インプラント症例:63回目

7/26(月曜日)です。
このインプラント症例ブログは毎週 月曜日木曜日にアップしています。
『63回目のインプラント症例』になります。
毎日本当に暑いですね。
本日は始めに夏期休暇についてのお知らせです。
8/9(月)〜8/16(月)まで休診となります。
本日の症例は、以前このブログでも紹介したことがある症例です。
上顎前歯部の1歯欠損に対して、インプラントを埋入したケースです。
なぜ再度このブログでアップするかと言いますと
上顎前歯部の症例が多いからです。
ただし、その多くは難症例になっているのです。
最近、インターネットの普及もあり、来院される患者様の多くは
さまざまな情報をもって来院されます。
骨吸収が非常に進行した状態での骨再生治療についてとか…
さまざまな治療方法についての情報をもっています。
その中で最近非常に多いケースとして、
上顎の前歯部があります。
しかも、難症例のケースが多いのです。
本来 上顎前歯部は、審美性が重要視される部位ですので、
治療の難易度が高い部位です。
ただし、難易度が高いといっても その難しさは、さまざまな条件によって大きく変わってきます。
例えば、骨吸収の程度によっても大きく変わってきます。
元々、歯周病 を放置したり、
歯根破折 を起こした状態を長期的に放置したり、
歯がないまま長期間そのままになっていたり
することがあります。
このようなことが起こると 歯を支えている骨が吸収を起こします。
特に歯根破折 を起こしている場合には、急激に骨吸収が起こります。
先にもご説明したように インターネットの普及によって 患者様ご自身でさまざまな情報を得ることができるようになっています。
例えば、歯肉が腫れて 歯科医院に行ったところ
「神経のない歯が歯根破折 を起こしているため、抜歯しか方法がない!」
と診断を受けたとします。
当然 患者様は、
「なんとかならないのか?」
と思い、インターネット等でさまざまな情報を得ようとします。
歯根破折 を治す方法はないのか?」
「抜歯した後は、どのような治療になるのか?」
…等
悩み事はいっぱいあります。
また、さまざまな歯科医院を転々と受診し、
治療方法を聞きます。
歯根破折 を治す歯科医院を探したり、その後の治療方法について聞いてみたいという思いもあります。
これは当然のことです。
「なんとか良い方法があれば…」
という思いがあるのは当たり前のことです。
しかし、こうした情報の多さが 問題を引き起こすことがあります。
その一つは、時間の経過です。
歯根破折 を例にとって解説すると
歯根破折 を起こした場合には、できるかぎり早急に抜歯することが重要です。
折れた部位から 血液が入り込んだり、唾液が入り込んだりした結果、歯肉の中で感染が起こります。
感染の結果、歯周囲の骨が吸収(溶けてくる)するのです。
実際に、歯肉が腫れいる場合には、骨吸収はすでに起こっています。
そのため、歯肉が腫れて歯科医院を受診した時に
歯根破折 しています!」
と診断された場合には、骨吸収が起こっていると思って下さい。
そのため、早急に抜歯することが重要です。
しかし、先程ご説明したように 多くの患者様は、
歯根破折 を治す方法はないのか?」
等 ご自身の希望をかなえてくれる歯科医院を探します。
この間に骨吸収はどんどんと進行していくのです。
上顎前歯部が歯根破折 した患者様の中で当医院を受診される方の多くは、歯根破折 してからかなりの時間が経過しています。
そのため、私が検査する段階ですでに骨吸収がかなり起こっているのです。
「もっと早く来院していれば…」
と考えられるケースが本当に多いのです。
骨吸収が高度に起こっている場合には、治療後の審美性に大きく影響します。
インプラント治療の中には、吸収した骨を増大(再生)させる治療方法があります。
こうした治療をGBR法(骨増大法) と言います。
しかし、GBR法(骨増大法) は魔法の治療ではありません。
GBR法(骨再生治療)には限界 があるのです。
患者様の中には、GBR法(骨増大法) を行えば、元の状態に回復(復元)できると考えていられる方がいらっしゃいます。
骨吸収の状況によっては、吸収前の状態に近く回復(骨再生)が可能です。
しかし、先にもご説明したようにGBR法(骨再生治療)には限界 があります。
骨吸収が起こった状態でインプラントを埋入するとさまざまな問題が起こります。
インプラント治療後に歯が長く見えたり、歯と歯の間に隙間ができる といったことがあります。
患者様にとっては、
「良く調べて より良い歯科医院を受診したい!」
という多いがあるのは当然のことですが、現在の状況をきちんとご理解していないと
状況はどんどんと悪化することがあります。
本日ご紹介する方も 長い間歯がないまま長期間そのままになっていた 患者様です。
づっと義歯を使用していたのです。
その結果、骨は痩せ、歯肉の退縮も起こっていたのです。
ただし、結果論としては、さまざまな治療によって審美的な回復ができた症例です。
前置きが長くなりましたが、早速症例を始めましょう!
