オベイド・ポンティック:審美的に治療を行うために…その3
2/11(月曜日)です。
今日のテーマは、オベイド・ポンティックの3回目で、『ポンティックについてさらに詳しく…』になります。
前回までの内容で、ポンティックとは、ブリッジの欠損部のことであることがお分かりになっていただけたと思います。
ポンティックは欠損部の歯肉の上に乗っかっているだけのものです。
当然、歯肉とくっついているわけではありません。
単に歯肉の上の乗っかっているだけなのです。
そのため、ポンティック部分には食事をすると多少の食物が溜まります。
通常これは、さほど気になることはありません。
(ちなみに私自身も前歯はブリッジになっており、ポンティックがありますが、食事中 特に気になることはありません…体験済みです。)
しかし、場合(個人差はあります)により、歯がない部分は時間の経過とともに痩せていく傾向があります。(歯肉が退縮してく)
これは、歯がないと噛む力が直接骨に加わらないため、骨が痩せてくる現象が起るためです。
この詳細は こちらを参考にして下さい。
ポンティック部分の歯肉が痩せてくると
その部分に食物が詰まりやすくなったりします。
また、審美的にも問題が出てきます。
それでは、一般的なポンティックの形について解説したいと思います。
通常のポンティックの形態
一般的なポンティックの形態は以下の図のようになります。
クリックすると拡大されます。
1 鞍状型(あんじょうがた)
馬の鞍(くら)のように歯肉をまたぐように設定されています。
物が詰まりにくいのですが、逆に清掃性が難しいという欠点があります。
2 船底型(ふなぞこがた)
通常、下顎の奥歯に使用するタイプです。
船の底のような形をしているため、このような名前になっています。
清掃性に優れています。
しかし、上顎の前歯部にこの形態を採用した場合、発音に問題が生じやす
いことがあります。
3 リッジラップ型
通常、上顎の前歯部に採用する形態です。
発音と清掃性を考慮すると優れた方法です。
しかし、歯肉に圧力が加わりにくいので、歯肉が痩せてくることがありま
す。
歯肉に圧力が加わるということは、その下にある骨にも圧力が加わるため、
骨が吸収しにくいことがあります。(全てのケースではありませんが…)
この詳細については こちらを参考にして下さい。
ここまでで、ポンティックについてだいぶ お分かりになったと思います。
次回のブログは2/14(木曜日)になります。
次回のテーマから いよいよ本題に入ります。
『審美性を重要視したオベイド・ポンティックとは?』です。
今週(2/8〜9)のインプラント手術報告
今週(昨日)のインプラント手術の中から、
難しいケース であったり、
特殊なケース 等を抜粋して、紹介するコーナーです。
日々の臨床で、どのようなことを行っているか 知っていただきたいと思い 今年から始めました。
それでは、今週のインプラント手術の中からインプラント埋入と同時骨増大治療(GBR法)および骨幅拡大治療(スプリットクレスト法)を行った1症例について解説します。
症例は上顎の前歯部です。
初診時にすでに、前歯が2歯分欠損しており、欠損部の両側の天然歯2歯を土台として、ブリッジをしていました。
その土台である天然歯が歯根破折してしまったため、抜歯となったケースです。
歯根破折についての詳細は以下を参考にして下さい。
・ 歯根破折
ホームページやこのブログでも良く書きますが、
神経のない歯は脆く、歯根破折する可能性が非常に高いのです。
この歯根破折についての論文は多く報告されており、
2004年にAxelssonが報告した論文によると、
30年間の長期にわたり、歯の喪失率をまとめた結果、
歯を失った原因で最も多かったのは、『歯根破折』であったとしています。
歯根破折は、歯周病や虫歯で抜歯となったことよりも多かったのです。
神経のない歯は寿命が短いのが現状です。
もちろん虫歯が深かったり、痛みがあった場合などは、神経を取り除く必要性がありますが、できるかぎり歯の神経を取らない方が将来的な予知性は高くなります。
もっと言えば、神経を取るような状態にまで、虫歯を放置しないということです。
