日本と世界の保険事情:大船駅北口歯科インプラントセンター

ac519821.JPG今日は昨日の続きです。

昨日はちょっと愚痴のような話しになってしまいました。
日本の保険診療において『根管治療』を行うことは海外の一般的な評価と比べると何十分の1とうことでした。
そのため『根管治療』にかけられる時間に制約があるもの事実なことでした。
しかし、それでもがんばっている歯科医師はいっぱいいます。
その反面、『根管治療』に十分な時間をかけていない歯科医師もいることも事実です。

『根管治療』をしっかり時間をかけて行っている歯科医院は良い歯科医院の一つの基準になるかと思います。

それでは今日も昨日の続きになります。
今日のタイトルは日本と世界の保険事情です。

それでは日本の医療はダメでアメリカの歯科医療は良いのかということですが、そうではありません。
確かにアメリカの歯科医療は十分な時間をとって診療できます。
使用する材料も厳選できます。
しかし、高い治療費のため全てのアメリカ国民が受けられるというわけではありません。
多くの国民が歯科治療を受けられない状態でいます。
その点、日本ではほとんどの方が歯科医療を受けることができるのです。
(もちろん日本においても健康保険料を納めることができず、歯科治療を受けられない方もいらっしゃいます)
最近では保険料負担も3割ですが、以前は1割負担でしたし、その前には老人に限って負担率0%という時代もありました。
日本の保険診療にはいい点もいっぱいあります。
しかし、健康保険では十分な歯科医療を受けられないこともあります。
インプラントや審美的な被せ物(奥歯は金属製の被せ物です)です。
歯周病は基本的に保険診療で行えますが、規制がかなりあります。
今後はもっと厳しくなることが予想されます。
簡単に言えば、保険診療では歯科治療が行える範囲がだんだんとなくなっていくということです。
私は歯周病専門医であり、歯周病治療は保険診療で行っています。
しかし、保険上では制限が非常にあるのが現状であり、実際には保険で行うのが難しいのです。
なにが難しかと言いますと、
歯周病の治療の基本的な治療(初期治療と言います)にルートプレーニング(歯周病細菌除去療法)
があります。
この治療を行うためには歯石の除去を2回に分けて行う必要性があります。
歯石の除去は2回ではなく、もっと何回にも分けて行う場合にありますし、1回で十分済む場合もあります。しかし保険ではルール必ず2回以上に分けて行って下さい。
というルールがあります。
また歯石の除去から先程のルートプレーニング(歯周病細菌除去療法)を行うまでにまた1ヶ月間隔を開けて下さいというルールがあります。
つまり決まったルールが1つしかないことが問題です。
医療は人に対して行うものですからさまざまな状況があります。
症状にもよりますが、治療方法は患者様によりまったく違います。
しかし、保険上は治療の進め方は1つしかないのです。
こうしたことはいっぱいありますが、
例えば、被せ物(歯を削って型を取り、被せるものです)は歯周病の治療前や治療中には行ってはいけないといルールがあります。
もし初診時に患者さんが被せ物が取れてしまっい来院された時、最初の段階でその被せ物の治療を行ったらその後には歯周病の治療はできません。
ということです。
被せ物は歯周病の治療後でないとできないということです。
もちろん、治療の基本的な考え方として歯肉の状態が良くなってから被せ物の型を取った方が良いこともあります。
しかし、歯周病の治療が終了するまでずーと仮歯のままでは都合が良くないこともあります。
(噛み合わせの安定の点からも…)
もちろんこうしたことは患者様の歯周病の状態やご希望(まず被せ物をきちんと入れたい、その後時間があれば歯周病の治療も考えたいが、現時点では被せ物を作る時間しかない)等により全く違います。
しかし、保険上からは歯周病治療の進め方は一つしかありません。
またこうしたことは暗黙の了解があり、ルールとして記載されているわけではありません。
これがまたやっかいなことです。
歯科医師が『こんなルールでは歯周病の治療はできない!』と保険機構に文句を言っても、『絶対にできないなんて書いてない』と言います。
確かに100%このルールに従わなければいけないとは明記されていませんが、現実の話、そうなっているのです。
またこれは『県』によって違います。
私は『神奈川県』で開業していますので、上記は『神奈川県ルール』になります。
住んでいる『県』により患者様は治療を受けられる内容が違うということです。
私は2006年に現在の大船(神奈川県)に移転しましたが、その前は東京で開業しておりました。
ちなみに東京では先程のようなルールは基本的にありません。
この差は保険を審査する人により違うのです。
警察でいうと
『神奈川県警』と『警視庁』では違うということです。
うちでは駐車違反はこんなふうに取り締まっているが、他ではこんなように取り締まっている
という感じです。
そのため歯周病の専門医といわれる先生や歯周病に重点をおいて診療している先生は保険診療では行っていない人が多いのです。

歯周病の保険ルールでは治療ができないというよりは非常にやりにくいのです。

また保険診療にて歯周病はあまり重要視されていないので、保険診療費にも問題があります。
このテーマで書いていました『根管治療』と同様に世界的にみて非常に低い評価しかありません。
これでは歯周病の治療が一般的に広がっていかないはずです。
当医院に来院する患者様の多くは歯周病の検査と説明を行うと今までこんな検査や話を受けたことがないとびっくりされています。
どうしてもっと早く検査をしてくれなかったのか?
等疑問をもつ患者様も多くいらしゃいます。
これは先程書きましたように保険診療では歯周病の治療は行いにくい現状があるからです。

長くなってしまいましたが、今日はこれで終了です。
インプラントや歯周病の情報だけでなく、こうした歯科裏情報もおもし
ろいものです。
また明日もこの続きです。

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