本日の症例は、上顎前歯部の1歯欠損に対し、
「オールセラミッククラウン(ジルコニア)」でインプラント治療を行ったケースです。
以下の写真は、治療前(初診)です。
前歯が欠損しています。
79-1 2
患者様は、欠損部の両側の歯を削るブリッジはどしても避けたいとの思いがあり、
インプラント治療をご希望されていました。
また、審美的に治療を行いたいとのご希望があり、
インプラント埋入後は、オールセラミックによる治療をご希望されました。
以下の写真は、インプラントを埋入した後の状態です。
79-1 3
金属色に見えるのは、インプラントの 『蓋』になります。
この『金属の蓋』は、普段見えるものではありません。
インプラント手術直後から『仮歯』が装着されますのでご心配はありません。
これは、インプラント手術後の状態が見えやすいように仮歯を取って写真撮影したものです。
仮歯にはいくつかの方法があり、
今回の症例では、欠損部の両側の歯に仮歯を接着剤で固定する方法を行いました。
機能的にも審美的にも大きな問題を起すことはありません。
インプラント埋入後、骨と結合するまで約3〜4ヶ月待ちます。
その後、先程の金属を蓋を取り、インプラントの土台を装着します。
インプラントの土台のことを『アバットメント』と言います。
アバットメント等のインプラントの構造については、以下を参考にして下さい。
インプラントの構造(パーツ)
一般的にインプラントの土台は、金属製(チタン合金)になります。
ほとんどのインプラントがこの金属製の土台です。
以下の写真は、金属の土台(アバットメント)を装着した状態です。
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もちろんこの金属のアバットメントが見えることはありません。
アバットメント(土台)の上にセラミック等の被せ物が装着されるためです。
しかし、審美性を考えれば土台(アバットメント)自体も金属を使用しない素材が良いのです。
金属をしない土台を ジルコニア アバットメント と言います。
以下の写真がジルコニア アバットメントを装着した状態です。
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このジルコニア アバットメントが使用できるようになってから 審美性は今までと比較して格段に向上しました。
次に 土台(アバットメント)の上に装着される被せ物です。
いわゆる セラミックの歯です。
セラミックの素材を簡単に説明すると 瀬戸物です。
しかし、セラミックの被せ物(差し歯)と言っても 内面は金属でできています。
以下の写真は、セラミックの被せ物の内面(内側)から見たところです。
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ちょっとわかりにくかもしれませんが、
セラミックの作成方法は、始めに金属のフレームを作成し、その上にセラミックを焼き付けて作成されます。
そのため、セラミックと言っても内部(内面)は金属なのです。
もし、内面が金属フレームでできていないと強度が弱く 割れたりしてしまうからです。
しかし、審美的に治療を行うためには、内面にもまったく金属を使用しない素材が適しています。
この被せ物を オールセラミック と言います。
以下の写真は、オールセラミック ジルコニア クラウン です。
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金属をまったく使用しないということは、審美的な面だけではなく、金属アレルギー に対しても有効です。
以下が治療後です。
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この症例で使用したインプラントは、アンキロス インプラント です。
ジルコニアアバットメントも同社のシステムです。
前歯部に適したインプラント(プラットホーム・スイッチング) システムです。
次回のブログは7/29(木曜日)になります。
次回の症例は、上顎の奥歯の骨吸収が非常に起こっており、
骨の高さが1ミリ程度しか存在しない方に対して、骨移植を伴うサイナスリフト法(上顎底挙上術) を行ったケースをご紹介します。
先週のインプラント手術報告
先週(昨日)のインプラント手術の中から、
難しいケース であったり、
特殊なケース 等を抜粋して、紹介するコーナーです。
今週末も多くのインプラント手術がありました。
非常に簡単なケースもありました。
骨吸収がさほどなければ、インプラントを1本埋入するのに5分もあれば十分です。
治療後の腫れもほとんどありません。
しかし、骨吸収が大きい場合には時間もかかります。
昨日も2件の手術がありましたが、その中で骨吸収が大きかったのが以下のケースでした。
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下顎前歯部では、骨の幅が2ミリ程度しかありませんでした。
これは、歯周病 歯がないまま長期間そのまま放置 した結果です。
通常、インプラントの幅(直径)は、約4ミリ程度あります。
直径4ミリのインプラントを埋入するためには、6ミリ程度の骨の幅が必要です。
今回の症例では、骨幅が約2ミリですので、非常に大変であったことは分かるかと思います。
スプリッティング法(リッジエクスパンジョン法)
OAM(大口式)インプラントシステム
GBR法(骨増大法)
を併用し、なんとかインプラントを埋入することができました。
本来は、このような状態にならないうちにインプラントを行うことが重要なのです。
使用したインプラントは、
奥歯ではストローマンインプラント(ITIインプラント)
前歯ではアンキロス インプラント
でした。
麻酔方法は、静脈内鎮静法(眠っている間に終了します) です。
今後の治療スケジュール
今後の予定としては、
1. 約7〜10日後に“抜糸”、
2. その後、 約2〜3ヶ月後に型を取りを開始します。
治療費
インプラントモニターの場合、1本168.000円(消費税込)になります。
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現在、新規にインプラント症例集のページを作成しています。
さまざまなケースを見ていただくことにより、よりインプラント治療についてご理解していただきたいと思います。
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