歯を磨かないと歯周病になるのか? 歯を磨けば歯周病にならないのか?歯周病細菌遺伝子(DNA)検査 :2

2015年 8月10日(月曜日)です。

このブログは「大船駅北口歯科 歯周病専門サイト」です。

今日のテーマは、
前回の続きで
『歯を磨かないと歯周病になるのか? 歯を磨けば歯周病にならないのか?歯周病細菌遺伝子(DNA)検査 :2』になります。

前回のブログでは、
1986年から15年間行なわれた
歯を磨く習慣のない
また 歯を治療した経験もない
スリランカの紅茶農園の労働者480人を
未治療のまま定期的に検査し
歯周病の発生 や 進行 がどのように起こるかを観察した
論文を紹介しました。

全文は以下の2015年8月3日のブログを参考にして下さい。
2015年8月3日のブログ

先週のブログで紹介しました論文の結果を簡単に説明しますと

9割が歯周病となり
残りの1割はほとんど歯周病にはならなかった

という研究結果でした。

歯をまったく磨かないという
同じ環境であっても
10%の方は歯周病にならなかったのです。

その反面10%程度の人は、
非常に進行が早い歯周病になり、
若い年齢で多くの歯を失う状態でした。

進行が早い歯周病になってしまったのです。

この違いはどこにあるのでしょうか?

今日は、そうした違いについて説明します。

歯周病になるか ならないかは、
歯磨き習慣 等の生活習慣や
喫煙、
噛み合わせ、
ストレス、
糖尿病 等の全身疾患との関連

多くの因子がありますが、
口腔内の細菌の種類によっても大きく影響してきます。

歯周病は感染症ですから
ご家族等の周囲の人から
細菌感染していきます。

そして、感染した細菌は口腔内に定着していきます。

一度定着した歯周病細菌は、
基本的に口腔内で大きな変化はありませんので、
歯周病になりやすい細菌に感染してしまった人は、
歯周病になってしまうリスクが高くなるのです。

しかし、ご自身では
口腔内にどういった歯周病細菌に感染しているのかを判断することは
できません。

歯周病細菌は、進行してから
出血 や 腫れ、痛み、歯のグラグラ といった症状がでてくるからです。

問題が起こらなければ、
病状に気がつかないのです。

しかし、歯のグラグラといった症状が出始めた時点で
歯周病は進行してしまっていることがほとんどで、
その時点では治療が難しくなることが多いです。

そのため、事前にどのようなタイプの歯周病に感染しているかを
判断することで、
歯周病になりやすいかどうかを判断することが大切です。

もし、歯周病になりやすいタイプであった場合には、
相当な対策をとっていかないと
必ずと言っていいほど
将来的に多くの歯を失うことになります。

また、現在歯周病の方でも
悪性度の高い歯周病細菌に感染している場合には、
通常の歯周病治療を行なっても治すことは難しいため、
除菌を行なうような対策が必要です。

そのためにも
どのような歯周病細菌に感染しているかを
判断することが必要なのです。

現在健康保険で行なわれている歯周病の検査は、
現在どの程度歯周病が進行しているかを判断することは可能ですが、
そのリスクを診断することはできません。

それは
どのような歯周病細菌に感染しているかを判断することができないからです。

そのため、
将来的なリスクを知るためや
現在歯周病が進行している方では、
現在 口腔内にどのような歯周病細菌が存在しているのかを
正しく判断することが大切なのです。

つまり 歯周病のリスク診断 を行なうことが必要なのです。

ちなみに一般的な歯周病検査については、以下を参考にして下さい。
          歯周ポケット検査

感染している歯周病細菌の種類により その予後(将来性)は大きく変わります。
特に進行した歯周病の場合には、感染している歯周病細菌の種類により
治療法が変わるのです。

歯周病の病態は大きく分けて 以下の2つに分類されます。
1.慢性歯周炎
2.侵襲性歯周炎(しんしゅうせい ししゅうえん)

