内科的歯周病治療:飲み薬(抗菌薬)による歯周病治療:その2
2014年 2月24日(月)です。
このブログは、歯周病に関するブログです。
毎週月曜日 にアップしています。
今日のテーマは、『内科的歯周病治療:飲み薬(抗菌薬)による歯周病治療:その2』になります。
このテーマは以前にも解説した内容なのですが、
患者様からのご質問で
「飲み薬で歯周病が治るの?」
というご質問が時々ありますので、
正しい情報を伝えるためにアップします。
まず、前回のブログの内容を簡単に振り返ってみましょう!
内科的歯周病治療とは、通常の歯周病治療と並行して 歯周病細菌に対して効果のある薬(抗菌薬)を併用することにより、歯周病を治そうとする治療法です。(抗菌療法)
内科的歯周病治療(抗菌療法)は、通常の歯周病治療と比較して多くの研究論文で その効果が実証されています。
本日から内科的歯周病治療(抗菌療法)についてをQ&A(質問と回答形式)で解説します。
まず 内科的歯周病治療(抗菌療法)は、どのような患者様に対して行うと有効なのか?
という内容から始めます。
疑問:1
内科的歯周病治療(抗菌療法)は どのような歯周病患者様に対しても
効果があるのでしょうか?
回答:1
通常の歯周病治療で効果が十分認められると判断されるような場合には、
内科的歯周病治療(抗菌療法)を行ってはいけません。
どのような歯周病でも内科的歯周病治療(抗菌療法)を行ったからといっ
て効果があるのではありません。
科学的根拠のない治療は行ってはいけません。
以下のような患者様に対して抗菌療法を行うかの検討をします。
a. 通常の歯周病治療を行っても改善が認められない方
(ただし、歯磨きが十分にできていることが前提です)
b. 年齢に対して歯周病が非常に進行している方
(広汎型重度歯周炎、広汎型侵襲性歯周炎)
c. 全身的病気(血糖値不良の糖尿病、免疫機能低下患者、虚血性心疾患…)を
有する中程度以上の歯周病の方
上記の( )内のような 生体防御機能が低下する 基礎疾患を有する患者様においては、
抗菌療法を行うことにより単に歯周ポケット内の細菌を減少させることだけでなく、
菌血症防止に効果があり
全身および 他臓器への悪影響を減少させることができます。
以下は菌血症の説明です。
歯科治療における菌血症とは、
汚れ(細菌)が歯周病治療(抜歯 等の他の歯科治療でも起こります)
を行うことにより、身体の中(血管内)に侵入することを言います。
歯周ポケット 内部(歯肉の内部)には当然のことですが、血管が存在
します。
特に歯周病で歯肉が腫れている方は出血が起こっていることが多いため、
歯周ポケット 内部に存在する汚れ(歯石)と血管が触れているこ
とになります。
他の言い方をすれば、汚れ(歯周病細菌)が血管に触れている状態と
いってもいいでしょう。
こうした汚れ(細菌)が一時的に血管内部に侵入することを菌血症と
言います。
特に 歯周病治療 等の歯科治療を行うとこうした菌血症が起こることが
報告されています。
歯周病治療の基本的な治療であるルートプレーニング では、
報告に差はありますが、8〜79%の確立
で菌血症が生じると報告されています。
事実ルートプレーニング を行った後(6分後)に採血して調べると血
液中から歯周病細菌が発見されることが報告されています。
しかし、このような菌血症は、健康な方であれば1時間もしないう
ちにいなくなるため、問題となることはありません。
そのため、さほどご心配になることはないのです。
しかし、注意が必要な方もいらっしゃいます。
それが 上記に記載した 心疾患の方 や 糖尿病の方など 全身的にご病気を持っていられ
る方や 抵抗力が低下している方です。
d. 細菌性心内膜炎、大動脈弁膜症、チアノーゼ性先天性心疾患、人工弁、
シャント術実施患者…の方
上記のような方は、歯周病治療を行う上で最もリスクが高い患者様と言えます。
上記の疾患等を 有する患者様は、歯周病治療において菌血症を起こす可能性が高いため、
抗菌療法の対象と言えます。
このことは、米国心臓病学会のガイドライン(AHA2007ガイドライン)でも
明確に指摘されています。
今日は、だいぶ難しい話しになりました。
次回も内科的歯周病治療(抗菌療法)についてをQ&A(質問と回答形式)で解説します。
お楽しみに!
次回の歯周病ブログは、3月3日(月)を予定しています。
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