最新インプラント症例:172回目

2012年12月6日(木曜日)です。
始めに12/9(日)の診療時間についてのお知らせです。
15:30までの診療となります。
この最新インプラント症例ブログは毎週木曜日にアップしています。
『172回目のインプラント症例』になります。
前回のブログでは、上顎の奥歯にインプラントを埋入する際に、骨吸収が大きくインプラントを埋入するのが困難なケースに対してソケットリフト法 という治療法を行い、インプラントを埋入した症例を報告しました。
ソケットリフト法 は、よく行なわれる治療法です。
しかし、実際の臨床というのは、本当にさまざまなケースがあります。
上顎の奥歯で骨吸収が大きいからといって 必ずソケットリフト法 が適応されるわけではありません。
実際の臨床では、その状況によりさまざまな治療法を駆使して行なうのです。
本日の症例は、上顎の奥歯が欠損している症例で 骨吸収が大きく
インプラント治療が困難なためにインプラントの傾斜埋入
という方法を併用して行なったケースをご報告(再アップケース)します。
前回のブログと同様に 始めに上顎の奥歯の骨の状態について解説します。
この上顎の奥歯の解剖学的な状況が分かっていないと 今回のテーマを正確に理解することができないかです。
それでは、上顎の奥歯の骨吸収についてから解説します。
いつも このブログをご覧になっている方は、上顎の奥歯の上方に上顎洞 という空洞があるのをご存知かと思います。
以下のような症例(参考例であり、今回の症例ではありません)です。
緑色の線より上方が上顎洞になります。
スライド06
以下のレントゲンは、
上顎洞(空洞部分)を緑色で表しています。
歯周病等で骨吸収した部位は赤色です。
現在残っている骨は、緑色赤色の間のみになるのです。
スライド07
緑色の部分は空洞ですので、このままでは空洞内部にインプラントを入れることはできません。
そのため、上顎の奥歯にインプラントを行う場合には、
骨の高さに制限ができてしまいます。
つまり、長いインプラントが埋入できないのです。
それではなぜこのようなことが起こるのでしょうか?
この上顎洞は、歯がなくなると下方に下がってきます。
実は、もともとこの上顎洞は、もっともっと上の方にあったのです。
上顎洞は、硬い骨のようなものではなく、布のようなものと思って下さい。
例えれば、ハンモックが垂れ下がっているようなものです。
そして、歯がそのハンモックを支えているのです。
歯が支柱になっているのです。
歯が抜けるということは、ハンモックの支えがなくなるのと同じです。
支えがなくなった布(上顎洞)は、重力にしたがって下がっていくのです。
それでは、本日の症例を始めます。
以下が初診時です。(先程の参考症例とは違います)
患者様は、上顎右側の奥歯が欠存しており、噛めないとのことで来院されました。
スライド01
上顎右側が3歯分欠損しています。
スライド02
まず、右側上顎洞と骨吸収の状態を線で書いてみましょう。
青線が骨吸収を起こす前の骨の位置です。
赤線は、現在の骨の位置です。
緑線は上顎洞です。
スライド03
さらに分かりやすくするために右側上顎洞緑色で塗りつぶしてみましょう。
この右側上顎洞は下方に下がってきたのです。
スライド04
それを分かりやすくするために左側上顎洞も一緒に表示してみましょう。
スライド05
右側の上顎洞左側の上顎洞では、その位置が違うのが分かるかと思います。
歯が欠存したために右側の上顎洞が下がってきたのです。
このように比較すると分かりやすいかと思います。
上顎が下がってくるのは、時間が経過すればするほど起こりやすくなってきます。
つまり、抜歯後はできるかぎり早急に対応しないとインプラント治療が難しくなるのです。
スライド06
それでは、この患者様の治療方法はどのように行ったら良いのでしょうか?
