どのような状態が難症例か?:その7
3/10(月曜日)です。
今日も前回の続きで、どのような状態が難症例か?:その7:全身疾患による難症例とは?『腎臓病は難症例?』になります。
この内容も以前書いたものですが、重要な話なので、書きたいと思います。
腎臓病とは?(簡単なミニ知識)
腎臓は尿をつくる器官で、腰の少し上の背中側に背骨をはさんで左右に1つずつ(2つ)あります。
人は毎日さまざまなものを食べたり、飲んだりしています。摂取した食物は栄養分を吸収したあとで尿や便として排泄されます。
以下は腎臓の働きの簡単な解説です。
1 尿をつくる(老廃物の排泄)
老廃物の混ざった血液を濾過して尿中に排出し、きれいになった血液を全
身に戻します。濾過装置のような役目です。
2 体内のバランスを保つ
尿細管はナトリウム、カリウム、カルシウム、リン、重炭酸イオンなどの
うち体に必要なものを取り込み、また、不要なものを尿中へ分泌して排泄
しています。
これにより、体内のイオンバランスを一定に保ち、血液を弱アルカリ性に
保っています。
3 血圧の調整
腎臓では血流の流れが悪くなるとそれを感知し、酵素が分泌されます。
4 血液をつくる働きを助ける
腎臓から分泌されるホルモンにより赤血球の数を調整しています。
腎臓の機能が低下すると赤血球も減少するため、貧血症状があらわれます。
5 ビタミンDの活性化
ビタミンDは腎臓で活性型ビタミンDとなり、小腸からのカルシウムの吸収を促進します。腎臓の機能が低下するとカルシウムの吸収が悪くなり、インプラントにも関係する骨軟化症、骨粗鬆症の原因にもなります。
腎臓病の方はインプラント治療が可能か?
腎臓病には軽いものから重いものまであり、その原因も治療法(食事制限や薬の服用、透析、移植等)もさまざまです。
そのため、腎臓病の方は全てインプラント治療ができないということではありません。
ただし、腎臓病の方は免疫力が低下しているため傷が治りにくく、骨との結合も難しくなります。
また、インプラント治療の際に服用する抗生剤や鎮痛薬等の使用制限もあります。
人工透析を受けている方では、血液の循環をよくする薬を服用するため、外科的処置をした時に止血しない場合があります。
そのため、人工透析を受けられている方はインプラント治療の際には注意が必要です。
病状にもよりますが、基本的に腎臓病の方はすぐインプラント治療が可能ということにはなりません。
担当医師との連携により相談しながら可能かどうか判断していきます。
インプラント治療をご希望の場合には必ず担当歯科医師に伝える必要性がある疾患です。
次回のブログは3/13(木曜日)になります。
次回は、今日の続きで、『難症例8:心筋梗塞、脳梗塞、脳卒中を起こしてから6ヶ月以内』です。
今週(3/14〜16)のインプラント手術報告
今週(昨日)のインプラント手術の中から、
難しいケース であったり、
特殊なケース 等を抜粋して、紹介するコーナーです。
日々の臨床で、どのようなことを行っているか 知っていただきたいと思い 今年から始めました。
それでは、今週のインプラント手術の中から骨吸収が著しく起っている上顎にインプラントを5本埋入した1症例について解説します。
患者様は、現在上顎(前歯部)に3本の歯だけが残っています。
この残っている歯はすべて抜歯しなければ、ならないような状態です。
3歯を抜歯すれば、もちろん総義歯になります。
通常、このように抜歯しなければならない歯が存在する場合、先に抜歯を行い、歯肉が治癒後にインプラントの埋入を行います。
そのため、抜歯すると歯がなくなってしまいます。
通常は、抜歯後には、義歯(総義歯)となります。
この義歯は、インプラントと骨が結合するまでの間、使用していただきます。
しかし、今回治療を行った患者様は、義歯を使用するのがどうしても 嫌 ということがあり、
今回は、抜歯予定の3歯にてブリッジの仮歯を作製することになりました。
固定式の仮歯です。
上顎は3歯しか残っていないため、仮歯であれ、ブリッジとすることは困難なことですが、義歯をどうしても使用したくないという希望の中で、
選択肢はあまりない状態でした。
残っている3歯で仮歯のブリッジをする以外の方法としては、
即時加重(負荷)・インプラント という方法があります。
この治療法は、インプラントを埋入した当日にインプラントの土台にした仮歯を作製する治療法です。
しかし、この方法を行うためには、埋入したインプラントがしかかりとしていないといけません。(埋入したインプラントが動かない等…)
今回のケースは、骨が吸収しており、骨幅が非常に少ないため、埋入したインプラントの安定性は悪いことが事前に分かっていますので、
即時加重(負荷)・インプラント はできない状態でした。
そのため、抜歯予定の3歯は、とりあえずそのままとし、インプラントと骨が安定するまで、残しておくことにしました。
インプラントと骨がくっつく(結合)するのは、埋入後 約3〜4ヶ月です。
それまで、天然歯同士のブリッジの仮歯は使用します。
このように 治療方法は一つしかないということではなく、患者様の生活習慣や、ご希望等により、さまざまなバリエーションがあります。
今回は上顎に残っている3歯は、抜歯予定ですが、インプラント治療がある程度進行する期間中は、仮歯の土台として利用することにしました。
今日のインプラント手術報告は、インプラント治療の進め方を中心に解説しました。
手術は、 『静脈内鎮静法』 にて、行ったため、
手術時間は、約90分程度でした。
今後の治療スケジュール
今後の予定としては、
1. 約7〜10日後に“抜糸”、
2. その後、 インプラントと骨が結合するまで、
約3〜4ヶ月お待ちいただきます。
3. インプラントと骨が結合後、天然歯を抜歯します。
そして、インプラント同士のブリッジの仮歯にします。
4. 今度はこのインプラントを土台にした仮歯で約2ヶ月待っていただきます。
抜歯部が治癒するまでの間です。
5. 抜歯部が治癒したら、いよいよインプラントの型取りです。
6. 型取り後、被せ物が完成したら口腔内に装着して完了です。
今回は、治療期間中の義歯を避けるため、抜歯予定の天然歯を暫く使用していました。
インプラントと天然歯が結合するまでです。
そのため、治療期間は長くなってしまいましたが、治療期間中、義歯を使用したくない方には最適な治療方法と言えます。
治療費
インプラントが1本 21万円(税込)×5本、
被せものが、1歯 105.000円(税込)×10歯、
ですので、合計2.100.000円(税込)になります。
費用はかかりますが、総義歯ではなく、
固定式になります。
この中には、治療中のレントゲン撮影や薬代、今回のスプリットクレスト法の費用も全て含まれています。
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大船駅北口歯科インプラントセンターインプラント 歯周病 専門医
神奈川県横浜市にある 日本歯周病学会歯周病専門医 国際インプラント学会認定医の歯科医院
I.T.Iインプラント認定医でもあり、 GBR法 、 サイナスリフト、 審美インプラント等の難症例も行います。
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