金属アレルギーの話 3回目:金属アレルギーを起こしやすい金属(重金属)
2013年10月21日(月曜日)です。
始めにお知らせです。
現在、当医院の予約は非常に混み合っており、
曜日、時間帯によっては、数週間から1ヶ月先まで予約が取れない状態です。
予約をご希望の方は、できるかぎりお早めにご連絡下さい。
このブログは、歯周病に関するブログです。
毎週月曜日 にアップしています。
現在は、歯周病の話ではなく「金属アレルギー」の話をシリーズで解説しています。
今日のテーマは、『金属アレルギーの話 3回目:金属アレルギーを起こしやすい金属(重金属)』になります。
金属アレルギーをご心配されている方や
実際に金属アレルギー症状を起こしている方は
もちろん 原因となる金属を取り除くことが必要ですが、
まず 金属アレルギーについて正しく理解することも大切です。
金属アレルギーといっても
アレルギー反応が起こりやすい金属もあれば、
アレルギー反応が起こりにくい金属もあります。
ちょっと難しい話になりますが、
中学生の頃に習った「元素周期表」という表を覚えていますか?
H(水素)、He(ヘリウム)、Li(リチウム)……といった元素が書かれている表です。
「水兵 リーベ 僕の船……」なんて覚えたことがあるかと思います。
あの元素表のことです。
この元素周期表は、
小さくて 軽いものから 大きく 重いものへ 順番に 左から右へ 上から下へ と並べられています。
この表のことを詳しく思い出すことは必要ありませんが、
金属アレルギーを起こしやすい金属は、「重金属」と呼ばれるものです。
元素周期表の右側、下側にある元素のことです。
「重金属」というとなんか悪いイメージをお持ちになる方も いらっしゃるかと思いますが、
必ずしも そうではありません。
生体に必要な金属もあるのです。
金属の性質 や アレルギーについて以下の順番で解説します。
特定の金属アレルギーについて知りたい方は、
以下から選択して下さい。
(本日は7番目のイリジウムまで解説します)
1. ニッケル
2. クロム
3. コバルト
4. 銀
5. 銅
6. インジウム
7. イリジウム
8. 亜鉛
9. パラジウム
10. 金
11. チタン
1.ニッケル
ニッケルは、私達が日常触れる機会が最もある金属です。
そのため、最も金属アレルギーとして起こりやすいものです。
ニッケルはイオン化傾向が高く、
金属アレルギーパッチテストによる陽性率は18.3%と
最も金属アレルギーの高いものの一つです。
ニッケルの使用頻度が高い理由として、安価 で 加工がしやすいからです。
ピアス や ネックレス、指輪、ベルトのバックル、お金(50円硬貨、
100円硬)貨、調理器具、女性用下着に使用される金具、化粧品…等に
含まれています。
相当のものに含まれています。
特にピアスは良くないですね。
ピアスは、指輪 等の単に皮膚に触れているだけでなく、
粘膜を貫通しているため、アレルギーが起こりやすいです。
特に夏場に起こりやすいです。
汗の中に含まれる塩素イオンは、ニッケルを溶かしやすく、
溶け出したニッケルイオンが金属アレルギーの原因となります。
矯正治療で使用されるワイヤー 等 歯科治療で使用される材質の中にも一部含まれることがあります。
また、食品にもニッケルは含まれています。
チョコレート、海藻類、大豆、コーヒー、紅茶、ウーロン茶 等
にも含まれています。
そのため、ニッケルに金属アレルギー反応がある方は、上記のような食品
を大量に飲食しないことも必要になります。
ニッケルはあまりにも日常の中にあり、完全に避けることが難しい金属と言えます。
小さい頃にニッケルに触れる機会が多いほど、
のちに金属アレルギーが起こりやすくなることが言われています。
小さい頃からピアスをしたり、宝飾品を身につけないことも重要なことです。
2.クロム
クロムも金属アレルギーが起こりやすい代表的なものです。
この金属の特性として、固い、光沢がある、耐食性があることからメッキとしての利用があります。
具体的には、台所のステンレス、包丁、ドアノブ、時計の皮バンド、
ハンドバック や 靴等の革製品、塗装の染料…等に含まれています。
クロム化合物には、
3価クロム と
6価クロム があります。
アレルギー性皮膚炎を起こすのは 6価クロム です。
クロムメッキ や クロム合金が汗に溶け出すのは3価クロムのため、
皮膚炎は通常認められません。
6価クロムは、アレルギーの問題だけでなく、
発ガン性の可能性もあり、
排除する動きがEUを中心に議論されています。
ニッケルと同様に食品にも含まれています。
エビ、ホタテ、アサリ等の貝類、大豆等の豆類…等です。
クロムは、人体の必須元素でもあります。
例えば3価クロムが不足すると
糖代謝の異常が起こり糖尿病の発症に関係する可能性も指摘されています。
歯科で使用される金属では、保険診療で使用される銀歯(12%金銀パラジウム合金)には一般的に含まれていませんが、
コバルトクロム合金として義歯の一部、矯正用のワイヤーに含まれることがあります。
クロム単体、3価クロムの毒性はありません。
クロムの金属アレルギーパッチテストによる陽性率は14.5%とされています。
今日は話が長くなりますが、
もう少し続きを解説します。
3.コバルト
コバルトも金属アレルギーが起こりやすいです。
コバルトアレルギーは ニッケルアレルギーと同じ反応を示します。
ニッケルアレルギー患者の半数以上の人にコバルトアレルギーがあると報告されています(交差反応)。
ピアス 指輪等の宝飾品、化粧品に含まれています。
鉄より酸化しにくく、酸にも強く、加工しやすいことからも私達の生活の中で良く使用されています。
磁性の強いコバルトは、磁石に使用されることが多いです。
コバルトは、ビタミンB12に含まれており、人体にとって必須元素です。
コバルトが不足すると神経の働きが悪くなり、痺れ や 視力低下 が起こることがあります。
