危険な金属アレルギービジネスに注意

なかなか治らない皮膚疾患をかかえている方の多くは、 さまざまな皮膚科を受診していることが多く、 皮膚科でステロイド剤等の処方が行われたが、なかなか改善しないため、 金属アレルギーを疑い、パッチテスト等の金属アレルギー検査を行われることがあります。
そして、パッチテスト等のアレルギー検査の結果、陽性(金属アレルギー)と診断された場合には、まず口腔内金属を撤去することから始まります。

ほとんどの仕事で言えることですが、多くの人が 望む事 や 物品 等がある場合、そこにビジネスチャンスがあるのは当然のことです。
金属アレルギー治療も同様です。
金属アレルギー治療を希望する患者様が多くいらっしゃる場合、 それをビジネスチャンスと考える人も多く現れるものです。
もちろん、科学的根拠(医学的根拠)をしっかりと持ち、適切な医療行為を行っている先生(業者)がほとんどであると思いますが、中には悪質な先生(業者)が存在することも事実です。

口腔内金属を撤去し、メタルフリーとする治療は、多くの場合保険が適応されません。
金属アレルギー改善治療の詳細は以下を参考にして下さい。
保険診療による治療内容も含まれています。 審美[オールセラミック/金属アレルギー外来]について

そのため、治療内容によっては高額な治療費がかかる場合があります。
また、口腔内金属を全て撤去すれば、必ず金属アレルギーが改善されるわけではありません。
口腔内金属を全て撤去しても完全に治らない場合もあるのです。
金属アレルギーは本当に治るのかどうかの詳細については 以下を参考にして下さい。 金属アレルギーは治るのか?

このようなことから 「口腔内金属を全て撤去するメタルフリー治療のみでは治らない!」 「体内に蓄積された金属を除去するデトックスが必要です!」 「デトックス(キレーション)を行わないと状況はどんどん悪化しますよ!」 という言葉で必要以上の不安をあおり、 さまざまな治療法を勧める場合があります。
金属アレルギーに対して行う キレーション療法(デトックス)とは、 体内から有害物質を排出するために 血管内にキレート剤を点滴して行う方法です。
ただし、金属アレルギーにおけるキレーション療法は、科学的な根拠に乏しく、日本国内の歯科の学会での論文がほとんどないのが現状です。
現実的に歯科大学の併設する大学病院ではキレーション療法による金属アレルギー治療は行われていないのが実情です。
そのため、キレーション療法による金属アレルギー治療あたっては注意が必要です。
また、キレート剤は悪心、おう吐をきたし、肝機能障害をおこすことも多くあることから、使用にあたっては慎重にすすめることが必要です。
科学的根拠の乏しい治療は、患者様を治すということ以上に「金属アレルギービジネス」となっていることもあります。
また、全ての口腔内金属を撤去する必要性があるのか?に詳細は記載してありますが、治療費 等のことを考えると リスクの高い金属から撤去し、経過をみながら残っている他の金属を撤去することも一つの方法ですし、 食生活の改善も金属アレルギー改善にとって必要なことです。

金属アレルギーを疑う場合には、 まず、パッチテスト等の金属アレルギー検査を行い、 陽性(金属アレルギーに問題がある)と診断された場合には、 信頼のできる歯科医院(金属アレルギー治療の経験が豊富な歯科医院が良い)で ご希望等を話し、十分な相談の上、治療方針を決めてもらうことが必要です。
過大な広告 等のまどわされず、金属アレルギービジネスにひっかからないように注意が必要です。
金属アレルギーに効果のあるというようなサプリメントの使用は簡便ですが、 科学的根拠 や その効果 等を 十分ご理解された上でご使用されることが必要です。

※ 上記内容は、デトックス(キレーション療法)の全てを否定するものではありません。
デトックス(キレーション療法)の中には、科学的根拠が乏しかったり、 副作用 や 安全性の確率されていない物の使用も考えられるため、 十分な注意が必要であるということです。