インプラント症例:85回目
12/20(月曜日)です。
このインプラント症例ブログは毎週 月曜日と木曜日にアップしていますが、暫くの間は 月曜日だけになります。(ちょっと忙しいので…すみません)
『85回目のインプラント症例』になります。
始めに 年末年始 休診のお知らせです。
12/30(木)〜1/4(火)
まで 休診とさせていただきます。
本年度の予約のお知らせ!
急に 年末の予約キャンセルが 多く出ましたので、
ご希望の方がいらっしゃいましたらネット予約が可能です。
ご利用下さい!
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本日の症例のテーマは、
「インプラント周囲炎」です。
インプラント周囲炎とは、インプラントが歯周病と同じような症状になることです。
インプラント治療後に歯ブラシが不十分になると
汚れは 歯肉 と インプラントの境目から内部に侵入していきます。
この汚れは歯周病細菌と同様の細菌です。
そして初期の段階では インプラント周囲の歯肉が腫れて行きます。
その後 インプラントを支えている歯槽骨を吸収してしまいます。
最終的にはインプラントはダメになり、撤去することになります。
これが インプラント周囲炎 なのです。
本日ご紹介するケースは、
他歯科医院で行ったインプラントが 「インプラント周囲炎」となり
紹介されて当医院を受診された方です。
また、インプラント周囲炎以外にも問題が多くあった方です。
症例は、10年程前のケースですので、初診時のレントゲンは少し見づらくてすみません。
それでは早速見てみましょう!
以下が初診時です。
右下のインプラントは他の歯科医院で行ったとのことです。
インプラント治療後に その手前にある天然歯がグラグラしてきて
腫れを繰り返した結果、自然に脱落してしまったとのことでした。
紹介を受けて当医院に来院された時に 検査を行うと
さまざまな問題を抱えていました。
まず、2本埋入してあるインプラントのうち
手前のインプラントが感染を起こしていました。
インプラント周囲炎です。
骨吸収も起こしていました。
ここでいつものように 骨吸収の状態を線で書いてみましょう!
青線が骨吸収を起こす前の骨の位置です。
赤線は、現在の骨の位置です。
何度か このブログを見られている方は、
この線がだいぶ分かってきたのではないでしょうか?
始めて見られる方は、是非この線を覚えておいて下さい。
赤線まで骨が吸収したということです。
インプラント周囲炎(骨吸収)がここまで進行してしまうと
治療することが難しくなります。
結果として、インプラントを摘出することが必要な状態でした。
それでは なぜ このような状態になってしまったのでしょうか?
口腔内全体が非常に進行した歯周病だったのです!!
それでは、これも先程と同じように
骨吸収の状態を線で書いてみましょう!
青線が骨吸収を起こす前の骨の位置です。
赤線は、現在の骨の位置です。
骨吸収が非常に進行しているのが分かると思います。
上顎左側の奥歯に関しては グラグラ です。
上顎左側の奥歯 2歯は保存が難しい状態でした。
抜歯と判断しました。
他の歯もかなり 歯周病が進行していました。
このままでいると ほとんどの歯はダメ(抜歯)になってしまうような状態です。
また、歯周病が進行した他の原因として、
奥歯が欠損していることです。
奥歯が欠損していると 残っている前歯に負担が加わります。
奥歯の噛み合わせをきちんとすることが 残っている歯の将来を決定します。
患者様は、上顎左側の奥歯を抜歯後には、インプラント治療をご希望されました。
しかし、骨吸収が大きく インプラント治療は無理な状態でした。
その理由として、上顎洞の存在があるからです。
上顎洞とは、上顎の奥歯の上方にある空洞のことです。
上顎の奥歯の上方には、この上顎洞という空洞が存在するため
インプラント治療を難しくしているのです。
実際に上顎洞を線で書いてみましょう!
先程解説しましたように この緑線の内側は骨ではありません。
ただの空洞です。
さらに見やすくするために 上顎洞を緑色で塗りつぶしてみましょう!
