金属治療の問題点その4:オールセラミック治療の問題点および成功に導くためのポイント

はじめに

この項目をご覧になる前に 金属治療の問題点その1:なぜ金属の詰め物は取れるのか? 金属治療の問題点その2:金属治療 問題点の改善方法 金属治療の問題点その3:オールセラミック治療の問題点は? をご覧になって下さい。

オールセラミック治療の欠点

オールセラミック治療の欠点について解説します。
まず、オールセラミックは レジンセメントで付けることで、 強固に歯と接着することが可能となります。
しかし、噛み合わせの問題 等から破損する可能性がないわけではありません。
以下は、オールセラミック治療についての成功率のデータになります。

シロナデンタルシステムズ株式会社が公表している臨床研究データによると、 従来法のセラミックインレー(部分的なセラミックの詰め物)の15年後の残存率は約68%とされています。
つまり、従来のセラミックインレー(部分的なセラミックの詰め物)は、 15年後には約3分の1が破折、脱離等のトラブルが発生しているという結果です。
当医院で取り扱っているオールセラミック(セレック)の 15年後の残存率を調べた臨床研究によれば、 約93%と非常に高いデータがでています。

上記のようにオールセラミック(セレック)の臨床成績は、非常に高いものですが、 それでも100%ということではありません。
長期間による噛み合わせの変化により、オールセラミックに負担が加わり 破損をきたすこともあります。
また、歯ぎしりや 食いしばり、欠損部の存在(放置) 等 さまざまな 問題により破損する可能性もあります。

もし 破損したとしても内部が虫歯になっていなければ、 単にセラミックを再製するだけですので、 歯にとっては最小限の負担ですみます。
しかし、金属の詰め物のように、歯と接着していない治療の場合には、 金属の詰め物が取れた時点で内部が大きく虫歯になっていることがあります。
もし、虫歯が大きく神経まで達している場合には、神経を取り除く治療が必要になり、 さらに将来的なリスクも高くなります。
それでは、オールセラミックを成功に導くためのポイントについて解説します。

オールセラミック自体は、金属と比較すると非常に脆い(弱い)ものです。
例えば、歯に接着していないオールセラミックを足で踏むと割れます。v また、接着していないオールセラミックを口腔内に入れて 強く噛むと 割れる可能性もあります。
ただし、レジンセメントを使用し、歯としっかりと接着することで、 非常に強い強度を得ることが可能となります。
つまり 歯とオールセラミックをくっ付ける作業(接着)が 成功に重要なポイントになるのです。
接着がきちんと行われないとセラミックの破損や脱離する確率が高くなります。

また セラミック治療といっても 現在世界中で使用されているセラミックには多くの種類があります。
当医院で使用したいるオールセラミックは、セラミックブロックを セレックという器械で形成し、作製されます。
現時点では、Ivoclar Vivadent社のエンプレスや e.max という 素材を使用することが多いです。
現時点では…というのは、オールセラミックの素材は、日々進化しており、 毎年のように新しい素材 や 改良された素材が開発されています。
そのため、現時点よりさらに良い材質、改良された材質があれば 当然のことながらそうした素材を使用することになります。

こうした材料の選択を適切に判断することもオールセラミック治療を成功に 導くためのポイントになります。
オールセラミック治療の他の問題点として、保険が適応されないことです。
治療費は各歯科医院により異なります。