インプラントの被せ物の種類と違い

インプラントの被せ物には大きく分けて
  • セラミック
  • オールセラミック
  • ジルコニア(フルジルコニア ⁄ ステイニングジルコニア ⁄ ジルコニアセラミック)
  • ハイブリッドセラミック
  • 金属
5 種類があります。

セラミック

セラミックは、いわゆる陶器(瀬戸物)と同じようなものです。
変色をせず、審美的に優れています。
また、セラミック自体には汚れが付きにくいです。
セラミックといっても 内部(セラミックの内側)は金属製でできていますので、金属アレルギーに問題がある方は避ける必要性があります。
金属製の被せ物 や ジルコニア(フルジルコニア)と比較するとセラミック部分は強度的に弱いので破損する可能性があります。
審美性はオールセラミックと比較すると良くありません。
こうしたことから 以前は一般的に使用されていた素材ですが、 現在は使用頻度がかなり少なくなっています。

オールセラミック

オールセラミックは、現在最も使用されている被せ物です。
以前の歯科治療では、セラミックという素材が使用されていましたが、セラミックの内部は金属でできており、透明感がなく、審美的に優れているとは言えない素材でした。
以前からオールセラミックはあったのですが、強度に問題があり、破折する確率が高かったため、一般臨床で普及してきませんでした。
しかし、近年ではオールセラミックの強度(物性)が格段に向上し、オールセラミックをくっつける技術も格段に進歩したことから 破折する確率はかなり少なくなってきました。
また、オールセラミックは金属を使用していないため、金属アレルギーの問題もなく、審美性に優れていることもあり、 現在は被せ物の第一選択肢となっています。
また、世界的にもオールセラミックが普及するにつれ 材料費も下がってきており、以前のセラミックと比較すると安価になってきていることも オールセラミックが普及している理由となっています。
またオールセラミックは汚れが付着しにくいので、金属製 やハイブリッドセラミックより優れています。 現在の治療では、一番奥歯を除いてオールセラミックが基本と言えます。

ジルコニアセラミック

ジルコニアとは、金属元素であるジルコニウム(Zr)の酸化物であり二酸化ジルコニウム(ZrO2)の総称で、セラミックの一種です。
一般的に言われるセラミックとは違いますが、セラミックのように白い被せ物であり、強度が非常に強いセラミックに分類される素材です。
現在ジルコニアは、最も注目されている材質の一つで、今後 歯科治療にはかかせない材質となるでしょう。
従来 使用されていたセラミック や オールセラミックとの違いは硬さです。
フルジルコニアといわれる材質は、セラミックの4~5倍の強度があります。
硬い材質として世界的にも最も使用頻度の高いオールセラミックの一つであるe-Maxという被せ物の材料があるのですが、この材質より3倍以上も硬い材質です。
この硬さがジルコニアの最大の特徴です。
インプラントの被せ物の長期予後のデータからは、セラミックの破損率は10年で10~30%と言われています。
特にインプラント部の被せ物は天然歯の被せ物と比較しても破損率が高いです。
こうしたことから破損しない材質が求められているのです。
今後インプラント治療を中心として、多くの被せ物がジルコニアに置き換わっていくことが考えられます。
現在最も注目されているのがジルコニアなのです。
もちろん金属ではありませんので、金属アレルギーの心配はありません。
ジルコニアと言っても、大きく分類すると以下の3タイプが存在します。

a. フルジルコニア(100%ジルコニア)

これはジルコニアが100%使用されています。
ジルコニアの強度を最大に活かしたタイプです。
奥歯では破損率が今までのセラミックと比較する格段に低いです。
ただし、欠点として現時点ではオールセラミックと比較すると審美性に劣ります。 これはジルコニア自体は透明感が少ないため、白っぽく見えます。
しかし、今後は確実に透明感のあるフルジルコニアが開発されていきます。
見た目をさほど気にしなければ一番奥歯では安価であり、このタイプが良いでしょう。

b. ステイニング ジルコニア(色付けジルコニア)

先にフルジルコニアについて説明しました。
その際に100%ジルコニア(フルジルコニア)は、白っぽく透明感が少ないので審美性に問題があることを説明しました。 この欠点を補うのがステイニング ジルコニアです。
簡単に言えば、フルジルコニアに色をつけたタイプです。
フルジルコニアに着色するので、白っぽさはなくなります。
しかし現時点では、透過性の高いオールセラミックと比較すると審美性に劣りますので、奥歯向きです。

c. レイヤリング ジルコニア(ジルコニア オールセラミック)

従来歯科治療で頻繁に使用されてきたセラミックという素材は、見える表面はセラミックですが、内部には金属が使用されています。
セラミックと言われる素材を日本語では、陶材焼付鋳造冠と言います。
金属の冠に陶器(瀬戸物)を焼き付けて作製されるという素材です。
これはセラミックのみで作製すると強度に問題があるため、内部に金属のフレームを作製して補強してあるのです。
通常のセラミックは、内部が金属製であるため、光の透過性が悪く、審美的とは言えない素材でした。
ジルコニアセラミックとは、セラミックの内部の金属の変わりにジルコニアのフレームを作製し、その上にセラミックを焼き付けるという方法をとります。 ジルコニア自体は透明感のない白っぽい色なのですが、このジルコニア表面にセラミックを焼き付けて作製しますので審美性は非常に高いです。
また、内部が金属ではないことで光の透過性があり、非常に美しい被せ物になります。
前歯部に使用されます。
現時点では最も審美性の高い素材と言えます。
ジルコニア表面に焼き付けられるセラミック自体はジルコニアのような強度はないので奥歯では、破損する可能性があります。
(もちろん破損率は低いですが…)