現在の状態のままでインプラントを行うと以下のようになります。
スライド07
上顎洞が下方に下がってしまったために短いインプラントしが埋入ができなくなります。
インプラントが安定するためには、可能なかぎり長いインプラントを埋め込むことが最も大切です。
そのための確実な方法は、上顎洞の中に骨の移植を行うことです。
この治療方法をサイナスリフト法(上顎底挙上術) と言います。
サイナスリフト法(上顎底挙上術) は、骨の増大を確実に行える治療方法です。
しかし、結構大変な治療にはなります。
移植する骨をどこかから採取することが必要になります。
一般的には、顎の尖端(顎先)や 下顎枝(下顎の奥歯のさらに後ろ側)から取ってきます。
取ってきた骨を粉砕して 人工の骨 と ミックスさせて上顎洞内部に入れるのです。
下顎から採取した骨 と 人工骨 のミックスしたものが骨になるまで 6ヶ月から1年程度待ちます。
そして、骨の増大が確認できたらインプラントを埋入することができるのです。
私自身もこのような治療法も行うことがありますが、できるかぎり避けたい治療です。
(比較するために 次回の症例報告ではサイナスリフト法(上顎底挙上術) を行ったケースを紹介します)
その理由として治療を受ける患者様にとっては負担が大きいからです。
できるかぎり簡単で、
できるかぎり負担の少ない治療、
ということを行いたいと 考えています。
それは もし私自体がこのような治療を受ける立場であったとすれば
できるかぎり大変な治療は避けたいと思うからです。
サイナスリフト法(上顎底挙上術) を行えば、骨の増大は確実に行えますが、
それに対する治療後の腫れが大きくなったり、
骨移植による治療費の負担があったり、
治療期間が長くなります。
患者様ご自身もそうした治療方法はご希望されませんでした。
そこで最終的な治療方法は以下のようになりました。
スライド09
上顎洞を避けてインプラントを斜めに埋入することにしました。
これをインプラントの傾斜埋入 と言います。
これにより、骨移植を避けることができました。
また、長いインプラントを埋入することも可能になりました。
長いインプラントを埋入することで インプラントの本数も最小限の2本で行うことが可能になりました。
以下がインプラントを埋入した直後です。
スライド10
このレントゲンに上顎洞の線を記入したのが、以下のレントゲンです。
上顎洞を避けてインプラントが埋入されているのが分かるかと思います。
スライド11
以下のレントゲンは治療終了時です。
スライド12
本日の症例を見ていただくと 歯を失うと上顎洞が下がってくることがお分かりになったと思います。
また、骨吸収と上顎洞が下がっているために、インプラントが埋入できないケースでも
工夫(インプラントの傾斜埋入 )をすることで大変な治療を避けることも可能になりますし、治療費の削減にもなりました。
難症例を簡単に治療する!
これも大切なことなのです。
前回のブログで紹介しましたソケットリフト法 とは まったく違ったアプローチです。
治療費
上記の症例をインプラントモニターで行った場合の治療費は以下になります。
インプラント   1本  168.000円(消費税込)
被せ物(白い歯) 1歯  105.000円(消費税込)〜
になります。
治療費をさらに抑える方法として 被せ物を金属製にする方法があります。
金属製の被せ物は、1歯 73.500円(消費税込)になります。
当医院のインプラント治療費用の中には、
治療中のレントゲン撮影や薬代、
土台(アバットメント) の費用、
仮歯 の費用、
治療経過のレントゲン撮影、
セラミック等の被せ物の費用、
スプリッティング法(リッジエクスパンジョン法)
OAM(大口式)インプラントシステム
GBR法(骨増大法:インプラント埋入と同時の場合)
ソケットリフト法 の費用、
静脈内鎮静法(眠っている間に終了します) の費用も含まれています。
治療計画以上の追加費用はありません。
全て含まれた費用です。
年末年始休診の案内
12月30日(日曜日)〜平成25年1月4(金)まで休診とさせていただきます。
次回のブログは、12/13(木)となります。
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インプラントモニターの詳細については、下記をクリックして下さい。
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今回のモニター募集は、できるかぎり多くの症例を掲載したいと思っているため、1歯欠損も募集しています。
何歯欠損でも大丈夫ですので、ご希望がございましたらご連絡下さい。
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そこで、静脈内鎮静法 による麻酔をもっと多くの方にご利用していただくために 今まで3万円かかっていた費用を無料にしました。
これは、静脈内鎮静法 でインプラント治療を行いたいが、麻酔費用がかかるのがネックと考えられ断念されるケースがでてきたためです。
そのため、暫くの間 試験的に無料とさせていただくことにしました。
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