リアルタイムPCR法:細菌検査によるリスク診断:その8

今日もリアルタイムPCR法の続きです。
このシリーズももう8回目です。

明日がこのシリーズの最終回です。

昨日行われましたインプラント学会の話はこのシリーズ後に書きたいと思います。

また今週末は日本歯周病学会があります。
場所は有楽町ですので、近くで楽です。

それでは今日の話ですが、リアルタイムPCR法にも問題点はあります。

PCR法を歯科治療の前に行えば、的確な診断により個人個人に合わせた予防方法(リスク診断)が分かりますので。
母親からの感染が少なくなり、結果的に子供の虫歯は激減します。
もちろん将来、歯周病になるリスクが分かりますので、歯周病も激減します。
また、通常の治療では難しかった『難治性歯周炎』の治療も科学的根拠をもって行えます。
しかし実際には、歯科治療において細菌検査はまったく普及していません。
その最大の理由が保険診療の考え方にあるからです。
日本の保険医療は病気になった後の治療を目的として作られています。
病気にならないための、保険医療ではないからです。
つまり、予防は病気ではないので、保険診療の適応外なのです。
そのため、PCR法による細菌検査も保険適応外となります。
また、歯周病の初期治療である『ルートプレーニング』を行いながらの抗生剤の投与も禁止されています。
A a菌やP g菌が大量に関与している『侵襲性歯周炎』等の治療には『ルートプレーニング』と同時に抗生剤の投与を行うことは、効果がある治療で科学的に証明されているのになぜか保険診療には反映されていません。
今後もそうした治療方法は保険に適応されることはまずないでしょう。
その理由はいくつかあります。
一つは細菌検査を保険診療に入れると医療費が高くなることです。
しかし、これはおかしなことです。
病気を治すことが医療の目的ですし、もし、虫歯や歯周病が激減すれば、医療費はかなり抑えられるはずです。
そのための予防法に重点をおかなければ、医療費の削減だって無理です。
これは歯科以外の医科の分野ではもっと大きな問題となっています。
医療費は年々増加をする一方で、その財源を確保するのが難しくなっています。
なぜ、これほど医療費が莫大の増加しているのか?
いろいろな要因があるかと思いますが、
単純に言えば、病気が多いからです。
糖尿病、高血圧等、生活習慣を改善すれば、病気は減ります。
病気を治すための、治療も大切ですが、予防を重点とした医療に変えていかないと医療費の削減もそうですが、国民の健康を本当の意味で守ることにはなりません。
当院は歯周病、インプラントの専門医ですから、ほとんどの患者様は重度の歯周病やインプラント治療を希望される方です。
その内の大半の患者様はずーっと歯科治療を受けてきました。
しかし、ずーっと歯科治療を受けてきたにもかかわらず、歯はどんどんと無くなり、困って来院されます。
歯科治療は受けてきたが、予防は受けていなかったのです。
こうしたことは医療サイドにも大きく問題がありました。
日本の保険医療は出来高制です。
つまり、どれだけ、治療したかが、その医院の収入につながっていきます。
治療をしなければ、病院は利益がないのです。
以前は病院に行くと大量の薬をもらってくる
というようなことがありました。
血圧の薬、コレステロールの薬…等 毎日いっぱい薬を飲んでいる方がいました。
しかし、根本的な予防をもっともっと、医療サイドが徹底して行えば、こうした処方も減るはずです。
歯科医院もそうです。
歯を削らないと利益になりません。
予防は日本の保険診療にはありませんので、いくら予防の話をしても歯科医院の利益にはまったくなりません。
そのため、細菌検査や予防を保険以外(自費診療)で行って、虫歯の治療や歯周病の治療を行った場合、混合診療とみなされ、場合により、保険医を剥奪されます。
保険医を剥奪された場合、保険診療の収入は無くなり、病院はつぶれるでしょう。
ですから、歯科医院自体も予防に手を出せずにいたことも確かです。
矛盾だらけの日本の保険医療ですが、それでも良い点もいっぱいあります。
なくなっては困ります。

明日もこの続きになります。

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大船駅北口歯科インプラントセンターインプラント 歯周病 専門医

神奈川県横浜市にある日本歯周病学会歯周病専門医 国際インプラント学会認定医の歯科医院
I.T.Iインプラント認定医でもあり、GBR法、サイナスリフト、審美インプラント等の難症例も行います。
HPでは治療費(費用)の説明やインプラント症例、無料相談コーナーもあります。