現状では 骨吸収と 上顎洞の存在のため、インプラントを埋め込むことはできません。
骨の高さがほとんどないのです。
そのため、もし 上顎左側の奥歯にインプラント治療を行うためには、
上顎洞内部に骨移植を行うことが必要になります。
この治療をサイナスリフト法(上顎洞底挙上術) と言います。
このサイナスリフト法(上顎洞底挙上術) は、
インプラント治療の中で最も大変な治療です。
治療後の腫れ 等も大きく起こります。
しかし、今回のような骨吸収が大きいケースの場合、
このサイナスリフト法(上顎洞底挙上術) を行わないとインプラント治療は不可能です。
患者様は、上顎左側の奥歯に関しては、このサイナスリフト法(上顎洞底挙上術) を行い、インプラントを埋入することに同意していただけました。
次に問題があったのが、上顎右側奥歯です。
この部分も骨吸収と上顎洞の問題がありました。
骨の高さがほとんとありませんでした。
左右ともサイナスリフト法(上顎洞底挙上術) を行い、インプラント治療を行うことが最も良い方法です。
しかし、サイナスリフト法(上顎洞底挙上術) がどれほど大変であるのかが分からないため、まずは 左側を行い、その後に右側を行うかどうか決めたいとの患者様のご希望がありました。
そのため、インプラントの治療計画は以下のようになりました。
まず、下顎右側です。
まずインプラント周囲炎となっている インプラントを摘出します。
その後、摘出した手前の部分に新たにインプラントを埋入し、
先に埋め込んであった奥のインプラントとブリッジを行います。
次に下顎左側です。
この部分には、インプラントを1本埋入する計画を立てました。
次に骨の状態に問題のある上顎左側の奥歯です。
この部分には、サイナスリフト法(上顎洞底挙上術) を行い、2本のインプラントを埋入する計画を立てました。
まず、徹底した歯周病治療を行うことが最優先です。
歯周病の状態のままでインプラント治療を行うことは良いことではありません。
インプラントにも歯周病細菌が感染してしまうからです。
以下のレントゲンは、歯周病治療が終了した後で、
上顎左側の奥歯を抜歯し、
下顎の奥歯に1本のインプラントを埋入した後です。
次に上顎左側の奥歯に骨移植(上顎洞底挙上術) を行いました。
移植した骨が安定するまでには、かなりの期間がかかります。
約6ヶ月以上です。
その間に下顎右側のインプラント周囲炎は摘出し、新たなインプラントを埋入して
インプラントブリッジとなりました。
下顎左側も被せ物まで終了したのが以下のレントゲンです。
上顎左側の 上顎洞内部に見える 白っぽいのが 移植した骨です。
以下のレントゲンは、上顎左側の奥歯にインプラントを埋め込んで治療終了後
約10年程たった状態です。
上顎右側の奥歯は 結果的に 現在まで
サイナスリフト法(上顎洞底挙上術) は行っていません。
義歯となっています。
しかし、左側だけでも奥まで きちんと 噛み合う部位が確保されたことは
非常に重要なことです。
奥歯できちんと噛めることにより、残っている前歯への負担が少なくなっているのです。
もし、今回奥歯にインプラント治療を行っていなければ、
前歯はダメ(抜歯)になっていた可能性が高いと考えられます。
以下のレントゲンは、上顎左側の上顎洞の位置を
術前 と 術後 で表したものです。
骨移植により 骨の高さが大幅に増大したのが分かるかと思います。
本日のテーマは、インプラントも歯周病のように感染してしまう可能性があるということです。
また、歯周病がある状態では けしてインプラント治療を行ってはいけません。
また、歯周病は、放置すればするほど骨吸収が進行します。
歯周病が進行した状態で抜歯すると
骨吸収が大きくなりますので、その後のインプラント治療が困難になってしまうのです。
歯周病は怖いですよ!
次回のブログは12/27(月曜日)になります。
今年最後のインプラント症例ブログになります。
次回もまだまだ続く『インプラント症例』です。
さまざまケースを紹介しますので、きっと あなたと同じような症例があるはずです。
先週のインプラント手術報告
先週のインプラント手術の中から、
難しいケース であったり、
特殊なケース 等を抜粋して、紹介するコーナーです。
今週も多くのインプラント手術がありました。
全ては紹介できませんが、インプラントモニターの方を何症例かご紹介します。
始めに上下顎に合計4本のインプラントを埋入した方です。
どの部位を とっても非常に大変なケースでした。
スプリッティング法(リッジエクスパンジョン法) 、
OAM(大口式)インプラントシステム 、
ソケットリフト法 、
GBR法(骨増大法)
等さまざまな方法を駆使してインプラントを埋入しました。
使用したインプラントもそれぞれの部位に適したインプラントを使用しました。
前歯部には審美性の高いアンキロス インプラント 、
奥歯には世界的に高いシェアーと長い歴史をもつ
ストローマンインプラント(ITIインプラント) を使用しました。
治療費
インプラントモニターの場合、1本168.000円(消費税込)になります。
当医院のインプラント治療費用の中には、
治療中のレントゲン撮影や薬代、
土台(アバットメント) の費用、
仮歯 の費用、
治療経過のレントゲン撮影、
セラミック等の被せ物の費用、
スプリッティング法(リッジエクスパンジョン法) 、
OAM(大口式)インプラントシステム 、
GBR法(骨増大法:インプラント埋入と同時の場合) 、
ソケットリフト法 の費用、
静脈内鎮静法(眠っている間に終了します) の費用も含まれています。
治療計画以上の追加費用はありません。
全て含まれた費用です。
次のケースです。
上顎右側に1本のアンキロス インプラント を埋入しました。
左側には、すでにインプラント治療が行われています。
以前左側にインプラント治療を行い、
とても満足されていたので、今回の側ももちろんインプラント治療となりました。
インプラント治療以外ですと、
欠損の両側の歯を削るブリッジ、
義歯(入れ歯)になります。
やはり、インプラント治療の方が良いですよね!
次の症例です。
上顎左側にインプラントを3本埋入しました。
これが非常に大変な治療でした。
詳細は、また治療が完了しましたらご紹介しますが、
3本のうち 奥の2本は、骨の高さが3〜4ミリ程度しかありませんでしたので、
サイナスリフト法(上顎洞底挙上術) と
PRP法 を併用してインプラントを埋入しました。
こうした場合には、もちろん麻酔は静脈内鎮静法(眠っている間に終了します) です。
使用したインプラントはストローマンインプラント(ITIインプラント) です。
このようなケースでは非常に有効なインプラントの種類です。
下顎左側の1本のインプラントは少し前にインプラントを埋入してあります。
上下顎2回に分けてインプラントを埋入する場合もありますし、
上下顎同時に行うこともあります。
どちらの治療法で行うかは患者様のご希望によります。
他にもインプラント手術はいっぱいありましたが、
また、紹介できる時があれば、アップしたいと思います。
インプラントモニター募集(20%割引
現在、新規にインプラント症例集のページを作成しています。
さまざまなケースを見ていただくことにより、よりインプラント治療についてご理解していただきたいと思います。
そのため、症例を公開しても大丈夫という方(インプラントモニター)を募集しています。
インプラントモニターの詳細については、下記をクリックして下さい。
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