インプラント症例:30回目

3/15(月曜日)です。
本日も30回目になりました『インプラント症例』です。

今まで さまざまなケースに対応した症例をご紹介してきました。
このブログを見られている方で インプラント治療を考えられている方の中の症例にも当てはまることもあるかと思います。
探されてみて下さい。

それでは本日の症例です。

本日の症例は、『上顎の左側の奥歯がグラグラしている!』とのことで来院されました。
この時すでに
下顎の左右の奥歯 もありませんでした。

どんどんと歯がなくなっていく状態で、噛むところがなく 心配になり
『インプラント治療でどうにか噛めるようになりたい!』
とのご希望で来院されました。

以下のレントゲンが初診時になります。
スライド01

上顎の左側の奥歯がグラグラしていました。
指で触っても 取れそうなくらいです。
以下のレントゲンの赤丸が問題となっている歯です。
スライド1

いつものように 骨吸収の状態を分かりやすくするために 骨吸収の状態を線で書いたのが以下のレントゲンになります。
青線が骨吸収を起こす前の骨の位置です。
赤線は、現在の骨の位置です。
スライド02

骨吸収がなかり進行していますね。
本来このように骨吸収する前にきちんと治療しておけば良かったのですが…
現状では、治療が不可能な状態です。
骨吸収が進行しすぎているため、上顎洞との距離もほとんどない状態でした。
以下のレントゲンは、骨吸収の状態 と 上顎洞 との関係です。
緑線は上顎洞です。
上顎洞(緑線の上方)は空洞です。
骨ではなく、穴が開いているのです。
上顎洞の詳細は、以下を参考にして下さい。
        上顎洞
スライド03

結論として、上顎の左側の奥歯(3歯)は、抜歯になりました。
スライド04

もちろん、可能なかぎり抜歯は避けたいところですが、
完全に治すことができない歯周病の状態の歯を そのままにしておくと
治らない歯から歯周病細菌は、他の歯へと感染 してしまいます。
これは、歯周病が感染症 だからです。
抜歯しないでそのままにしておくと 他の歯もダメになってしまいますのでどうしても抜歯が必要です。
また 感染が取除けないと 歯を支えている骨は どんどんと吸収してしまい、抜歯となった後の治療が難しくなってしまいます。
以下のレントゲンは、抜歯後です。
スライド05

次のレントゲンは、抜歯後の状態に 骨吸収 と 上顎洞 を表示したものです。
スライド06

これだけ、骨吸収していると 抜歯後にどのようにしてインプラント治療を行うか悩んでしまいます。

現状で、残っている骨量は非常に少なく、
奥歯では、骨の高さが1〜3ミリしかありません。
通常、上顎の奥歯に適切なインプラントを埋入するためには、
骨の高さは10ミリ以上は必要です。
あまりにも足らない(骨吸収している)のが分かると思います。
上顎の左側奥歯にインプラントを埋入するためには、どうすれば良いのでしょうか?

通常これだけ骨吸収があると 上顎洞内部に骨移植を行うことが必要です。
骨移植とは、サイナスリフト法(上顎底挙上術) のことです。
この治療はかなり大変な治療です。
サイナスリフト法(上顎底挙上術) しか治療方法がない場合には、私自身も行うことはありますが、できれば避けたい治療です。
その理由として、
1.治療自体が大変で、治療後の 腫れ 等が大きく起こる!
2.治療期間が非常に長い!(トータルで1年〜2年近くなることもある!)
3.骨移植に伴う治療費がかかる!
といったことがあります。

この部分へのインプラント治療も大変ですが、
他の欠損(下顎の奥歯)の治療はどうしたら良いでしょうか?
ベストな治療方法としては、欠損全てにインプラントを埋入することです。
以下の シュミレーション:1 のように 左側の上下顎にインプラントを埋入すれば、奥
まできちんと噛めます!
スライド08

しかし、患者様はこの治療方法は希望されませんでした。
その理由としては、
1.シュミレーション:1のように行うと治療費が高額になる!
2.骨移植 等の大変な治療は避けたい!
とのご希望です。
特に治療費については、『最小限の範囲(治療費)で抑えたい!』とのご希望がありました。
また、患者様は下顎は義歯(入れ歯)を使用したくない
とのご希望もありました。

だんだん難しくなってきますね。

ここで治療計画の重要点をまとめます。

1.下顎は義歯(入れ歯)を使用しないため、
  それに合わせた上顎にインプラントを埋入しても意味はない!

