思ではコントロールできないのです。
これは、唾液は自律神経の支配を受けているためです。
自律神経の働きを理解することが、口臭を抑制することにつながるのです。
自律神経とは?
自律神経とは、自分の意思と関係なく無意識のうちに絶えず働いてくれている神経のことです。
例えば、心臓は自律神経支配です。
当然のことながら心臓は、生まれてから、亡くなるまで 人の意識とは関係なく、眠っている時も起きている時も動き続けています。
唾液も同じなのです。
常に分泌されているものなのです。
ここで少し難しい話になりますが、自律神経をもう少し解説します。
自律神経には、
交感神経と
副交感神経という相反する働きをする神経があります。
起きて動いているときには、心臓を活発にするために交感神経が強く働き、 眠っているときには心臓の働きをゆっくりとし休ませるように 副交感神経が働きうまくバランスを保ちながら身体の調節をしています。
交感神経が優位になると
- 血管を収縮し血圧が上昇
- 心拍数が上昇
- 気管支が拡張
- 唾液の分泌が抑制
- 胃腸の働きが抑制
- 排泄が抑制
します。
興奮した時や緊張した時の状態です。
人前で話をする時に緊張すると喉が乾くのは、
交感神経が優位になり、唾液の分泌が抑制されるためです。
運動すると脈が早くなりますよね。
これは、運動をすると筋肉が多くの酸素を消費するため、脈を早めて筋肉に酸素を運ぼうとする現象なのです。
副交感神経が優位になると
- 血管が拡張し血圧が低下
- 心拍数が低下
- 気管支が収縮
- 唾液の分泌が促進
- 胃腸の働が活発
- 排泄が促される
- リラックスした状態は唾液が分泌されやすいです。
緊張した状態が続くということは、
交感神経が優位になり、
結果的に唾液の分泌が抑制されるのです。
寝ている時は、脈拍は少なくなります。
これは、生命を維持しながら無駄なエネルギー消費をしないように
基礎代謝を下げているためです。
これでなんとなく、自律神経(交感神経と副交感神経)の働きが分かってきたと思います。
先にも説明しましたように、口臭を主訴として来院される方の多くにみられる「自律神経バランスの乱れ」を改善させることが臭い対策の基本となります。
以下のことを参考になさって下さい。
自律神経バランスの整え方
ポイント1:食生活の改善
健康を維持するためには、バランスの良い食生活が重要であることは当然のことです。
その中でも朝食をしっかりと取ることは重要です。
口臭を気にされる方の中には、食べることで臭いが起こると考えられている場合があり、朝食を取らないことがあります。
バランスの取れた食生活は、口臭対策にとっても非常に重要なことなのです。
まず30分早く起きるようにして下さい。
そして朝食は、和食を中心にして下さい。
和食は繊維質が多く含まれる食品が多いのが特徴です。
食物繊維が多い食べ物は、腸の中をゆっくりと進みます。
腸の中を食べ物が進む時は、副交感神経になるので、その時間が長ければ長いほど、副交感神経が優位になる時間が長くなります。
また、よく噛むことは、口臭対策にとって非常に有効です。
噛むことで口腔に関する筋肉が鍛えられ、舌の活動も活発になります。
口腔生理機能が鍛えられることが唾液の正常な分泌につながります。
1口30回を目安にして食べるようにして下さい。
普段よく噛まない方の場合、いきなり1口30回を噛むことは非常に難しいです。
そのため、最初は1口10回でも良いので、きちんと噛む習慣をつけることが必要です。
時間がかかるために、いつもより30分早く起きるのです。
また、水分補給は水が基本です。
飲むタイミングは、
朝起きた直後、
朝食と昼食の間
昼食後と夕食の間
就寝前
に飲んで下さい。
飲む量は、コップ1杯程度です。
お茶は控えて下さい。
また、口臭が気になる方の場合には、口腔生理機能のバランスが崩れている ことが多いので、唾液の分泌能力等も劣っていることがあります。 そのため、唾液を失うことを避けることが重要です。 水分補給は重要なのですが、あまり飲用回数が多いと 水と一緒に唾液を飲み込んでしまいますので、頻繁に飲まない方が良いでしょう。
ポイント2:お風呂でリラックス
湯船に入ることは、副交感神経を優位にします。
少しぬるめのお湯でのぼせすぎないようにすることが良いでしょう。
湯船に入ると、
筋肉がほぐれ、
血行が促進され、
体温の上昇が起こり、
副交感神経を優位にさせます。
就寝する1時間ほど前に入浴を済ませ、
