細菌の話し:その5

2/ 6(月曜日)です。

このブログは、歯周病に関するブログです。
毎週月曜日 にアップしています。

始めに今週の休診 臨時診療のお知らせです。

•2月11日(土):祝日のため休診となります。

•2月12日(日):診療しておりますが、
          院長はインプラント学会参加のため不在となります。

•2月 9日(木):臨時診療日となります。
          9日はオンライン予約 では取れませんので、
          電話(045-891-3334)でご連絡下さい。

今日のテーマは、『細菌の話し:その5』になります。

このテーマは、シリーズになっていますので始めて見られる方は、是非1回目からご覧んになって下さい。
以下をクリックして下さい。
細菌の話し:その1

細菌の話し:その2

細菌の話し:その3

細菌の話し:その4

さて本日の話しです。
いきなり今日から見られた方にとっては、非常に難しく、
チンプン カンプンな話しかと思います。

特に今日は特別難しい回です。

本日までの4回で口腔内に存在する細菌について解説してきました。
細菌の中でも歯周病に関係する細菌は
嫌気性細菌であることを説明しました。
また、多くの口腔内細菌は、集まり(凝集)塊となって
バイオフィルムという細菌の住処をつくり
外来からの攻撃に耐えるようになっていきます。

しかしながら 生体は、細菌により感染するだけでなく、当然のことながら防御反応があります。
本日はそのような話しです。

生体の生理的防御
細菌から生体を防御するため機構として主に以下の3つのことが関係しています。

1. 唾液
唾液の重要な作用として以下のことがあります。
  a.口腔内に侵入してきた微生物を唾液により洗い流す
  b.抗菌性物質により感染防御作用をしている
  健康な方であれば、唾液は1日1〜2リットル分泌されています。

2. 歯肉溝滲出液(しにくこうしんしゅつえき)
  a.歯周ポケット内部に侵入してきた細菌を洗い流す
  b.細菌を撃退する成分(抗菌成分)も含まれる

3. 歯肉上皮
  歯肉上皮は細菌の攻撃を受けても新しい細胞供給が非常に早いため、        
  細菌の侵入を食い止めるバリアとして働きます。

生体防御細胞

生体防御細胞は、医療を志す学生にとって必ず学ばなければならないことです。
しかし、これがなかなか難しい話しなのです。
以下では、できるかぎり簡単に説明したいと思います。

歯周病で問題となる嫌気性細菌犯罪者 としましょう。
そして後で説明します 好中球マクロファージ警察官 としましょう。
ちなみに好中球マクロファージは、警視庁(白血球)の一員です。

それでは、犯罪者(嫌気性細菌)警察官(好中球)の話しの始まりです。

外来から攻撃してくる犯罪者(細菌)に対応して
唾液 歯肉溝滲出液歯肉上皮の作用により防御してきますが、
細菌の爆発的な増大 等により生体内に侵入してくる犯罪者(細菌)がいます。
この時に始めに働くのが、歯肉線維芽細胞 のバリアです。

そして、歯肉組織中にいる警察官(マクロファージ)が犯罪者(細菌)に職務質問(攻撃:貪食)します。
マクロファージが細菌を食べる(貪食)のです。

また警察官(マクロファージ)は、
犯罪者(細菌)を調べます(食べた細菌を分解、消化)。
そして、犯罪者(細菌)がどんな人物(細菌)であるのかを分析します。
この時の分析に役立つのか犯罪者(細菌)の所持物(内毒素)なのです。
所持物(内毒素)の中にその犯罪者(細菌)の情報が詰まっているのです。

警察官(マクロファージ)が出す情報にすぐ反応するのが、
血管内に存在する他の警察官(好中球)です。
警察官(好中球)は、血管内を循環しているのです。
*好中球の寿命は数時間しかありませんので、細菌が侵入してくるとすぐに攻撃するのです。
警察官(好中球)は、
血管から出て来て犯罪者(細菌)に向かい(走化能)、
犯罪者(細菌)を丸ごと取り込み(貪食能)、
犯罪者(細菌)を破壊(殺菌能)します。

次に警察官(マクロファージ)は分析結果を刑務所(Tリンパ球)に伝えます。
刑務所(Tリンパ球)は その情報をさらに裁判所(Bリンパ球)に伝えます。
そして、裁判所(Bリンパ球)は、刑期(犯罪歴)をつけるのです(抗体を産生

Bリンパ球から産生された抗体は、細菌にくっつきます。
裁判所
が 犯罪歴 を 犯罪者 につけるのです。

抗体がくっついた細菌は、好中球が判別しやすくなります。
犯罪歴がついた犯罪者は警察官が判別しやすくなるのです。
指名手配がついたようなものです。
抗体がついた細菌は好中球が捕らえやすくなり(オプソニン効果)、
効率よく細菌に対処できるようになります。

予防接種 や ワクチンは以下のような仕組みで作用します。
少量の抗原(病原体の特徴)を生体内に入れて、
病原体の情報を漏らし、あらかじめ抗体を作っておくことです。
インフルエンザワクチンが時々効果のないことがありますが、
これは あらかじめ予想していた情報(抗原:ワクチン)が
実際に流行ったインフルエンザとは違ったため、
情報(抗体)が役立たなかった ということです。

今日はこれで終了です。
あまりにも難しかったので、次回はもう少し簡単な内容にしたいと思います。

このシリーズもどんどんと深みにはまっている感じがしますが、
ここまできたら最後までご覧になって下さい。
あと 3〜4回ほど このシリーズを続けたいと思います。

きっとこのブログを見ているのは、
同業者だけなのではないかと思います…

次回のブログは、2月13日(月)になります。

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