慢性歯周炎は、
歯周病の約8割以上の方に当てはまります。
このような方は、通常の歯周病治療で治る可能性が高いです。

侵襲性歯周炎は、
歯周病患者さんの約1〜2割で発症すると言われています。

20〜40歳以下で歯周病が進行している場合には
侵襲性歯周炎である可能性が高いです。

これは若年期に家族間 等から特定の歯周病細菌感染が起こっているからです。

特定の歯周病細菌とは、悪性度の強い A.a菌、P.g.菌 等の感染のことです。

侵襲性歯周炎の場合、通常の歯周病治療を行っても
治りが悪かったり、 再発を繰り返すことが多いです。

侵襲性歯周炎の場合には、
どのような歯周病細菌に感染しているかを検査することで適切な除菌療法が行えます。

歯周病に最も影響が大きい細菌は以下の5菌種であることが分かっています。
 
1. A.a.菌 ( Aggregatibacter actinomycetemcomitans )
           侵襲性歯周炎の発症に関連が深い菌 非常に悪性度の強い細菌

2. P.g.菌 ( Prophyromonas gingivalis )
           慢性歯周炎の発症に関連が深い菌
           年齢に比較して骨吸収が大きく この菌の比率が高い場合
           侵襲性歯周炎と診断される 非常に悪性度の強い細菌

3. T.f.菌 ( Tannerella forsythensis )
           慢性歯周炎の発症に関連が深い菌

4. T.d.菌 ( Treponema denticola )
           慢性歯周炎の発症に関連が深い菌

5. P.i.菌 ( Prevotwlla intermedia )
           思春期性 や 妊娠性歯周炎 の発症に関連が深い菌

上記の5菌種が歯周病に関連性が高いことが多くの研究により分かっています。

特に  P.g.菌 、 T.f.菌 、 T.d.菌 の3菌種は、
Red Complex(レッッドコンプレックス)と言われ、非常に悪性度の高い細菌です。

若い年齢から歯周病で抜歯した経験がある方では
これらの細菌が関与している可能性が高いです。

侵襲性歯周炎の可能性が高いのです。

侵襲性歯周炎の場合、
通常の歯周病治療では、細菌の数を減らすことが難しく、再発率が高いです。

そのため、侵襲性歯周炎のような重度歯周病を疑う場合には、
どのような歯周病細菌に感染しているのかを診断することが
必要なのです。

その方法が
歯周病細菌遺伝子(DNA)検査 リアルタイム PCR法 なのです。

歯周病細菌遺伝子(DNA)検査 リアルタイム PCR法 を行うことで 
正しい診断ができ、
従来の歯周病治療では行えなかった
除菌療法 や 最新の歯周病治療を行うための診断が正しく行なうことができるのです。

先にも解説しましたように歯周病は、歯周病細菌による感染症です。
特に悪性度の強い細菌感染が起こっている場合には、
通常の歯周病治療で治すことは
難しいので、病態に合わせた治療が必要となります。

また、侵襲性歯周炎は、家族内感染の可能性が高いので 
ご家族全てで治療(除菌)を行わないと 
ご自身の治療を行っても家族間で再感染が起こります。

本日の始めにも説明しました
1986年から15年間行なわれた
歯を磨く習慣のない
また 歯を治療した経験もない
スリランカの紅茶農園の労働者480人を
未治療のまま定期的に検査し
歯周病の発生 や 進行 がどのように起こるかを観察した論文

進行した歯周病の方は、
おそらく侵襲性歯周炎と考えられます。

日本人でも侵襲性歯周炎の方は、
全人口の10〜20%近くは存在すると言われていますので、
かなりの高確立でいらっしゃるのです。

歯肉から出血があったり、
歯肉が腫れている方であったり、
現在歯周病の治療を行なっているが なかなか治らない方
年々歯の数が少なくなっている方

問題を抱えている方は、
侵襲性歯周炎かもしれません。

ご心配な方は
歯周病細菌遺伝子(DNA)検査 リアルタイム PCR法
を行なってみてはいかがでしょうか?

8月は、歯周病ブログを休むかもしれませんので
次回のブログは少し先になるかもしれません。

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