インプラントにおける難症例:11
このシリーズの9回では『人工骨』の中の『ハイドロキシアパタイト』についてお話しました。
また前回のシリーズ10回では『人工骨』の中の『リン酸三カルシウム(TCP)』について解説しました。
今回は『コンポジット移植材』についてです。
『自家骨』の話の時に書きましたが、骨の移植材にとって最適なものは『自家骨』です。
『自家骨』は『骨誘導(能)』をもつ唯一の移植材です。
(厳密には他のものありますが、現時点で臨床利用できるものとして…)
何度も書くことになりますが、『骨誘導(能)』とは骨を形成(作る)する細胞を誘導(呼び集めて)し、骨を新生(添加)させることです。
つまり『自家骨』は骨を作る細胞を呼び集めることができる移植材です。
たしかに『自家骨』は骨の新生(再生)に非常に優れています。しかし、自家骨を採取(使用)するということは体の他の場所から取ってこなければいけません。
特に多くの量(自家骨の量)を必要とする場合には採取(取ってくる)場所自体も大きくなります。
こうしたことは患者さんにとって大変なことです。
実際の臨床においても患者さんに『骨の移植を行うために手術部以外から骨を取ってきます』とお話するとほとんどの患者さんはびっくりします。
それはそうですよね。
まさか『骨の移植』をするとは思っていませんし、手術部(インプラント部やGBR部)以外から骨を採取(取ってくる)とも思っていませんから。
ただし、私達治療する側からすると骨の増大治療(GBR法)を行う場合、『自家骨』を使用することは第一選択です。
骨の新生(再生)効果が高いことが実証されているからです。
しかし、移植手術に対する患者さんご自身の大変さや採取する量の問題等もあり、全ての症例において行うわけではありません。
そのため現在行っているのが『コンポジット移植』です。
これは『自家骨』と『人工骨』を混合(ミックス)して使用する方法です。
『GBR法』や『サイナスリフト(上顎洞底挙上術)』の多くはこの方法で行っています。
どれくらの割合で『自家骨』と『人工骨』を混合(ミックス)するかと言いますと50%-50%です。
この割合は手術状況や自家骨の種類(自家骨にも種類があります。これは後で解説します)により異なります。
論文学的(Jensen 1998の報告では)には『コンポジット移植材』の約30%は『自家骨』が必要とされています。
これは先程の自家骨の種類以外にも混合(ミックス)する『人工』の種類も影響します。
難しい話ですね。
若い歯科医師に話すことに近い内容です。
また次回はこの続きになります。
これを読破すれはかなりの“ツウ”になりますよ。
インプラントの大船駅北口歯科インプラントセンター