緊張時口臭 その4
このブログは、口臭に悩む方のブログです。
このブログが始まって以来 毎週(だいたい月曜日)にアップしていましたが、
今年の4月から休診日に毎週 大学で講義 等を行うことになったため、
ブログの更新が不規則になると思います。
毎週ご覧になっていただいている方も多くいらっしゃるかと思いますが、ご理解いただければと思います。
できるかぎり毎週(月曜日)にアップしたいと考えております。
昨日は、私(院長)は休ませていただき、
オールセラミックの接着セミナーに参加してきました。
接着というのは、
セラミック等の被せ物 や 詰め物を歯にくっつけるということです。
こうしたした話をすると
口腔内に金属製の詰め物 被せ物がある方は、
こうした物を接着してあると思われますが、
実は 金属製の詰め物 や 被せ物 は、厳密に言えば接着しているという治療ではないのです。
歯(特に象牙質という歯の内部の部分)に、
金属やセラミックをくっつけるという行為は、非常に難しいことであり、
結構くっつかないのです。
金属製の被せ物 や 詰め物が取れた経験がある方も多くいらっしゃると思います。
そして、取れた後の歯を見ると
中で大きく虫歯になっていた
という経験をお持ちの方も多くいらっしゃるかと思います。
以前から使用されている歯科治療で汎用されている金属は、
歯と接着されているわけではなく、
歯の溝(ザラザラした部分)と金属の溝(ザラザラした部分)に
セメントという固まる材料を挟み込み、
固定しているにすぎません。
大雑把に言えば、
外壁のブロックのようなものです。
家の庭 と 道路 等の境界となる 遮断する壁です。
昔は、グレーの長方形のブロックを積み重ねて作製された壁が多かったですよね。
長方形のブロック と ブロックは、セメントというもので固定されていますよね。
口腔内にある金属製の詰め物 や 被せ物(ブリッジも同様)も同じような方法です。
家の庭にある外壁のブロックが
固まるセメントを介在して、
動かなくなることと同じようなことです。
口腔内の場合、毎日 噛む力が歯に繰り返し起こります。
こうした噛む力の負担や、
詰めた金属の熱膨張、
食後の口腔内の酸の影響、
等で
接着されたセメントが崩壊していきます。
崩壊したセメントは砕け、溶け出していきます。
もし、家の庭等にある外壁のブロックを固定してあるセメントが
崩壊(砕けた)場合、どうなりますか?
壁が壊れますよね。
これと同じようなことが口腔内に起こっているのです。
そのため、一度つけた金属製の詰め物 や 被せ物が、
なにも問題なく一生保つのではなく、
取れたり(脱落したり)、
詰め物の隙間(セメントの崩壊)から細菌が侵入し、虫歯になったりします。
現代の歯科治療は、以前のそうしたセメントを使用した治療とは大きく変わってきています。
レジンセメントという非常に固い物で
歯と強固に接着させることが可能になってきているのです。
こうした接着については、日々進化しており、
日本の接着研究は、世界的にも先進国といってもいいでしょう。
しかし、まだまだ完璧ではなく、
日々進化している学問であることは事実です。
私自身は、歯周病が専門として日々診療しており、
20年以上前にいた大学では、
現在のような接着についての講義を習ったこともありませんでしたので、
接着の知識については、日々ざまざまなところで学ぶしかありません。
そのため、いくつかの研究グループに所属し、
知識を得るため、勉強しています。
それでも進化の途中の接着は、
昨年の常識が
今年変わることもあり、
日々知識を得ていかないと遅れてしまう学問です。
昨日は、接着の最先端の知識と臨床を行っている
風間龍之輔先生 の講義と実習に行ってきました。
このテーマ(接着)については、
今後 他のページになるかと思いますが、
詳細に解説致します。
おそらく5~6月頃に新ページとしてアップする予定です。
前置きが長くなりました。
今日のテーマは、『緊張時口臭 その4』になります。
緊張時口臭については、
今までの3回である程度のことを解説してきました。
過去のブログをご覧になっていない方は、是非過去3回分を先にご覧になって下さいね。
重要なポイントについては、繰り返すように解説しています。
本日は、緊張時口臭の解説というよりは、
実際に緊張時口臭を経験された患者様の例を紹介します。
Aさんは、口臭を他人に指摘されてから
ご自身でも口腔内の変化に気づくようになりました。
他人から口臭について指摘されるまでは、
ご自身の口臭についてあまり考えたことはありませんでした。
しかし、他の人から
「臭うよ」
「口臭があるよ」
と言われたことが非常ショックでした。
ご自身でも
「どんな臭いなの?」
「他の人も私の臭いが気になるの?」
という思いが強くなり、
人前で話すことも苦痛になってきました。
その頃から口腔内が乾くことを自覚し、
舌がピリピリしたり、
口腔内が粘つき、
痰が喉に絡むようなこともあります。
しかし、常にこうした症状があるわけではなく、
ご自宅にいたり、
一人でいたりする場合には、
のどの渇き や
口腔内のネバツキ
は少ないように自覚しています。
口腔内に問題があるのかと思い、
歯科医院を受診しましたが、
歯周病、虫歯ともに問題はないと診断されました。
口臭についても問題なしとの診断でした。
こうなるとさらに悩みは大きくなります。
「なぜ臭うのか?」
「原因は?」
「どうしたら治るのか?」
どんどん不安が大きくなります。
始めの頃は、
「本当に臭うのか?」
ということから
「確実に臭う」
ように変わってきます。
また、こうなると
他人のしぐさ が気になるようになります。
例えば、
他人が手で口を押さえる行為を行うと
「私の口臭がきついので、嫌がっている」
と感じるようになります。
電車 等の狭い空間で、
人がよけたり、
距離を開けたり、
顔の向きを変えることで
「はやり 私に口臭があるから…」
ということを感じるようになります。
しかし、歯科医院では問題なしと言われます。
こうなると
口臭を自覚される機会はさらに増えていきます。
日々口臭について考えるようにもなってきます。
完全に口臭の悪循環に陥っています。
こうしたことの原因として、
緊張時口臭の可能性が高いです。
今までの3回で解説してきましたが、
緊張 や ストレスを感じると
交感神経が強く働きます。
結果的に
唾液の分泌は抑制(減少)します。
唾液が少なくなることで、
口腔内の乾燥が起こり、
唾液がネバツキ、
舌がピリピリとしてきます。
また、
「口を開けると臭うのではないか?」
という恐怖感から会話が少なくなり、
顔も下を向くようになります。
これは完全に
負のスパイラルにはまっています。
こうしたことを経験されている方は、
早めに口臭専門外来を受診し、
適切なアドバイスを受けて下さい。
悩む時間が長ければ 長いほど
治すことに時間がかかり、
再発率も高くなります。
また、口臭が気になり、社会生活に支障をきたすようになることは良くありません。
今日は、緊張時口臭で悩む患者様の体験談でした。
このようなケースは、本当によくあります。
次回は各論です。
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