2016年6月23日 インプラント症例ブログ

2016年6月23日(木曜日)です。
このブログは「大船駅北口歯科 インプラント症例専門サイト」です。
昨日も毎月行なっている大学での講演が終わりました。
しかし、また来月の講演資料作りが始まりますので、
一息もつけません。
ちょっと一息つきたいものですが…
始めに院長不在案内です。
7月2日(土)
7月3日(日)は学術セミナー参加のため、院長のみ不在となります。
私以外の3名の先生は在籍しています。
ご不自由をおかけしますが、よろしくお願い致します。
本日ご紹介するケースも
多くの問題を抱えている症例です。
初診のレントゲンから見てみましょう!
スライド01
まず問題点を順番に説明します。
上顎右側の奥歯が欠損しています。
前歯の右側は折れており、歯の根のみが残っている状態です。
上顎の前歯部はグラグラで指で触っても取れそうな状態です。
下顎前歯部もグラグラです。
下顎左側の奥歯もグラグラの歯が存在していますし、
折れている歯も存在します。
これでは、食事も十分できない状態です。
歯周病が進行していることもあり、
多くの部位で 歯肉が腫れ、出血も認められます。
重度歯周病であり、典型的な総入れ歯に向かっている状態と言えます。
スライド02
こうした症例は、本当に大変な治療となります。
歯周病の治療、
歯が欠損している部位の治療

口腔内全体の治療を行わないと治りません。
このまま治療を行わないと この患者様は、確実に総入れ歯の道に進みます。
それでは、骨吸収の状態を見てみましょう!
いつものように 骨吸収の状態を分かりやすくするために
骨吸収の状態を線で書いたのが以下のレントゲンになります。
青線が骨吸収を起こすの骨の位置です。
赤線は、現在の骨の位置です。
かなりの骨吸収が起こっているのが分かるかと思います。
スライド03
さらに わかりやすくするために、
骨吸収部位を赤色で表示します。
スライド04
歯周病により骨吸収が高度に起こっているのが分かるかと思います。
歯周病専門医でなければ、多くの歯を抜歯と言われてもおかしくない状態です。
まず、治療方針を考える上で 抜歯となる歯の説明を行うことが必要です。
以下の4歯は保存が不可能 もしくは、将来性があまりにも低いため、
抜歯と診断しました。
スライド06
さて、現在の口腔内の状況について説明します。
まず、進行した重度歯周病 です。
歯周病により骨吸収が起こっていることと
上顎右側の奥歯が欠損しているために、
残っている前歯に負担が加わっています。
歯が前歯部がグラグラしているのは、歯周病と噛み合わせの問題が両方起こっているからです。
そのため、単に歯周病の治療を行っただけでは、
前歯を治すことは不可能です。
スライド07
大まかな治療方針として、
1.徹底した歯周病治療!
2.奥歯できちんと噛めるようにする!
ということになります。
スライド08
現時点で徹底した治療を行わないと
将来的には ほとんどの歯を失うことになってしまいます。
具体的な治療方針ですが、
患者様は、欠損している(抜歯した後)部位に対しては、
義歯(入れ歯)は希望されませんでした。
インプラント治療をご希望されていました。
スライド09
しかし、上顎に関しては 骨吸収があまりにも大きいため、
現状ではインプラント治療は困難な状態でした。
スライド10
次に
上顎右側の奥歯にインプラント治療が困難な理由について解説します。
以下のレントゲンの緑線は上顎洞という空洞です。
骨ではなく、穴が開いているのです。
いつもこのブログをご覧になっている方はもうすでにご存知のことと思います。
スライド11
骨吸収が起こっていることと上顎洞 の存在により、
インプラント治療が難しくなっているのです。
上顎洞をさらに分かりやすくするために
上顎洞緑色で塗りつぶしたのが以下のレントゲンです。
スライド12
インプラントを埋め込むための骨の高さがほとんどありません。
スライド13
現状ではインプラント治療は不可能となります。
スライド14
こうした場合には、サイナスリフト法(上顎洞底挙上術) という治療法を行います。
このサイナスリフト法(上顎洞底挙上術) は、
上顎洞内部に骨の移植を行うのですが、これが結構大変な治療になります。
私自身もこの方法しかない場合には、サイナスリフト法(上顎洞底挙上術) を行うこともありますが、できれば避けたい治療法なのです。
