歯周病を持っている母親の早産のリスクは7倍になる!
2016年 8月15日(月曜日)です。
みなさん 夏休みをどうおすごしでしょうか?
当院は本日まで夏期休診となります。
明日は、休み明けなので混み合うことが予想されます。
休診中でもインターネットオンライン予約 がご利用できます。
このブログは「大船駅北口歯科 歯周病専門サイト」です。
今日のテーマは、
歯周病を持っている母親の早産のリスクは7倍になる!です。
前回のブログでは
歯周病 と 誤嚥性肺炎 (ごえんせい はいえん)という内容を解説しました。
重度歯周病の口腔内には、非常に多くの細菌が存在しています。
もちろん歯周病細菌です。
この歯周病細菌が肺に入り込みことで起こる病気が
誤嚥性肺炎 (ごえんせい はいえん)という内容でした。
本日も歯周病細菌によって起こる全身的な問題を解説します。
基本的に一定以上の数の細菌が口腔内に存在することは良いことではありません。
歯周病という病気は、
歯と歯肉の隙間(歯周ポケット)に汚れ(食べかす)入り込むことで
問題が起こります。
汚れの中には、歯周病細菌が存在しており、
歯周ポケットの深い内部には、
歯周病細菌の中でも悪性度の高い細菌が増殖しやすい環境にあります。
通常健康な状態では、
歯周ポケットの深さは1〜3ミリ以下です。
歯と歯肉の溝(歯周ポケット)を1歯に対して
6カ所以上測定します。
そして、歯周病細菌が歯周ポケットの深くまで進行すると
今度は、歯根を支えていた骨(歯槽骨)が吸収します。
本来健康な状態では、
歯根は、顎の骨の中にしっかりと埋まっていますので、
ほとんど動きません。
そのため、硬い物でもしっかりと噛めるのです。
その歯槽骨が吸収(溶ける)ことで
歯がグラグラしてきます。
この骨吸収が進行しすぎると
歯の動揺が大きくなり、
抜歯となってしまいます。
実際に 健康な状態 と 歯周病の状態 のレントゲン写真を見てみましょう!
以下は歯周病が進行することで
歯槽骨が吸収してしまった状態です。
歯周病の状態が進行してしまうと
抜歯となります。
歯根の周囲に付着している黒っぽい凸凹したものが歯石です。
歯周病が進行した方では、
このようなものが歯の根に付着しているのです。
実際に目で見えるものは、歯石です。
歯石自体は、歯槽骨を溶かしたりすることはありません。
問題となるのは、歯周病細菌です。
今回のテーマです。
この歯周病細菌は様々な問題を引き起します。
さて本日の本題となります。
本日のテーマは、
『歯周病を持っている母親の早産のリスクは7倍になる!』です。
歯周病の原因菌が 歯肉の奥へと侵入していき そこから血管に入り、
血液とともに全身をめぐり 臓器や器官に侵入します。
こうした菌は 羊水中にまで影響を及ぼし、早産、低体重児の原因となることがわかってきました。
現在、早産による低体重児の出生の割合は1割程 といわれており、
その原因の一つとして膣の細菌感染による炎症があげられています。
膣に感染が起こると、胎盤膜での炎症の結果、
子宮が収縮、子宮頚部が拡張し、早産になります。
ノースカロライナ大学の歯周病学教授 Steven Offenbacherらの研究によると
歯周病の原因菌が歯肉の奥へと侵入していき
そこから血管に入り、膣感染症が起こっていると報告しています。
リスクの割合は歯周病がない母親に比べて
歯周病を持っている母親の早産のリスクは
7倍になると報告しています。
ちなみに飲酒をする母親の早産のリスクは3倍です。
歯周病をきちんと治療し、
ブラッシングをしっかり行うことで そうしたリスクは防げるのです。
早産で生まれた新生児の中には
呼吸器疾患 や 脳性麻痺などの長期におよぶ障害を有していることも少なくないのです。
妊娠前の状態で治療を開始することが非常に重要です。
もし、重度歯周病であった場合には、
妊娠中には完全な治療が行なえないことも多いです。
そのため、妊娠前の歯周病検査が重要になってきます。
また、出産後には歯周病ケアーももちろん重要なのですが、
お子さんに問題となる虫歯細菌を感染させないことも大切なことです。
ちなみに
虫歯細菌は、お子さんが1歳半〜2歳半頃に
多くの場合、母親もしくは父親から感染します。
そして一度感染した虫歯細菌は、今後大きく変化しませんので、
子供の虫歯に対する将来は、
親御さんにかかっているといってもいいでしょう!
「私の歯が悪いのは、親の遺伝?」
と思っている方もいらっしゃるかと思いますが、
本当にそうなのです。
子供の将来性のためにも
出産前の口腔内の病状をきちんと把握し、
治療をきちんと済ませることが
本当に重要なのです。
もちろんこうしたことは、
妊婦さんのみの話ではありません。
前回の歯周病と認知症の話は、高齢者の方の内容でした。
また歯周病と糖尿病についても非常に大きな関連性があることも分かっています。
次回は、そうした話をしたいと思います。
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