就寝するまでは、強い明かりの下やテレビ、パソコン等の交感神経を活発にさせる行為は控えることも安眠にとって重要です。
ポイント3:睡眠
睡眠中は、副交感神経が最も優位になる時間帯です。
夜更かしは最もよくありません。
また、就寝直前までパソコン等を使用しているのもよくありません。
正しい生活習慣のリズムを守ることが口臭対策にとって非常に重要なのです。
早寝、早起き、十分な睡眠時間をとることは、現代人にとって難しいことかもしれませんが、自律神経バランスを整えることが口腔生理機能を正常な状態にすることなのです。
起床したらすぐに日光を浴びることも体内時計を整える有効な手段です。
睡眠、食生活、規則正しい生活習慣は、口臭治療において基本中の基本です。
口臭をなんとか治したいと真剣に考えられているのであれば、生活習慣の改善は必須です。
また、マッサージも有効です。
マッサージをすると眠くなりますよね。
これはリラックスしたことにより副交感神経が優位になっているのです。
ポイント4:呼吸法
呼吸法は非常に簡単に行える方法です。
副交感神経の働きを高めるには、ゆっくりした深い呼吸が効果的です。
1対2の割合で「吸う」と「吐く」をゆっくりと行います。
ストレスを感じた時に行うとよいでしょう。
「吸う」ことよりゆっくりと「吐く」ことを意識して下さい。
緊張したり、口臭が気になる時に、
ゆっくりと
「吸う」 1回
「吐く」 2回
の割合で行って下さい。
勢い良く行うことはありません。
自然とゆっくりと行うことが大切です。
こうすると緊張がほぐれていきます。
ポイント5:適度な運動
ウォーキング等の適度な運動は効果的です。
もちろん運動中は交感神経が活発に働きますが、適度な運動は有効です。
汗をかくことは体温調整という点からも有効です。
ストレッチやヨガも副交感神経を優位にさせる効果があると言われています。
ポイント6:冷暖房等の温度調整について
汗をかく機会が少ない方や夏にクーラーの効いた部屋でずっと過ごすことが多い方は、
体温調整がうまくいかないことがありますので、
生活習慣の改善も必要です。
本来、暑い場合には汗をかくことで、体温を下げる働きがあります。
寒い時には、血管を収縮し熱を逃がさないように働きます。
冷暖房が常にきいているような生活は、自律神経の機能は衰えさせるのです。
ポイント7:ストレス解消
ストレスは、自律神経を乱す最大の原因とも言えます。
「自律神経バランスの乱れ =(イコール)ストレス」
と言ってもいいくらいです。
もちろんストレスフリーとなれば良いのですが、現代人にとって仕事や、家庭、友人関係等さまざまなとこでストレスを感じることは避けられないことです。
好きな趣味を持つことでストレス発散をさせたり、上記にも記載した、食生活、睡眠、運動、入浴等を見直すことでもリラックスさせることもできます。
また、口臭を自覚される方の多くに 他人からの口臭についての指摘 等がとトラウマとなっていることがあります。
「小さい頃に友達に口臭を指摘された!」
「他人が私の近くにいると鼻や口を押さえる仕草をする!」
等さまざまな経験を持っています。
そうした経験があるために
「人前で話すことが苦痛」
「狭い空間にいると臭うのではないかと不安がある」
ということにつながります。
このような考えはストレスとなり、
自律神経のバランスを崩し、
結果的にさらに口臭を自覚するようになります。
また、口臭は非常にデリケートなことであり、恥ずかしいこともあり誰にも相談できない方が多く、
また、口臭を気にされて歯科医院や耳鼻科を受診されても「問題ありません」といわれるだけで、誰にも理解されないことが多く、さらに悩みは大きくなります。
口臭の原因は、さまざまなことがあり、一つのことだけで解決することは難しいことです。
まず、口臭専門外来を受診し、一つ一つ問題点を解決させるようにしていくことが重要です。
ポイント8:禁煙
タバコを吸うと
リラックスする
落ち着く
という方もいらっしゃるかと思いますが、
これは本当の意味でのリラックスではありません。
タバコに含まれるニコチンは、自律神経を興奮させる働きがあります。
この自律神経の興奮が誤ったリラックスという感覚として認識しているのです。
また、タバコの依存性も問題です。
タバコを吸わないとイライラするということは、ストレスを感じているということです。
自律神経バランスチェックシート
質問1 | 1日3の食事バランスが悪い | Yes 2点 | No 0点 |
---|---|---|---|
質問2 | おなかいっぱいに食べている | Yes 1点 | No 0点 |
