インプラントと噛み合わせ:その2

8/6(木曜日)です。
今日も前回の続きで、『インプラントと噛み合わせ:その2』になります。

前回のブログでは、歯が欠損した状態を放置すると 噛み合う歯が動いたりして、噛み合わせに問題が起ってしまうことを解説しました。

また、歯ぎしり や くいしばり の問題についても解説しました。

本日もインプラントと噛み合わせについての続きになります。

噛み合わせに問題があると インプラントの被せ物(セラミック等)が欠けることがあります。
これは、もちろん頻繁に起ることではありませんが、
インプラントのセラミックが欠けることは現実問題として考えられることです。

特に奥歯では、噛む力の負担が大きいため、割れることがあります。

まず、この理由を解説します。
インプラント天然歯は、噛み合わせに対して大きな違いがあります。

天然歯の周りには『歯根膜』と呼ばれる非常に薄い膜が存在します。

これは噛んだ時に歯を傷つけないように『クッション』のような働きをします。
つまり、歯は噛むと動くのです。

それに対して、インプラントには、歯根膜は存在しません。
そのため、歯を噛んでも動かないのです。
この 歯が動くということは 非常に大切なことです。
歯やインプラントに過度な力が加わった場合、動くことにより過剰な力を逃がす働きがあります。

もし、動かないインプラントに過剰な力が加わった場合、
その力は、そのまま被せ物(セラミック等)に加わります。

つまり、インプラントには 歯根膜がないため、噛んだ力を分散させることができず、
セラミック 等に負担がかかり、欠けてしまうのです。

もし、欠けてしまった場合の対応ですが、少し欠けたのみであれば、その部分を研磨し、丸めるのみです。

ある程度欠けてしまた場合には、修理用のセラミックがありますので、それで、修復します。

大きく欠けてしまった場合には、新しく再製します。

また、再製や修復とともに考えなければならないのが、『原因の究明』です。

例え、欠けた部分を修正しても噛み合わせ や 歯ぎしり が改善されなければ、再度欠けてしまうことが考えられます。
そのため、噛み合わせのチェックやマウスピースを必ず使用することが大切です。
マウスピースについては、前回のブログで解説した内容を参考にして下さい。

毎日の食事や 歯ぎしり や くいしばり にも対応しなければ、なりませんので、セラミック等には非常に負担がかかります。

セラミックの素材は大雑把に言いますと『お茶碗』と同じような『瀬戸物(せともの)』です。
このような素材に毎日負荷をかけていれば、割れてきたりする可能性があるのがわかるかと思います。
もちろん歯科で使用する『セラミック』は『お茶碗』とは違いますが、
割れるリスクは0%にならないのです。

また、割れたりした場合、被せ物を強い接着剤でつけていると
欠けたりした場合に 外すのが困難になってしまいます。
そのため、ネジで固定する方法 や 仮の接着剤でつける ことが有効です。
取り外すことができれば、修理も簡単に行えます。

また、インプラントの被せ物の素材を セラミック 等にせず、金属製の被せ物にする方法があります。
金属ですが、噛み合わせの長期安定からすると最も優れている材質です。

長期的にはセラミック等と 同様に若干は磨り減りますが、かけたりすることはありません。
インプラントの被せ物としては一番お勧めです。

しかし、欠点として金属製ですので見た目に問題があります。
最も奥歯であればよいかと思いますが、少し手前になると見えてしまいます。
そのため多くの患者さんは金属を避ける傾向にありますが、
医療サイドからすると安全性の高い金属がいいと思います。

今週、今回の内容のように インプラント治療後にセラミックが欠けた患者様が来院されました。
ちょうど前回と今回の話と共通する部分がありましたので、紹介させていただきます。

患者様は、数年前に 右下奥歯が4歯分欠損しており、義歯を作製しましたが、
違和感が強く、義歯(入れ歯)ではない、固定式のインプラントを希望され来院された患者様でした。

治療方針として、2本のインプラントを埋入し、4歯分のセラミックを装着する
いわゆる ブリッジ としました。

治療に際し、さまざまな問題をかかえていました。
まず一つ目は、歯が欠損してから義歯(入れ歯)を作製しましたが、違和感が強いため、
なかなか使用することができない状態でした。
そのため、欠損部の上の歯が挺出(落ちて)してしまっていました。
これは、前回のブログでお話をした内容ですね。
噛み合う歯が挺出してしまったため、下顎との隙間(スペース)がほとんど無くなっていました。
どの程度 隙間(スペース)がなくなっていたかと言いますと
もともとあった隙間(スペース)の約70%が失われた状態です。
このような場合、挺出してしまった上顎を多少、削除(削る)し、
上下顎の隙間(スペース)を確保しますが、挺出してしまった歯を削除するにも限界があります。
あまり削除できないケースもあります。
特に挺出してしまった上顎の歯が神経がある状態であった場合には、削れる限界があります。

今回のケースでも多少挺出した上顎を削除し、セラミック ブリッジを作製しましたが、
それでも通常の隙間(スペース)の半分以下しかない状態でした。
そのため、作製してできたセラミック ブリッジも高さが半分程度の物しか作製できませんでした。

また、患者様は噛み合わせが非常に強い方でした。
歯ぎしり や くいしばり が非常に強い方です。

このようなことが合わさり、今回のセラミック部分の破損につながったと考えられます。

修復を試みようと思いましたが、再度欠ける可能性が高いと判断し、
ブリッジ自体を新しく作製することにしました。
ブリッジを新しく作成する場合、当医院では保証制度がありますので、
費用はまったくかからず、無料で行えます。

さて、今回新しく作製するにあたり、同じようなことが起らないように
4歯分のブリッジのうち、一番奥の部分のみ、金属製にすることにしました。
一般的に、一番
奥の歯に噛む力が加わりやすいので、割れることがあります。
今回は、そうしたことを防止するために、一番奥のみを金属製に変え方が安全であることを
患者様にご説明したところご納得していただけました。

歯科治療において、治療を行った部位が100%トラブルなく経過すれば良いのですが、
現実的には、治療部位に問題を生じることもあります。
そのような場合には、トラブルとなった原因を考え、できるかぎり問題が生じないような
方法で対応することが重要であると考えられます。

無理をした方法で行っても、良い結果は得られません。

本日は話がだいぶ長くなってしまったので、これで終了します。

次回のブログは8/10(月曜日)になります。

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大船駅北口歯科インプラントセンターインプラント 歯周病 専門医

神奈川県横浜市にある 日本歯周病学会歯周病専門医 国際インプラント学会認定医の歯科医院
I.T.Iインプラント認定医でもあり、 GBR法 サイナスリフト 審美インプラント等の難症例も行います。
HPでは 治療費(費用)の説明や インプラント症例 無料相談コーナーもあります。