口臭の話し:その14
2012年5月28日(月曜日)です。
このブログは、歯周病に関するブログです。
毎週月曜日 にアップしています。
始めに休診のお知らせです。
6月3日(日)は休診となります。
今日のテーマは、『口臭の話し:その14』になります。
少し前のブログで
「なぜ歯磨きを行う必要性があるのか?」
という話しをしました。
これが口臭の原因を理解する第一歩なのです。
その時のブログで歯磨きの目的は、
歯の汚れや食べかすを取ることではなく、
虫歯菌等の細菌の集合体である歯垢(しこう:プラーク)を取ることであることを解説しました。
歯磨きを行なうことの目的は、食べかすを取ることではないのです。
これをしっかりと理解して下さい。
歯磨きの目的が食べかすを取ることでないことが理解できれば、
虫歯予防、歯周病予防 そして口臭予防になるのです。
口臭を気になさる方の多くは、非常に頻繁に歯磨きを行なっています。
実際に口腔内を見ると汚れの付着はさほど多く認められません。
それにもかかわらず、
「汚れがついているから口臭がある!」
と思い込んでいる方が多く、
過剰な歯磨きを行なうことになっています。
実際には、こうした過剰の歯磨きが口臭を起こしているのだと理解できていないのです。
口臭の原因には、さまざまなことがあります。
このブログでも口臭の原因について解説してきました。
毎回 見られている方は、だいぶ分かってきたと思います。
その中でも口臭の大きな原因として
細菌の増殖による口臭があります。
細菌が増殖すると細菌の出す代謝産物により口臭が発生します。
つまり、細菌を増やさないことが口臭予防にとって重要なことなのです。
このような話しをすると
「細菌を増やさないこと?」
「歯磨きをすれば、細菌が増えないのでは?」
と考えている方が多くいらっしゃいます。
これが先にも説明しましたように大きな誤りなのです。
歯磨き=細菌を増やさない
ではありません。
患者様に以下のようなご質問をすることがあります。
「口腔内に歯垢(しこう:プラーク) や 細菌が最も多く存在するのは いつかわかりますか?」
多くの患者様は以下のように答えます。
「食後 と 朝起きてすぐ です。」
これが、認識違いなのです。
歯磨き製品を販売しているメーカーによるテレビコマーシャル等で
誤解をえるような報道がなされているために
食後 = 歯磨き
という図式があるのです。
これが誤っているのです。
まず、一日のうちで最も口腔内細菌が多いのは、起床直後です。
朝起きてすぐの唾液の中に含まれる細菌数は、
1.000.000.000〜100.000.000.000個/ml です。
これは、同じ量の糞便に含まれる量に匹敵します。
また、歯垢(しこう:プラーク)中には、
10.000.000.000〜100.000.000.000個/gですから
同じ量の糞便の10〜100倍の菌が生息しています。
びっくりですね。
朝起きた状態は、お口の中は、非常に多くの細菌が生息しているのです。
そのため、歯磨きを行なう重要なタイミングは、
朝起きてすぐです。
これは十分理解できますよね。
細菌が最も多時間帯ですので、この時に歯磨きを行なうことは非常に大切です。
なぜ起床時に細菌が増えるのか?
ということは、このブログを見ていられる方は、もうご理解できていると思います。
口腔内の細菌が最も多くなるのは、唾液の分泌が減少している時です。
唾液には、細菌を減少させるための抗菌物質が含まれています。
唾液を多く分泌させることが
虫歯予防、歯周病予防、口臭撃退に大きく関係してきます。
そのため、唾液の分泌が少なくなると細菌が増殖しますので
口臭が起こります。
唾液の分泌が最も少ないのは就寝時です。
また、就寝前に口腔内を清潔にすることは、
就寝時の細菌繁殖に大きく影響します。
そのため、口臭予防(虫歯予防 と 歯周病予防も同じ)を前提とした歯磨き時期は、
起床時 と 就寝前です。
それでは、以下のようなごご質問に対してはどのような回答になるでしょう!
「口腔内(唾液中)の細菌が最も少なく、非活動状態になって、細菌学的に最もクリーンなのはいるでしょうか?」
この質問には、ほとんどの方が間違えます。
答えは、食後です。
食後の唾液を顕微鏡でみると細菌の活動は非常に少ないのです。
これは、食事を行なうことにより、唾液の分泌が大量に出てくるからです。
唾液の分泌大量 = 細菌の増殖を抑えることが可能
ということです。
これで、口臭の原因となる細菌の増殖についてだいぶ わかってきたと思います。
食直後に歯磨き剤を使用しての過剰な歯磨きは、唾液の損失を起こします。
歯磨き後には、当然のことながら うがい を行いますよね。
この うがい により唾液は洗い流されてしまいます。
うがいが多いのは口臭によって悪いことなのです。
先に説明しました
口臭が気になる方の多くは、
歯磨きを通常の人以上に行なっているにも関わらず口臭が気になる!
ということが だいぶ理解できてきたのではないでしょうか?
食後には、食べかすが分解されて酸になります。
この酸性の状態が続くと
口の中が酸っぱくなったり、
酸性臭がしたり、
虫歯細菌の活動が活発になったりします。
酸性状態が続くと
歯が溶け出したり(脱灰)、
虫歯になりやすくなります。
こうなると口臭もひどくなります。
さらに酸性状態が続くと
菌が集合してプラークとなります。
始めにも説明しましたように
このプラークを取り除くことが歯磨きの目的なのです。
食べかすを取ることが歯磨きの目的ではありません。
つまり、虫歯予防 や 飲食後の口腔内ケアーによって重要なのは、
口腔内の酸性化をコントロールすることです。
これをpHコントロールといいます。
簡単に言えば、中和です。
専門用語では、唾液の緩衝能 と言います。
次回は、食後の歯磨きをどのように考えるのか?
という話しをしたいと思います。
pHコントロール、
中和、
唾液の緩衝能
というのがキーワードです。
次回のブログは、6月4日(月)になります。
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