しかし、コバルトのアクセサリーを使用すると汗の中の塩素イオンにより溶け出されるため 夏場では皮膚にアレルギーがでやすいのです。
アクセサリー等で炎症が起こった場合には、すぐに使用を中断し、皮膚科で金属アレルギーテストを行うことが必要です。
歯科でも義歯などに使用されることがあります。
口腔内に使用されたコバルトは、唾液 や 酸によりイオン化(溶け出し)し、溶け出します。
多くは便として排出されますが、
数%程度は腸管から吸収され、
その一部は汗の中に排出されます。
その結果、コバルトによる金属アレルギーが発症するのです。
疑わしきは使用せずという姿勢が大切です。
コバルトの金属アレルギーパッチテストによる陽性率は14.8%とされています。
4.銀
銀はご存知のように生活の中に非常に多く使用されています。
銀は、金に次いで延びやすい金属であり、熱伝導性が高く、
デジタル機器の電気接点や配線 等でも良く使用されています。
また、抗菌作用が高いことも良く知られている性質です。
銀食器 や アクセサリー 等でも使用されています。
銀はイオン化傾向が低い金属であり、
アレルギーを起こすことは非常に稀です。
金属アレルギーパッチテストによる陽性率は0.1%と
金属アレルギーの高いニッケルの陽性率18.3%と比較すると 金属アレルギーが起こる確率は低いとされています。
良く銀のアクセサリーでアレルギーがあるとされていますが、
これは、銀に反応している可能性は低く、
アクセサリーに含まれる
ニッケル や 銅 にアレルギー反応があることがほとんどです。
歯科(保険診療)においても銀は使用されることが多く、
いわゆる銀歯(12%金銀パラジウム合金)の
約半分は、銀が使用されています。
最近は減少してきましたが、神経がない歯の土台(コア)にも銀合金が
使用されることが多いです。
5.銅
銅もなじみのある金属であると思います。
人類の歴史の中でも1万年前から使用されている金属です。
銅は、金属アレルギーを起こしやすい金属でもあります。
歯科(保険診療)においても 銅は使用されることが多く、
いわゆる銀歯(12%金銀パラジウム合金)の
15〜20%程度は、銅が使用されています。
金属アレルギーパッチテストによる陽性率は4.0%程度とされています。
ニッケルほど問題は起こりにくいですが、
金属アレルギーのある方の歯科治療では避けたい金属の一つです。
長いですが、今日はもう少し続きます。
この重金属の話だけでも かなりの量になりますので、
今日で半分程度は終わらせないとなかなか先には進みませんから…
6.インジウム
インジウムはあまり聞き慣れない金属であると思います。
しかし、歯科治療では、非常に高頻度で使用されている金属です。
何度もでてきます歯科治療で使用される銀歯(12%金銀パラジウム合金)にも
微量(1%以下)ですが、使用されています。
歯科治療では、その他の保険以外の金属においても このインジウムが使用されることが多いです。
この理由として、歯科で使用されている金属は、
例えば金単体で使用されることはなく、
合金が使用されており、加工上 どうしてもインジウム 等を含有させないといけないためです。
しかし、金属アレルギーを起こしやすいため、できるかぎり避けたい金属と言えます。
参考情報として、酸化インジウムスズは、液晶パネル や プラズマパネルとして使用されています。
2006年時点の資料として、
世界のインジウムの80%を日本が輸入しており、インジウム使用大国となっています。
次が本日の最後です。
7.イリジウム
イリジウムも歯科で汎用されている金属です。
歯科治療で使用される銀歯(12%金銀パラジウム合金)にも微量(1%
以下)ですが、使用されています。
イリジウム や インジウムに金属アレルギーの反応がある方は、
歯科で使用するほとんどの金属は使用できないと言えます。
次回のブログは、10月28日(月)になります。
次回も重金属の続きです。
金属アレルギー と言っても
イオン化しやすい金属もあれば、
そうでない金属もあるのです。
もちろん個人によっても違います。
歯科金属で金属アレルギーが起こっているのであれば、
そんなことを考えずに全て金属を口腔内から除去れば良いのでは?
と考えられるかもしれません。
しかし、そうではないのです。
きちんと金属アレルギーについて知っておくことが大切なのです。
その理由として、
金属アレルギーを主訴として来院される患者様の口腔内をみると
奥歯は、ほとんど金属の詰め物 や 被せ物 が装着されていることが多いです。
前歯でも差し歯が入っていれば、そのほとんどに金属が使用されています。
一般的に使用される「セラミック」と言われる素材でも内部は金属製です。
そのため、口腔内から全ての金属製の材質を撤去しようとすると
大変なことになります。
治療期間もそうですし、
治療費といった問題もあります。
そのため、現実問題として、口腔内から全ての金属を撤去し、
メタルフリーとすることが困難な場合もあります。
こうした場合には、まず金属アレルギーに反応がある金属から撤去したり、
古い被せ物は、イオン化傾向が高いと考えられるため、
古い被せ物から撤去し、経過をみることもあります。
また、金属アレルギーは口腔内だけでなく、
身につける物や
食品にも含まれているため、
生活習慣自体を改善することも必要なのです。
そのために、
金属アレルギー治療をご希望される場合には、
まず、「金属アレルギー検査」を行い、
正しい知識を身につけることが大切なのです。
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当医院はインプラント治療で 11部門中 5部門で ベスト10入りをしました。
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