どのような状態が難症例か?:その5
3/3(月曜日)です。
今日も前回の続きで、『どのような状態が難症例か?:その5:歯周病による難症例とは?』になります。
歯周病が存在する方はインプラントの難症例です。
インプラントは絶対に虫歯にはなりません。
しかし、歯周病のような状態になります。
インプラントが歯周病のような状態になったことを インプラント周囲炎と言います。
インプラント治療後に歯ブラシが不十分になると汚れは歯肉とインプラントの境目から内部に侵入していきます。
この汚れは歯周病細菌と同様の細菌です。
インプラント周囲炎になると初期の段階では歯肉が腫れて行きます。
その後インプラントを支えている歯槽骨が吸収してしまいます。
最終的にはインプラントはダメになり、撤去することになります。
人工物であるインプラントには神経が通っていません。
そのため初期の段階では多くの場合、自覚症状がありません。
そのため、かなり状態が進行しなければ気付かないのが特徴です。
インプラント治療前には必ず歯周病の検査を行うことが必要です。
もし、歯周病と診断された場合には、インプラント治療前に徹底した歯周病治療が必要になります。
歯周病の状態のままインプラントを行うとインプラントがダメになるリスクが高くなります。
また、歯周病は再発率が高い疾患です。
治療後に徹底した歯ブラシができないと歯周病が再発してしまいます。
歯周病が再発するとインプラントにも歯周病細菌が感染しますので、
徹底した管理が必要になります。
当医院では、インプラント治療を希望される方で、歯周病であった場合、
歯周病治療を希望されない場合には、インプラントは行いません。
また、あまりにも歯ブラシができない方はインプラントをお勧めしません。
しかし、現在歯周病であったとしても、インプラント治療前に徹底して歯周病治療を行い、治せば、大丈夫です。
ただし、その後の メインテナンスがきちんとできないと再発する可能性がありますので注意が必要です。
歯周病のある方は難症例と言ってもいいでしょう。
次回のブログは3/3(月 木曜日)になります。
次回は、今日の続きで、『どのような状態が難症例か?:その6:全身疾患による難症例とは?』です。
今週(2/29〜3/2)のインプラント手術報告
今週(昨日)のインプラント手術の中から、
難しいケース であったり、
特殊なケース 等を抜粋して、紹介するコーナーです。
日々の臨床で、どのようなことを行っているか 知っていただきたいと思い 今年から始めました。
それでは、今週のインプラント手術の中から上顎の前歯部にインプラント埋入を行った1症例について解説します。
上顎の前歯部は、インプラント治療にとって 最も難しいケースです。
その理由はいくつかあります。
まず、審美性です。
インプラントを行う場合、当然ですが、歯がない部位に行います。
歯がダメになるということは、それなりの理由があります。
こうした状態を長期間放置すると、
歯を支えている骨が吸収してしまいます。
骨が吸収すると歯肉が退縮します。
これが大きな問題なのです。
歯肉が退縮してしまった状態で、インプラントを行うと
完成したセラミック等の被せ物の被せ物は、
歯が長くなったり(長く見えたり)します。
この詳細は以下を参考にして下さい。
・ 歯と歯の間に隙間ができる原因 !歯が長く見える原因!
