インプラントの構造:その2
今日も昨日から始まったインプラントの構造についての2回目になります。
昨日はインプラントの構造は大きく分て
インプラント本体(フィクスチャー)
アバットメント: 被せ物の歯を付ける『土台』のことです。
上鵜構造『補綴物(ほてつぶつ)』とも言います。: 被せ物のことです
の3つに分かれることを解説しました。
今日はその中のインプラント本体(フィクスチャー)についてです。
今日の話はちょっと長くなりますが、ご興味のある方はどうぞ!
インプラント本体(フィクスチャー)は
さらに
インプラントの材質、インプラントの形態、インプラントの表面性状
の3つに分けられます。
今日はインプラントの材質と形態についてです。
1 インプラントの材質:
まず、インプラント本体の素材は純チタンでできています。
これは現在使用されているインプラントメーカーのほとんどが採用してい
る素材です。
その理由として生体内で安定し、骨と結合する最も優れた材質だからです。
そして純チタンインプラントは腐食したり、それ自体の寿命(耐久年数)
はありません。
現在、純チタンインプラントを製造、開発しているメーカーは世界中で
約200社あります
当医院で主に使用しているインプラントは スイス製、ストローマン社の
『I.T.Iインプラント』です。
この『I.T.Iインプラント』の材質は、全て純チタン
(グレード4:ISO 規格5832/2)です。
以前はチタン以外に『人工サファイヤ』等がありましたが、これらは骨と
結合(くっつく)しないため、現在ではまったく使用されていません。
2 インプラントの形態:
インプラント本体の形です。
なぜ 形の話?
それには歴史的に理由があるからです。
インプラント本体の形はどんどんと変化してきました。
インプラントが初めて誕生した頃の形態はすでに存在しません。
現在のインプラントの形態は『歯根型』になります。
つまり、天然歯の根と同じような形態です(支柱のような棒状型)。
それでは以前のインプラントの形態はどのようなものだったのでしょう?
インプラントの初期にはさまざまな形態がありました。
その一つとして『プレート型インプラント』がありました。
『歯根型』はボールペンのように“棒状”ですが、
『プレート型』はその名のとおり、『かまぼこの板』のようなものです。
そのため、『歯根型』と比較すると結構大きなものになります。
大きさ(長さ)は2センチ程度から5〜8センチくらいになるものもあり
ました。
ちなみに現在の『歯根型インプラント』は直径が4〜5ミリ程度ですので、
以前の『プレート型』がいかに大きいものだったかわかると思います。
こんな大きな『プレート型』を骨に埋め込むのですからさぞかし、大変だ
ったと思われます。
(もちろん私はプレート型を使用したことがないので…)
歴史的なことはこれくらいにしましょう。
現在のインプラントの形態は先程書きましたように『歯根型』になります。
そして同じ『歯根型』でも各メーカーによりその形は若干異なります。
まず、ほとんどのインプラントメーカーが採用している形態が
『スクリュータイプ』です。
簡単に説明すると『ネジ』です。
治療する側にとっては手術時のインプラントの安定性が適格にわか
るため非常に使いやすいタイプです。
次に『シリンダータイプ』です。
現在一部のインプラントに採用されているのみです。
簡単に説明すると『筒型』です。
治療術式は簡単ですが、1回法には適していなく、2回法で手術後の
安定が保てる場合に適しているタイプです。
後日説明する『ハイドロキシアパタイト インプラント』でわりと多く使
用されているタイプです。
『ハイドロキシアパタイト インプラント』はハイドロキシアパタイトと
いう粒子(粉?)をコーティング(まぶす)して作製しています。
そのため、ネジのように回転力をかけてねじ込むと剥がれてしまうことも
あります。
そのような場合にはネジタイプではなく、シリンダータイプが良いとされ
ています。
また、“ ネジ ”タイプが主流となっている理由の一つとして骨の中に
『筒型』を入れるよりも『ネジ型』で回転量をかけた方が骨との安定が良
いということです。
次に『テーパータイプ』です。
簡単に言えば歯の根と同様の形をしているタイプです。
この天然歯と同じ形態であることが大きなポイントになります。
先程の『シリンダータイプ』は空き缶のように上から下まで同じ太さの
筒になっていますが、『テーパータイプ』は先端が細くなっています。
逆に言えば、上の部分が太くなっているとも言えます。
このような『テーパータイプ』ですが、
当医院で使用しているI.T.Iインプラント(ストローマン)では、
『 I.T.I TE インプラント 』という名称で2003年に商品化されてい
ます。
また話は長く難しくなりますが、この『 I.T.I TE インプラント 』の
臨床背景と理論的根拠についてお話しします。
歯がなくなると(抜歯すると)、歯を支えていた周囲の骨はどんどんと吸収
(溶けて)してしまいます。
そのため、抜歯後にインプラントを行おうと思っても、骨の吸収のため、
インプラント手術が確実に行えない状態になっていました。
つまり、今までの考え方では抜歯してからインプラントを埋入するまでに
は2〜6ヶ月待つ必要性があったからです。
もちろん患者様にとって待つということはその期間は歯がないということ
です。
そうした抜歯後の骨の吸収による問題と治療期間の短縮という観点から
インプラント埋入のための新しい考え方ができたのです。
それが、『抜歯即時インプラント』です。
しかし、抜歯即時インプラントには欠点がありました。
以下のような問題点です。
抜歯と同時にインプラントを行う場合、抜歯部の穴の大きさとインプラン
トの太さ(幅)には違いが生じてしまいます。
通常抜歯部のほうが幅が大きいので、インプラントの周囲には隙間
(ギャップ)ができてしまいます。
この隙間を埋めるためにGBR法という特殊な方法が用いられてきました。
(詳細は「骨再生法(GBR法)」を参照)
この治療法を用いるとインプラントと骨との隙間に骨を再生させることが
可能になります。
しかし、インプラントとの隙間が大きかったり、インプラントの初期安定
性が得られない場合には適応しづらいこともありました。
またGBR法は技術的に難しいことも多いため、抜歯と同時のインプラン
ト埋入には限界がありました。
こうした問題を解決すべく、開発されたのが、
先程の『 I.T.I TE TMインプラント 』です。
この新しいインプラントは抜歯した部位への使用を目的として開発された
もので、抜歯部との隙間を最小にすべく、テーパー上の形態になっている
ことと、骨との安定をよくするためピッチ(ねじ山の間隔)が狭められて
います。
この続きは こちらを参考にして下さい。
『テーパータイプ』は初期固定性と審美的な効果が得られる新しいタイプ
のインプラントです。
インプラントの形態としては今後、『ネジ型』で、『テーパータイプ』が
主流となってきます。
今日はこれで終わりです。
ちょっと長く、難しい話でしたが、明日もこの続き(インプラントの表面性状)になります。
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大船駅北口歯科インプラントセンターインプラント 歯周病 専門医
神奈川県横浜市にある日本歯周病学会歯周病専門医 国際インプラント学会認定医の歯科医院
I.T.Iインプラント認定医でもあり、GBR法、サイナスリフト、審美インプラント等の難症例も行います。
HPでは治療費(費用)の説明やインプラント症例、無料相談コーナーもあります。