ハイブリッドセラミック

素材としては セラミックにレジンという物を配合して作っています。
レジンとは プラスチックのようなものです。
このレジンを配合することにより硬さを天然歯とほぼ同程度にすることができます。
利点は、破損したとしても軽度の破損であれば、口腔内で修復が可能です。
セラミック や オールセラミックは、口腔内での修理が基本的に難しいです。
この点はハイブリッドセラミックの良い点です。
しかし、欠点としては セラミックに比較して審美的に劣ります。
レジン(ハイブリッドセラミック)は、吸水性があるため必ず変色します。
吸水性があるため汚れを付着しやすいという欠点があります。
また強度はかなり弱いので、歯の噛む面には使用は難しいです。
それは破損する確率が高いからです。
そのため、下顎での使用は難しいです。
上顎であれば、見える頬側のみハイブリッドとし、噛む面を金属とすることで破損確率は下がりますが欠点も多い素材ですので、現在では使用頻度は少なくなっています。

金属

金属製の被せ物は、噛み合わせの長期安定からすると最も安定している材質です。
長期的にはセラミックやハイブリッドセラミックと同様に若干は磨り減りますが、かけたりすることはないからです。
しかし、欠点として金属製ですので見た目に問題があります。
金属アレルギーの問題もあります。
実際には審美的なことから多くの患者さんは金属を避ける傾向にあります。
審美性が気にならずに、金属アレルギーがない方で、強度を重要視し、費用を抑えたい方に適した素材です。

最後に

上記のどんな被せ物でも その形態を一生保たせることは不可能です。
毎日噛むことにより被せ物は必ず磨り減るのです。
もちろん噛む力には個人差はありますし、歯軋りの有無や程度によっても違いますが、必ず少しずつ磨り減ります。
靴に例えると毎日使用していれば靴底は磨り減ります。
磨り減り方には個人差があり踵の部分が磨り減ったり、内側のみ、外側のみ、右側、左側と磨り減ったりします。
口腔内も同様に、右で良く噛む人は右側が磨り減ったりします。
また、歯軋りやくいしばりがある方は磨り減り方が大きいものです。
ですから被せ物は消耗品です。

20歳でセラミックをした人はその形態が60年、70年と不変であることはありません。
噛む力によってはセラミックに日々負担がかかり、かけたりする場合もあります。
特に、インプラントは天然歯と違い 歯根膜というクッションのようなものが存在しないため噛んでも動かない(沈み込まない)ので噛む力が直接インプラントの被せ物にかかります。 被せ物を装着した時にはそうならいように噛み合わせの調節を行いますが、時間の経過とともに噛み合わせは変化し、インプラント部に負担がかかってくることがあります。
こうしたことを少しでも防止するためには、被せ物を金属性の物にすることが考えられます。
金属製の被せ物は見た目にはよくないですが、かけたりすることはありません。
磨り減り方も少なくインプラントの被せ物としては有効なものです。
また、白い被せ物で長期的な安定を得られるものはフルジルコニアです。
フルジルコニアは白い被せ物の中で最も硬く、破損率が非常に低い被せ物です。
今後インプラントの被せ物として最も使用されるようになるでしょう。

結論として どの素材が優れているということではなく 口腔内の状態により使い分ける必要性があるかと思います。
また、上記のどんな被せ物でも その形態を一生保たせることは不可能です。
毎日噛むことにより 被せ物は必ず磨り減るのです。
もちろん 噛む力には 個人差はありますし、歯軋りの有無や程度によっても違いますが、必ず少しずつ磨り減ります。
靴に例えると 毎日使用していれば 靴底は磨り減ります。
磨り減り方には個人差があり 踵の部分が磨り減ったり、内側のみ、外側のみ、右側、左側と磨り減ったりします。
口腔内も同様に、右で良く噛む人は右側が磨り減ったりします。
また、歯軋りやくいしばりがある方は磨り減り方が大きいものです。
ですから被せ物は消耗品です。
20歳でセラミックをした人はその形態が60年、70年と不変であることはありません。
噛む力によっては セラミックに日々負担がかかり、かけたりする場合もあります。
特に、インプラントは天然歯と違い歯根膜というクッションのようなものが存在しないため噛んでも動かない(沈み込まない)ので 噛む力が直接インプラントの被せ物にかかります。
被せ物を装着した時にはそうならいように 噛み合わせの調節を行いますが、時間の経過とともに 噛み合わせは変化し、インプラント部に負担がかかってくることがあります。
こうしたことを少しでも防止するためには、被せ物を金属性の物にすることが考えられます。
金属製の被せ物は見た目にはよくないですが、かけたりすることはありません。
磨り減り方も少なくインプラントの被せ物としては有効なものです。
上記以外の被せ物では、オールセラミックという素材があります。
この詳細は、以下を参考にして下さい。 『ジルコニア』オールセラミック・クラウン症例