2.治療費、骨移植を避けるために最小限の負担で治療を行う!

以上の2点を考慮した結果、インプラントプランは、以下のレントゲンのように
2本のインプラントのみ にしました。(シュミレーション:2)
スライド09

上顎の左側に2本のインプラントを埋入することにより
下顎の残っている2歯とは噛めるようになります。
これは、最小限のインプラント治療本数で
最大限の効果を発揮するプランです。
もちろん欠損全てにインプラントを行えばより良いですが、
無理な治療計画は、単に理想で終わってしまいます。

ここでもう一つの問題があります。
先程の骨の高さです。
骨吸収が大きいため、現状ではどうしても 短いインプラントしか埋入できません。
骨移植 も避けたいのです。
そのため、最終的なインプラント治療計画は以下のようになりました。
スライド10

具体的な治療内容は、以下のようになります。

1.手前のインプラントは、骨移植を避けて可能なかぎり長いインプラントを埋入するために、
  斜めにインプラントを埋入する
  これをインプラントの傾斜埋入 と言います。

2.のインプラントは、大変な骨移植は避けてソケットリフト法 で対応する

以上の2つです。

以下のレントゲンが治療終了後になります。
スライド11

このことにより、
1.最小限の治療期間
2.最小限の負担(大変な治療は避ける)
3.最小限の治療費
で治療が行えました。

今後注意することは、
下顎の右側では噛めないことと 
右側の奥歯でも噛めないことがあるため、
インプラント部分で噛む機会が多くなります。
そのため、インプラント部分が加重負担となり、トラブルがおきないように管理することが必要です。

以下のレントゲンは、治療終了後の状態に 骨吸収の状態 と 上顎洞 を表示したものです。
骨吸収が大きいにも関わらず、極力骨が存在する部位にインプラントが埋入されているのが分かるかと思います。
スライド12

次回のブログは3/18(木曜日)になります。
次回もまだまだ『インプラント症例』です。
さまざまな問題に対応した症例をご紹介します。

お知らせです。
このブログ以外にも 2つのブログを毎週書いているのですが、
現在インプラント基礎ブログ では、『骨粗鬆症治療薬 と 歯科治療の関係』 について 今週から シリーズで解説をしています。
ご興味のある方はご覧になって下さい。
    インプラント基礎ブログ(骨粗鬆症治療薬 と 歯科治療の関係)
基礎ブログは、毎週金曜日にアップしています。

今週(3/12〜14)のインプラント手術報告

今週(昨日)のインプラント手術の中から、
難しいケース であったり、
特殊なケース 等を抜粋して、紹介するコーナーです。

今週末は、簡単な症例が多かったのですが、一昨日行ったインプラントは、少し大変なケースでした。
それは、骨の高さが非常に少なかったからです。
上顎左側奥歯にインプラントを埋入しました。

術前の状態が以下のレントゲンになります。
スライド1

骨の高さが非常に少なく、ソケットリフト法 を応用してインプラントを埋入しました。
詳細は、また後日解説しますが、下顎に埋入してあるインプラントは、他歯科医院にて行った治療であり、下顎左側のインプラントは、インプラント周囲炎(インプラントの歯周病) になっています。
*この症例の詳細は、後日解説します。
以下がイン
プラント手術直後です。
スライド2

使用したインプラントは、ストローマンインプラント(ITIインプラント) です。
この症例はまだ始まったばかりですので、続きはまたご紹介します。

今後の治療スケジュール
今後の予定としては、
1. 約7〜10日後に“抜糸”、
2. その後、 約4ヶ月後に型を取ります。

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大船駅北口歯科インプラントセンターインプラント 歯周病 専門医

神奈川県横浜市にある 日本歯周病学会歯周病専門医 国際インプラント学会認定医の歯科医院
I.T.Iインプラント認定医でもあり、 GBR法 サイナスリフト 審美インプラント等の難症例も行います。
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