歯周病になりやすい人 と 歯周病になりにくい人の 違い:4回目

2017年 2月 1日(月曜日)です。

今年は、歯科大学の歯科医師研修医の教育プログラムの
指導講演がかなり多くなり、
日々 講演資料作りでいっぱいいっぱいです。

忙しい時にはブログを休ませていただくことも増えるかもしれません。

このブログは「大船駅北口歯科 歯周病専門サイト」です。

今日のテーマは、
『歯周病になりやすい人 と 歯周病になりにくい人の 違い:4回目』になります。

今までの3回では、歯周病の原因として、
1.歯周病細菌による感染
2.噛み合わせ
3.治療が続かない方、治療が中断してしまう方

について解説してきました。

本日は、4回目(このシリーズの最終回)になります。

歯周病 と 全身疾患の話です。

例えば、糖尿病の方は、歯周病になりやすいのです。

糖尿病の人は 感染に対する抵抗力が低下しており、
歯周病が悪化しやすいのです。

逆もあります。

歯周病の方は、血糖値を高めます。

歯周病細菌が糖の代謝に影響を及ぼし、血糖値のコントロールが悪くなります。

糖尿病の方は、歯周病の検査を行うことが重要です。

そして、もし歯周病であった場合には、きちんとした歯周病治療を行うことが重要です。
歯周病が治ると血糖値も安定することがあります。

口腔内も全身のヒ一つですから、体調に問題のある方は、
歯周病も悪化しやすいのです。

歯周病になりやすい人と言えば、喫煙者です。

喫煙と歯周病の関係は、歯周病の学会において 数多く報告されています。

ある報告によると、喫煙者は、非喫煙者と比較して、
歯周病の進行は 6倍以上も早い という結果もあります。

『歯周病を治したい!』と考えられている方は、是非禁煙して下さい。

歯周病は、歯周病細菌の感染症であることは、このブログでも良く書くことです。
そのため、重度歯周病の方は、口腔内の非常に多くの細菌が存在しているのです。

大量の菌が口腔内にあるのですから、大変なことです。

それを毎日の食事の際に、食べ物と一緒に飲み込んでしまいます。

飲み込んだ菌が肺に入って起こす病気を『誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)』といいます。

あまり聞き慣れない病名ですが、誰にでも起こる可能性がある病気です。

この誤嚥性肺炎は、えんげ(飲み込むこと)反射 と 
咳反射が低下した場合に起こることが明らかになっています。

歯周病を起こさないような口腔内であれば問題はありませんが、
歯周病であったり、
ブラッシングが不十分であると起こる可能性が高くなります。

しかし、細菌を飲み込んだからといって誰もがなるわけではなく、
寝たきりの方や老人性肺炎の方のように体力がおちた時にかかりやすい病気です。

日本人の死因の第4位が肺炎 (平成14年度の厚生労働省ホームページより)であり、
そのうちの約9割が65歳以上です。

また、歯周病細菌は、食べ物と一緒に飲み込むだけではありません。

血液を介して全身にまわっていきます。

菌血症という状態です。
菌血症とは、本来無菌である血液中に細菌が存在する状態を言います。

例えば、外科的治療の際に外部からの感染が血中へと入り込みます。

しかし、実際には、血液中に細菌が侵入しても一時的なことであり、
問題となることはほとんどありません。

しかし、歯周病細菌のように常に口腔内に細菌が存在する状態は良くありません。
歯周ポケット内部には大量の歯周病細菌が生存しています。

当然のことながら歯周ポケット内部にも血管(血液)が存在しますので、
その血管から歯周病細菌が侵入していきます。

特に注意しなければならないのは、心臓疾患がある方です。

心臓疾患がある方に歯周病治療(歯石を取る行為も同じです)を行う時には、注意が必要です。

歯石を取った際に、砕けた歯石から細菌が放出され、血液中に入っていきます。

血液を介して当然のことながら心臓へも流れ込みます。

ペースメーカーを使用されている方は、
流れ込んだ細菌が付着し
、問題を引き起こすことがあるので、注意が必要です。

注意とは、治療前に抗生剤を服用し、感染防止を行うことです。

つまり、歯石除去前(1時間以上前)に抗生剤を服用することです。

可能であれば、治療の前日から服用された方が良いでしょう。

こうすることにより、歯周病細菌が血液中に流れても被害を抑えることができます。

ただし、このような話をすると『歯周病治療は怖い!』と感じてしまいがちですが、
これは違います。

誤解していただきたくないのですが、
歯周病である場合には、
歯周病治療を行わないで、
口腔内に常に歯周病細菌が存在する方が問題が高いのです。

重度歯周病の方では、常に口腔内に多量の細菌が存在するわけですから…

心臓疾患のある方 や 全身疾患のある方こそ、歯周病を治しておかないといけません。

歯周病は、放置すればする程、進行します。

進行した歯周ポケット内部には、多くの歯周病細菌が存在していますので、
リスクはさらに高くなってしまいます。

心臓病 や 全身疾患がある方 こそ徹底した治療が重要です。

また ご病気がある方は、歯科治療を受けられる際には、
問診票に病名等をしっかり記入することが必要であることと
担当医にも伝えることが必要です。
また、服用している薬についてもきちんと伝えることが大切です。

話は、ズレてしまいましたが、
喫煙者は、歯周病のリスクが非常に高いこと、
糖尿病 等の有病者も歯周病のリスクが高いことがあります。

また、歯周病が多くの疾患を誘発したり、
歯周病細菌によって全身的な問題も引き起こす可能性が高くなります。

持病をお持ちの方は、歯周病をきちんと治すことが大切です。
歯周病は、早期に治療を行えば、
治療回数も少なくなりますし、
十分治ります。

しかし、進行した歯周病であった場合には、
治療回数もかかり、
状況によって抜歯になってしまうことがあります。

一番問題となるのが、歯周病の放置です。
病気を放置して良いことは一つもありません。
歯周病は、どんどんと進行するだ
けです。

治療に無関心な人が一番 歯周病になりやすい人と言えます。

このシリーズはこれで終了です。

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