インプラントを希望される方の多くは、骨の吸収が起っていることが多く、
前歯部においては難症例になります。
今回治療したケースでも骨の吸収がかなり起っていたため、難しいケースでした。
それでは、今回紹介するケースの詳細を説明します。
骨の幅は約3ミリでした。
通常、最適な骨の幅は、6ミリは必要です。
今回は3ミリですので、かなり骨幅が少ないことがわかります。
また、骨吸収により、骨の高さも2ミリ退縮していました。
幅が半分、高さも2ミリ吸収ですから、かなりの難症例です。
こうした場合には、骨の増大治療( 『GBR法』)が必要になります。
この 『GBR法』には、
あらかじめ、骨を増大(増やす)させてから、インプラントを埋入する方法( ステージド・アプローチと
インプラント埋入と同時に骨を増大する方法( サイマルテイニアス・アプローチがあります。
簡単に言えば、
ステージド・アプローチは2回の手術(骨増大とインプラント埋入)が必要であり、
サイマルテイニアス・アプローチは1回(インプラント埋入と同時の骨増大)の手術で、治療を行うことになります。
もちろん、治療を受ける患者様にとっては、手術回数の少ない、1回の手術が良いということになりますが、全てのケースで、同時(サイマルテイニアス・アプローチ)が適応されるわけではありません。
しかし、私自身は、できるかぎり、少ない手術回数で治療を行うことは非常に大切なことと考えています。
今回は、 インプラント同時GBR法(サイマルテイニアス・アプローチ)にて手術を行いました。
また、通常は“ ドリル ”で骨にインプラントを埋入するための“ 穴 ”をあけるのですが、今回は、“ ド
リル ”をほとんど使用しない、
『スプリッティング法』を行いました。
“ ドリル ”で骨を削除しないため、少ない骨を温存できる利点があります。
今回のような骨幅が少ないケースでは、できるかぎり骨を削らないことが大切です。
さて、 『スプリッティング法』にて少しずつ、骨幅を拡大させ、
元々3ミリ程度であった骨幅は、6ミリ近くまで拡大されました。
この時点で、骨の増大をさほどしなくても大丈夫な状態にまでできました。
この点が大切なのです!
そして、さらに骨の幅を増大させるために、 『GBR法』も行いました。
『骨幅が6ミリあれば、十分なのでは?』
と思われるかもしれません。
しかし、実際には6ミリでは骨幅は十分ではないのです。
その理由として、インプラント手術後には骨が多少は吸収してしまうのです。
インプラント手術を行う際には、最適な(目標の)骨幅の20〜30%増で骨幅の増大を行うことが大切です。
この点も大切なことです!
今回は、 『GBR法』を行う際に、 人工骨(β―TCP)を使用しました。
人工骨の利点はいっぱいあります。
今回はブログですので、ポイントのみ簡単に説明します。
まず、 人工骨ですので、 自家骨のようにご自身の骨を削って採取する必要がありません。
つぎに、 人工骨は、吸収しにくいという利点があります。
ご自身の骨( 自家骨)のみを移植するとかなりの割合で吸収し、なくなってしまいます。
先程『20〜30%増で、骨幅を増やす』
と書きましたが、 自家骨では、かなりの割合で吸収してしまうため、効果が半減してしまいます。
その点、 人工骨(β―TCP)は吸収スピードが少ないため、使用しやすい材料です。
今日はだいぶ話しが長くなってしまいましたので、これで終わりにしたいと思います。
こうした、話はさまざまなテーマをホームページ上からみつける場合には、
ホームページの右上にあるサイト内検索のバー部分に
知りたい文字や文章を入力(書いて)すれば、簡単に検索できます。
このブログはちょっと難しい内容がありますので、調べたことがありましたら、どうぞご利用下さい。
手術時間は、GBR法も行いましたので、約20分程度でした。
今後の治療スケジュール
今後の予定としては、
1. 約7〜10日後に“抜糸”、
2. その後、 約3〜4ヶ月後に仮歯の作製
3. その後、型を取り、
型取りの後、 約20日で完成した被せ物を装着し、完了です。
治療費
インプラントが1本21万円(税込)、
最終的な被せ物は、
ハイブリッドセラミックで105.000円(税込)
の合計315.000円(税込)です。
この中には、治療中のレントゲン撮影や薬代、今回のスプリットクレスト法の費用も全て含まれています。
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大船駅北口歯科インプラントセンターインプラント 歯周病 専門医
神奈川県横浜市にある 日本歯周病学会歯周病専門医 国際インプラント学会認定医の歯科医院
I.T.Iインプラント認定医でもあり、 GBR法 、 サイナスリフト、 審美インプラント等の難症例も行います。
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