CAD/CAMの話
2015年11月19日(木曜日)です。
始めに休診案内です
12月5日(土曜日) CAD/CAM学会
12月6日(日曜日) EBAC合同研修会(ほんだ歯科口臭研修会)
のため休診となります。
このところ 学会 等で 休診の日が続き患者様にはご不自由をおかけします。
日々勉強が大切です。
先週のブログでも書きましたが、
CAD/CAMという分野は 特に進歩が早く、
半年新しい情報をみないとあっと言う間に置いていかれます。
CAD/CAMのような新しい分野は、まだ臨床経験が少ないため、
現時点で正しいと考えられていることでも
後に 変更になることも多々あります。
また、新たに追加されることも非常に多く、
こうしたことは、学会誌 や 情報誌、学会、学術講演、スタディーグループ 等で
学ぶことが必要です。
こうして得た情報を院内でも他の先生とともに
情報共有しています。
このようなため、時々休診させていただくことがあり、
患者様にはご迷惑をおかけしますが、
ご協力よろしくお願い致します。
このブログはインプラント症例を紹介するブログです。
さて今日のブログは、本日の最初にも話しましたCAD/CAMについて解説します。
このところ他のブログでもCAD/CAMについて書くことがありますが、
ここでももう少し進めていきます。
まず基本的なこととして
CAD/CAMとは?
どんな治療なのか?
という話から始めます。
他のブログでも書いたことがあるのですが、
CADとは、
Computer Aided Design
のことで、
コンピュータ支援設計と言われます。
セラミックの被せ物をコンピューターを使用して設計するということです。
従来セラミック 等の被せ物は、歯科技工士が全て手作業で作製されていました。
被せ物を作製するために削った歯を型を取り、
模型として再現します。
その模型上で、セラミック等の外形をワックスという材料で作製します。
このワックスを石膏の中に埋め込みます。
鋳型ですね。
ワックスは高い温度で溶けるので、
石膏の中に埋没されたワックスを高温で熱することで
ワックスだけ溶け出します。
ワックスが溶けると石膏の中に空洞ができます。
この空洞の中に高温で溶かされた金属を流し込みます。
金属が冷えたら、
石膏を壊して鋳型に流し込まれた金属の被せ物を取り出します。
この鋳型を良く研磨します。
金属の被せ物の場合、これで完成です。
しかし、従来のセラミックの場合には、
この金属の鋳型にセラミックを焼き付けて作製されます。
従来のセラミックは、
日本語では
陶材焼付鋳造冠(とうざいやきつけきんぞくかん)
と言います。
金属でできた鋳型に
セラミックを焼き付けるということです。
大変な時間がかかり、
技術力にも差がでる作業です。
職人技です。
しかし、CAD/CAMはまったく違います。
歯を削った状態をスキャナーで読み込み、
それをコンピューター上で設計する方法です。
コンピューターで設計する作業は非常に簡単です。
先ほどの従来のセラミック作製作業とは大きく違い、
技術的な差が非常にでにくいです。
それは、歯の形等は、基本的にコンピューターにデータ化された情報を元にして
PCが勝手に歯の外形を作ってくれるのです。
わずか数十秒です。
完成されたセラミックのデザインの修正があれば、
パソコン上で修正作業をしますが、
ほぼ初心者でも十分できる作業です。
先ほど書きましたように
今までの手作業で作製されるセラミックは、
このデザインをを決めるまででも数時間かかることもあります。
このステップがわずか数秒で完了です。
これがCADです。
また、このCADで作製されたデータを
実際のセラミックにする行程が
CAMです。
Computer Aided Manufacturing
の略です。
日本語では、コンピュータ支援製造と言われます。
簡単に言えば、
CADで作成された形状データを
ミリングマシンという器械がセラミックのブロックを削り出して
作製する行程のことです。
近年では、3Dプリンター というものを聞いたことがあるかと思いますが、
それと似たものです。
セラミックのブロックを削り出すことで多くのメリットが生まれます。
今までのセラミックの作業は、
職人が瀬戸物の お皿 や 壷 等を作製することと似た作業で、
一つ一つ手作業で作製するため、
品質に多少の差がでます。
しかし、セラミックのブロックは品質のバラツキがほとんどないのが特徴です。
そのため、歯科技工士の技術レベルに差が生まれません。
人の手が必要な行程は、ミリングマシンというCAMが
削り出したオールセラミックをきれいに研磨するだけです。
本当に簡単にできるようになりました。
小さなセラミックですと
コンピューターの設計(CAD)から
ミリングマシンでのセラミックの削り出し(CAM)まで
15分程度です。
従来のセラミック作製では、
完成まで
早くても1日から3〜4日はかかる作業が
わずかに15分です。
これが院内で完了するわけです。
また、ばらつきが少ないので
精度が非常に高いことも優れた点です。
こうしたCAD/CAMもさまざまな点で向上しています。
一つ目は、
歯の型を読み込むスキャナーですが、
この精度も年々向上しています。
コンピューターでセラミックを作製する作業も精度が上がっています。
もちろんミリングマシンという
セラミックブロックを削りだす器械の精度も向上し、サイズも小さくなっています。
もっとも進歩の大きいのが、
セラミックブロックです。
どんどんと新しいセラミックブロックが発表され
臨床にでてきます。
多くの先生が臨床応用することで
多くのセラミックブロックが生産され、
各メーカー競争も激しくなってきています。
当然のことながら需要が多くなるわけですから
セラミックブロックの価格も下がります。
特にジルコニアという素材は、
価格が下がってきていることもあり、
11月から当医院でも価格をかなり下げました。
CAD/CAMは、これからも歯科の中で日々発展していくことで
品質の向上 と 価格が下がることで
患者様に多くの利益を生む治療となるでしょう。
まあ時代的に
口腔内に金属の被せ物が “ キラット光る ”というのを避けるのは当然のことであると思います。
当医院でも従来の日本の健康保険で適応されてきた
金属の詰め物 や 被せ物を希望される方は
圧倒的に少なくなってきました。
本日はインプラントの症例ではなく、
CAD/CAMの話でした。
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