虫歯治療も早く行えば、神経も取らずに、簡単に行えます。
早期発見、早期治療が最も大切なのです。
話は今回の症例に戻りますが、2歯は 歯根破折していたため、抜歯になりました。
また、もともと歯がない部分(ポンティック部)は、骨の吸収が著しく認められました。
歯がない部分の骨は、力が加わらないため、骨がどんどんと痩せていくのです。
今回のようにブリッジの歯がない部分(ポンティック)は、力が直接骨に加わらないため、痩せていきます。
歯が欠損していると骨が痩せてくる原因については以下を参考にして下さい。
・ 歯がないと骨は痩せていきます
この症例では、骨が痩せた結果、厚みが2〜3ミリ程度しかありませんでした。
今回使用したインプラントは直径が4.1ミリでしたので、骨の幅がぜんぜん足らないことになります。
骨の厚みが2〜3ミリしかない部分に、直径4.1ミリのインプラントを埋入するのですから、無理があるのは当然です。
通常、4ミリ程度のインプラントを埋入するためには、骨の厚みが6ミリはないとダメなのです。
そのため、今回は骨の幅を押し広げる方法を併用してインプラントの埋入を行いました。
この方法を 『スプリットクレスト法』と言います。
上顎の骨が薄い場合には良く行う方法です。(骨の状態により下顎でも行うこともあります…)
今回はインプラント埋入前にこの 『スプリットクレスト法』を行い、骨幅を増大させてからインプラントの埋入を行いました。
それでも骨の幅が不十分な場所には、β―TCPという人工の骨を使用し、骨の増大治療( 『GBR法』)を行いました。
『β―TCP』は人工的に生成された骨なので、それ自体が完全に骨になったりすることはありませんが、ご自身の骨や血液中の細胞が混ざることにより、骨に置換しやすいものです。
また、完全人工生成のため、非常に安全性が高いのも特徴です。
日本において 『β―TCP』は、歯科よりも整形外科等で、複雑骨折の治療等で普及している材料です。
また、 GBR膜 として吸収性の『コラーゲン膜』を使用しました。
吸収性膜は、歯肉とのなじみも良く、インプラント同時の GBR法 では世界的に最も使用されている膜で、吸収性膜なしでは、 インプラント同時GBR法は成り立たない治療法です。
日本人にインプラント治療を行う場合、骨の幅が不十分であることが多く、
多くのケースにおいて GBR法を行います。
当医院においてもインプラント治療の約半数はGBR法を併用しています。
吸収性膜なしでは、インプラント治療は行えないと言ってもくらい重要な材料です。
使用したインプラントは、
ストローマン・インプラント ( I.T.Iインプラント)
SLAタイプ 直径4.1mm 長さ10mmが2本でした。
麻酔方法は虫歯の治療で行うような普通の歯科麻酔です。
インプラントの埋入本数が少なかったり、
インプラント手術に際し、さほど不安がない方にはこうした簡単な麻酔方法でインプラント埋入を行います。
もし、インプラント治療に不安がある場合には
『静脈内鎮静法』
にて麻酔を行います。
今回の治療は、骨吸収等があり、 『スプリットクレスト法』や 『GBR法』を併用したため、腫れる可能性があります。
インプラントに対する患者様の不安なこととして、治療後の痛みと腫れがあります。
骨の状態に問題がなく、インプラントの治療本数も少ない場合、
手術後に腫れることはほとんどありません。
しかし、今回のような場合には腫れる可能性があります。
腫れた場合、2〜7日程度腫れます。
もちろん個人差はあります。
また、手術後の過ごし方にもよります。
しかし、腫れたからといっても痛みが長く続くようなことはほとんどありません。
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大船駅北口歯科インプラントセンターインプラント 歯周病 専門医
神奈川県横浜市にある 日本歯周病学会歯周病専門医 国際インプラント学会認定医の歯科医院
I.T.Iインプラント認定医でもあり、 GBR法 、 サイナスリフト、 審美インプラント等の難症例も行います。
HPでは 治療費(費用)の説明や インプラント症例、 無料相談コーナーもあります。