その最大の理由が 治療後の腫れが非常に大きく起こるからです。
ただし、骨吸収の大きい現状のままでインプラント治療は不可能です。
そこで、比較的負担の少ないソケットリフト法 という方法を併用してインプラント治療を行うことを選択しました。
ここでソケットリフト法 の術式を簡単に説明します。
ソケットリフト法の術式
先にも説明しました上顎洞は、硬い骨ではありません。
分かりやすく説明すると
少し硬い布が垂れ下がっている状態
と思って下さい。
しかし、この布は破れやすいのです。
それではソケットリフト法 の具体的な治療方法について解説します。
骨の高さが少ない状態で 無理に長いインプラントを埋入しようとすると
上顎洞を突き破ってしまいます。
そして、上顎洞が破れてしまいます。
p_img_04
そこで、以下のように治療を行います。
図1:
上顎洞の手前 1ミリまで骨に穴を開けます。
この1ミリ手前までというのが重要なポイントです。
図2:
開けた穴に 人工骨 を入れます。
人工骨の種類については今回省略しますが、
当医院で使用しているのはβーTCPという完全な人工で精製された骨です。
安全性が非常に高い材質です。
この人工骨を穴に入れた状態で、下から(穴を開けた骨の入口から)
棒状のオステオトームと言われる器具でたたきます。
この時 患者様には、コンコン とたたかれている感じがあります。
人工骨(βーTCP)を入れてたたき、
上顎洞の中に人工骨(βーTCP)を入れていきます。
この作業を何回か繰り返します。
そうすると上顎洞の中に少しずつ人工骨(βーTCP)が入り込みます。
図3:
結果的にインプラントを埋入するための骨の高さが確保されます。
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ここまでがソケットリフト法 の術式です。
スライド15
また、上顎右側の一番奥の部分は、ソケットリフト法でも対応が無理でしたので、
カンチレバー という治療方法で対応することにしました。
最終的な治療方針は以下のようになります。
1.保存不可能な歯の抜歯!
2.徹底した歯周病治療!
3.インプラント治療による噛み合わせの改善!
ソケットリフト法
GBR法(骨増大法)
カンチレバー
4.動揺の強い上顎前歯部は、連結した被せ物で固定を行う!
以下が治療終了後です。
スライド18
歯周病、噛み合わせ
等 多くの問題を抱えている症例の場合、
単に欠損部にインプラント治療を行っただけでは問題は解決しません。
口腔内全体を考えて治療を行うことが重要なのです。
今回使用したインプラントは全てストローマンインプラント(ITIインプラント) です。
治療費
上記の症例をインプラントモニターで行った場合の治療費は以下になります。
インプラント   1本  160.000円(消費税別)
被せ物(白い歯) 1歯分 100.000円(消費税別)〜 になります。
治療費をさらに抑える方法として 被せ物を金属製にする方法があります。
金属製の被せ物は、 1歯分 90.000円(消費税別)になります。
インプラントの土台(アバットメント)は、1装置54.000円(消費税別)になります。
インプラントモニターの詳細は、以下をご覧下さい。
インプラントモニターは期間限定で行なっている制度です。
モニター終了後は通常料金となりますので、
ご希望される方は、お早めに受けられて下さい。
治療費は現時点での費用であり、今後変更になる可能性があります。
当医院のインプラント治療費用の中には、
治療中のレントゲン撮影や薬代、
治療経過のレントゲン撮影、
セラミック等の被せ物の費用、
スプリッティング法(リッジエクスパンジョン法)
OAM(大口式)インプラントシステム
GBR法(骨増大法:インプラント埋入と同時の場合)
ソケットリフト法 の費用が含まれています。
このブログが始まって以来 毎週木曜日にアップしていましたが、
現在 毎週 大学病院で外来診療と講義を行うことになったため、
ブログの更新が不規則になると思います。
毎週ご覧になっていただいている方も多くいらっしゃるかと思いますが、ご理解いただければと思います。
できるかぎり毎週木曜日にアップしたいと考えております。
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