歯周組織再生療法:GTR法

2021年 6月 7日(月曜日)です。
このブログは「大船駅北口歯科  歯周病専門サイト」です。
ここ数回で歯周病についていくつかの話をしてきました。
2021年5月17日:歯周病の検査
2021年5月24日:歯周病の治療計画
2021年5月31日:歯周病の基本治療
今日のテーマは、
『歯周組織再生療法:GTR法』になります。
歯周病は歯周病細菌による感染症であり、
歯周病が進行すると歯を支えている骨が吸収することは、
今回のシリーズでもすでに解説してあります。
それでは、歯周病が骨が吸収してしまい、
グラグラとなった歯は、もとに戻るのでしょうか?
骨は回復(再生)するのでしょうか?
歯周病が進行した患者様にとってはとても興味のある内容であると思います。
まず結論から言いますと
再生できる状態もあれば、
まったく効果のない状態もあります。
歯周病の再生治療には、
大きく分けて以下の3つの治療法があります。
1. GTR法
2. エムドゲイン法
3. リグロス法
GTR法
『GTR法』とは、
『Guided Tissue Regeneration technique』の略で、
日本語では、『歯周組織再生誘導法』と言います。
それでは、GTR法は、
『どんな治療法であるのか?』
『骨は本当に再生するのか?』
という話をしたいと思います。
GTR法は、特殊な膜を使用して骨を再生させる治療法です。
歯周病外科治療の際に
歯肉を切開して歯周ポケット内部にあった歯石を除去すると
歯周病により破壊された骨が露出します。
この骨の吸収した凹みですが、
歯石等を取り除くと歯肉は治ろうとします。
しかし、原因を除去した後、
そのままであると 治ってほしい骨や歯肉繊維が再生する前に “歯肉 ” がそこに入り込み、治ってくれません。
具体的には歯肉の再生スピードは早いのに対して、
骨の再生スピードは遅いのです。
そのため、
骨吸収によってできた骨の凹みには、
歯肉が入り込んでしまい、
骨は再生しないのです。
そこで 原因の除去後に “別の組織” が入り込まないように
歯肉の下に ” 特殊な膜 “を置きます。
そうすることにより ” 膜 ” の下に必要な 骨 や 歯肉繊維 が再生します。


それでは、GTR法で どこまで骨の回復は可能なのでしょうか?
元の状態にまで骨が回復するのでしょうか?
答えとしては、適応症さえ合えば、骨の再生はある程度は可能です。
しかし、多くの症例では、GTR法によって十分骨の再生が可能と思われるケースの方が圧倒的に少ないのが現状です。
GTR法は、魔法の治療ではありません。
どのような進行した歯周病であっても 元の状態に回復できるわけではありません。
その理由は先程の項で説明したとおりです。
時々当医院に来院される患者様の中で、歯周病の再生治療を希望されて来院される方がいらっしゃいます。
特に他歯科医院にて抜歯と診断され、
抜歯が嫌で『どうにかならないか』
とインターネット等で検索され、
GTR法 や エムドゲイン法があることを知り
、『骨が再生できるのではあれば、抜歯にならない!』と期待を込めて来院されるわけです。
しかし、いくら歯周病専門医と言っても全ての症例でGTR法を行っているのではありません。
もし、適応症でない場合、GTR法を行っても効果がないばかりでなく、逆に悪化してしまうことさえあります。
GTR法を行う場合には、術前にきちんとした適応を守ることが重要です。
来週(2021年6月14日)はエムドゲイン法 について解説します。
現在はこのエムドゲイン法 が主流となっています。
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