インプラントモニター:その14
1/18(月曜日)です。
今日も前回の続きで、『インプラント症例』になります。
この症例紹介ももう14回目になりました。
患者様というよりも同業者(歯科医師)が良く見ていると聞きますが…
このインプラント症例では、一般的なインプラントの症例ではなく、
特殊なケースであったり、
患者様のご希望もふまえた治療法であったり、
工夫をしたケースをご紹介しています。
本日の症例は 歯がほとんどない方に どのようにインプラント治療を行うかという話です。
まず、歯がほとんどない方にインプラント治療を行う場合、以下の写真のように前歯と奥歯に数本のインプラントを埋入し、インプラントブリッジとします。
しかし、歯がほとんどない場合、
インプラントを行いたくても インプラントを埋入するための骨が吸収していたり、
多くのインプラントを埋入すると治療費が高くなってしまったり
等の多くの問題があります。
特に上顎の場合、奥歯では骨の吸収が起こっていることが多く、
骨の高さが5ミリ以下であった場合、骨の移植治療:サイナスリフト法(上顎底挙上術) が必要になります。
このサイナスリフト法(上顎底挙上術) は、治療としてはかなり大変な治療であり、治療を行う私達 歯科医師でもできれば避けたい治療です。
また、多くのインプラントを埋入すると どうしても治療費がかかってしまうため、
できるかぎり最小限のインプラントを埋入して治療を行う計画を立てることも重要になります。
今回ご紹介する症例はまさしく そのような状態です。
患者様は「上顎の前歯がグラグラして噛めない!」とのことで来院されました。
口腔内を拝見すると 上下顎の奥歯はすでに欠損しており、前歯だけの状態でした。
欠損している奥歯には 義歯も使用していないため、前歯に負担がかかり
指で触れても抜けそうなくらい グラグラ でした。
初診時のレントゲン写真が以下になります。
歯周病の検査 等を行った結果、上顎の歯は全て抜歯する必要性がありました。
(実際には、指で触れても取れそうな状態でしたから…)
以下のレントゲン写真の×印は抜歯が必要な歯です。
患者様は、抜歯後に義歯(入れ歯)をご使用されるのは嫌というご希望があったため、
インプラントによる固定式ブリッジを行うことになりました。
しかし、いくつかの問題がありました。
その一つが骨の吸収です。
どれくらい骨吸収が進行しているかを分かりやすくするために、
骨の状態を線で書いたのが以下になります。
青線が骨吸収を起こす前の骨の位置です。
赤線は、現在の骨の位置です。
骨が吸収してしまったのが分かるかと思います。
緑線は上顎洞です。
上顎洞(緑線の上方)は空洞です。
骨ではなく、穴が開いているのです。
上顎洞の詳細は、以下を参考にして下さい。
上顎洞
黄色線は、鼻腔です。
この線の上も空洞です。
骨吸収が大きく、インプラントを埋め込むのが難しいのが分かるかと思います。
上顎の奥歯にインプラントを埋入するためには、骨の移植を伴うサイナスリフト法(上顎底挙上術) を行う必要性があることを患者様にお話しました。
患者様は、サイナスリフト法(上顎底挙上術) を行ってまで治療は行いたくない というご希望がありました。
また、上顎の奥歯にインプラントを埋入するということは 当然のことながら噛み合う下顎にもインプラントを埋入する必要性があります。
下顎の欠損部は以下の黄色丸です。
もし 上下顎の欠損部全てにインプラントを埋入するとかなりの大掛かりな治療になります。
以下は、上下顎の欠損部全てにインプラントを埋入した場合のシュミレーションになります。
もし 上図のような治療になると骨移植 も必要になりますし、インプラントの本数もかなり多くなります。
この治療法は患者様のご希望ではありません。
そこで奥歯にはインプラントを埋入し
ない治療計画になりました。
下顎の奥歯の欠損部と上顎の奥歯の欠損部にはなにも行わない計画
です。
赤線の内側の範囲内でインプラントを埋入する計画になりました。
以下のシュミレーションが今回の治療方法になります。
奥歯にインプラントを行わない治療計画では、骨移植(上顎底挙上術) を行う必要性はありません。
また、インプラントの必要本数も最小限で行うことが可能です。
また、最も奥の部位には骨の吸収が大きかったため、同部位にはインプラントを埋入するために十分ではありませんでした。
そこでインプラントブリッジの最も奥の部位は、カンチレバー という方法で歯を作成する計画になりました。
本来欠損部全てにインプラントを埋入すれは、奥まできちんと噛むこともできます。
最も良い方法です。
しかし、患者様は長い間奥歯は欠損の状態で過ごしてきました。
特に不自由を感じていなかったようです。
また、今回の治療計画の部位までインプラントブリッジができれば、
審美的(見た目)にも歯がないようには見えません。
大変な治療を行わない!
治療費を最小限に抑える!
義歯ではない 固定式にする!
といった患者様のご希望をかなえることが今回の治療目的なのです。
以下は、治療後の状態です。
次回も患者様に合わせて工夫をした症例をご紹介する予定です。
次回のブログは1/21(木曜日)になります。
今週(1/15〜17)のインプラント手術報告
今週(昨日)のインプラント手術の中から、
難しいケース であったり、
特殊なケース 等を抜粋して、紹介するコーナーです。
今年も週末はインプラント手術が多いです。
ここ数日のインプラント手術はさほど難しいケースはありませんでした。
難しくないとはいっても骨の吸収があり、骨増大治療(GBR法)を行う症例が多かったです。
最近インプラントモニターをご希望される患者様がかなり多くなってきましたので、
治療が完了しましたらこのブログでもご紹介させていただきます。
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現在、新規にインプラント症例集のページを作成しています。
さまざまなケースを見ていただくことにより、よりインプラント治療についてご理解していただきたいと思います。
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大船駅北口歯科インプラントセンターインプラント 歯周病 専門医
神奈川県横浜市にある 日本歯周病学会歯周病専門医 国際インプラント学会認定医の歯科医院
I.T.Iインプラント認定医でもあり、 GBR法 、 サイナスリフト、 審美インプラント等の難症例も行います。
HPでは 治療費(費用)の説明や インプラント症例、 無料相談コーナーもあります。