質問3 | 肉食中心の食生活である | Yes 1点 | No 0点 |
質問4 | 就寝は夜12時を過ぎる | Yes 3点 | No 0点 |
質問5 | 睡眠時間は6時間以未満 | Yes 3点 | No 0点 |
質問6 | 目覚めが悪い | Yes 1点 | No 0点 |
質問7 | 寝つきが悪い | Yes 1点 | No 0点 |
質問8 | からだがだるい | Yes 1点 | No 0点 |
質問9 | 風邪がひきやすい | Yes 1点 | No 0点 |
質問10 | 生活習慣病がある(糖尿病等) | Yes 1点 | No 0点 |
質問11 | 運動をほとんどしない | Yes 1点 | No 0点 |
質問12 | 肩こりがある | Yes 1点 | No 0点 |
質問13 | 頭痛がある | Yes 1点 | No 0点 |
質問14 | 胃の調子が悪い | Yes 1点 | No 0点 |
質問15 | タバコを吸う | Yes 1点 | No 0点 |
質問16 | 花粉症などのアレルギーがある | Yes 1点 | No 0点 |
質問17 | 汗はあまりかかない | Yes 1点 | No 0点 |
質問18 | 常に冷暖房のある部屋にいる | Yes 1点 | No 0点 |
質問19 | 日々ストレスを感じる | Yes 3点 | No 0点 |
質問20 | 趣味はない | Yes 1点 | No 0点 |
質問21 | 対人関係に悩む方だ | Yes 2点 | No 0点 |
【判定】
0~5点 大きな問題はないと考えられる
6~10 要注意
11以上 問題がある可能性が高い
※ 上記は参考であり、自律神経の問題を判断するものではありません。 ※ 点数が高い方で口臭を自覚されている場合には、問題点を改善させるよう努力された方が良いでしょう。
神経症が原因となっている場合の自律神経バランスの乱れの対応
神経症が原因となっている口臭症の場合、患者様ご本人が臭いを自覚されているにも関わらず、歯科医院 や 耳鼻科 等では
「口臭に問題なし」
と判断されることがあります。
このような方は、口臭以外にも異常な汗や肩こり等の痛み、疲労感や体調不良といった具体的な体調の悪さがあることもあげられます。
こうした場合には、医科で処方された薬や漢方薬を服用しても鍼灸や整体などに通院しても改善が認められないことがあります。
さまざまな病院を点々としたり、
さまざまな薬に頼ることで
逆に「なにを行っても病状が改善しない!」
というストレスがさらに強くなることもあります。
このような神経症が原因となっている場合には、
メンタル面を十分考慮して診療にあたっている心療内科を受診されて下さい。
現代はストレス社会であり、誰もが多少なりともストレスを抱えているものです。
もちろんストレスの強さには個人差がありますし、
ストレス解消法の有無にも違いがあります。
生活スタイルは人それぞれ違うからです。
その全てを薬だけで治すことは当然のことながら不可能なのです。
最後に
上記のようなことを改善するだけでも自律神経の改善が得られることも多いですが、無理をしないようにすることも大切です。
無理をすることがストレスとなったりすることもあります。
一度乱れたバランスは回復するのに時間がかかることを忘れないでください。
自律神経バランスの乱れには、さまざまな要因があります。
そのタイプによっても対応は様々です。
心療内科を受診し、相談されることが心の安定につながることもあります。
最初に記載してありますが、口臭を主訴として来院される多くの方に自律神経のバランスの乱れがあります。
そうした方の特徴として、1日の中で口臭が気になる時間帯と
気にならない時間帯があります。
例えば、会社や学校、外出時には口臭が気になるが、自宅にいて、一人になった時には口臭を自覚されない場合があります。
このような場合には、口腔機能の低下が関与している可能性があります。
通常、病的な口臭は、一日中あるものです。
あったり無かったりする口臭は、ほとんどが生理的口臭なのです。
そのため、口臭測定器で検査を行っても臭うというデータが検出されないこともあります。
無理をしないように生活習慣の改善を行い、自律神経バランスの乱れを改善させるには、時間がかかると考え、ゆっくりと一歩一歩進むことが大切です。
他人が感じるレベルの口臭自体は、プロフレッシュ等の製品を使用することで無臭を得ることが可能ですので、心配されずに治療を進めていくことが必要です。