インプラント症例:57回目
7/5(月曜日)です。
このインプラント症例ブログは毎週 月曜日と木曜日にアップしています。
『57回目のインプラント症例』になります。
本日の症例のテーマは、
「最小限の範囲の治療とは?」と
「治療期間中の仮歯」
についてです。
患者様は、当医院に来院されるまで 治療を行っても次々に歯がダメになり、
気がついたら 上顎はほとんど歯がない状態でした。
初診時には、上顎に残っている歯は5歯のみでした。
しかも その5歯のうち1歯はすでにグラグラで 他の歯も状態としては良くありませんでした。
そのため、前歯科医院では、抜歯をし義歯(入れ歯)を作製するしか方法はないことの説明を受けたそうです。
しかし、患者様は
「どうしても入れ歯は避けたい!」
との強いご希望がありました。
しかし、欠損部位が多いこともあり、治療費の問題も大きくありました。
また、骨吸収が非常に大きく(詳細は後で解説)、治療自体も難易度が高い症例でした。
それでは初診時のレントゲンから見てみましょう。
上顎は5歯のみが残っているだけです。
下顎も左右の奥歯はすでに欠損しており、残っているのは下顎の前歯の6歯のみでした。
現在は、下顎の左右は義歯(入れ歯)を使用しています。
しかし、違和感も強く、今後上顎がダメになると 上顎も大きな入れ歯になることを考えると
とても耐えがたい状態であると考えて当医院を受診されたのです。
患者様は、始めからインプラント治療をご希望されていました。
ここで考えなければいけないことがあります。
この患者様がなぜ歯がダメになったのか?
ということです。
歯がダメになった原因をつきとめないと 適切な治療計画を立てることはできません。
まず、歯周病検査 を行いました。
その結果は、歯周病 には まったく問題がない状態でした。
歯周病でないとすると 歯がダメになった理由として考えられることとして
1.虫歯、
2.神経がない歯が歯根破折 を起こした。
3.噛み合わせ
が考えられます。
もう一度初診時のレントゲンに戻りましょう!
神経のない歯が多いのです。
上顎前歯部の1歯を除いて 他は全て神経がない歯でした。
また、噛み合わせの状態を確認したところ 噛み合わせが非常に強いことが考えられました。
噛み合わせの問題とは、歯ぎしり や くりしばり のことです。
神経のない歯が多く、さらに噛み合わせの問題 があると歯は折れる確立が高くなります。
歯根破折 です。
歯根破折 については、このブログで何回もご紹介してきました。
神経のない歯は 非常に脆いため、通常の噛む力でも折れてしまいます。
また、虫歯になっても冷たい、熱い等の症状がでないため、手遅れになりやすかったりします。
今までの歯根破折 症例については以下をご覧になって下さい。
1. 歯根破折症例:1
2. 歯根破折症例:2
3. 歯根破折症例:3
4. 歯根破折症例:4
5. 歯根破折症例:5
6. 歯根破折症例:6
7. 歯根破折症例:7
8. 歯根破折症例:8
9. 歯根破折症例:9
10. 歯根破折症例:10
11. 歯根破折症例:11
12. 歯根破折症例:12
こうした噛み合わせ や 神経がない歯が多いことを 十分に考慮して 治療計画を立てることが重要なのです。
問題はさらにありました。
骨吸収です。
いつものように 骨吸収の状態を分かりやすくするために
骨吸収の状態を線で書いたのが以下のレントゲンになります。
青線が骨吸収を起こす前の骨の位置です。
赤線は、現在の骨の位置です。
さらに分かりやすくするために 骨吸収部位を赤色の領域で表しします。
上顎の奥歯では骨吸収がかなり大きいことが分かるかと思います。
さらに上顎では、上顎洞 の存在が問題となっていました。
緑線は上顎洞という空洞です。
骨ではなく、穴が開いているのです。
いつもこのブログをご覧になっている方はもうすでにご存知のことと思います。
上顎洞の詳細は、以下を参考にして下さい。
上顎洞
これも さらに分かりやすくするために、上顎洞 緑色で表示します。
上顎の奥歯では、骨吸収が起こっていることと 上顎洞の存在から 骨の高さがほとんどないことが分かります。
これが、後で解説する治療計画を大きく悩ますことになります。
神経がない歯が多い!
骨吸収にも問題がある!
噛み合わせにも問題がある!
等さまざまな問題を抱えている症例です。
また、残っている歯自体にも大きな問題があります。
上顎左側の奥から2番目の歯は、現時点でグラグラで指で触ってもとれそうな状態でしたので、
抜歯と診断しました。
また、上顎左側の一番奥の歯も基本的には抜歯です。
しかし、この歯はとりあえず抜歯を行わずに 保存することにしました。
この理由として
1.患者様の抜歯をしたくないという強い希望があったこと
2.この後で解説する 治療期間中の固定式の仮歯を作製するために どうしても必要な歯であること
3.インプラント治療が完了した後でダメになっても その後の治療方針に大きな変更がないこと
等から状態は悪いがこの歯は残すことにしました。
また、インプラント治療を行うにあたり 患者様のご希望として、
『治療費を最小限に行いたい!』
との希望がありました。
理想的には欠損全てにインプラントを埋入し、完全に義歯(入れ歯)でない状態になりたい
との希望もありましたが、治療費が高額になってしまうこともあり、
最小限の治療範囲でとどめたい とのご希望がありました。
具体的には、
下顎はとりあえず義歯のまま!
上顎は、左側の奥歯は、歯がなくなると噛めないし、義歯は嫌なため、上顎左側のみにインプラント治療を行いたい!
上顎の右側は、治療費を削減することを考えて治療は行わない!
というご希望でした。
上記のようなことを考慮した結果、以下のような治療計画になりました。
上顎左側はインプラントによるブリッジ、
上顎右側は天然歯によるブリッジ(保険診療)
になりました。
インプラント治療については、骨吸収が大きく、上顎洞 の問題もあったため、
ソケットリフト法 と
カンチレバー
という方法で行うことにしました。
こうした方法を行うことで
治療の大変さを最小限にすること
治療費を最小限にすることが可能になります。
次に問題になったのが、治療期間中の仮歯です。
通常現状の状態を考えると治療期間中は入れ歯になることになります。
しかし、患者様は
「治療期間中も入れ歯は絶対嫌!」
ということでしたので、以下のような仮歯を作製しました。
上顎の残っている天然歯(黄色丸)を土台として、固定式のブリッジの仮歯を作製するのです。
この仮歯は、完全に固定式ですので、違和感もありません。
審美的にも問題はありません。
快適な状態でインプラント治療を進めることができるのです。
こうしたことを考慮し、上顎左側の一番奥の歯は抜歯しない計画になったのです。
しかし、欠点もあります。
仮歯の土台となっている歯の数が少ないので、仮歯を維持するための強度が不足します。
その結果、治療期間中に仮歯が壊れる確立が高くなるのです。
義歯(入れ歯)にするか?
固定式の仮歯にするか?
をそれそれの利点、欠点をお話した結果、患者様は固定式の仮歯を選択されました。
以下は、仮歯を使用した状態でインプラントを埋入した直後です。
以下は、治療が終了した後です。
上顎右側の天然歯のブリッジは、治療費を少しでも削減するために保険診療の範囲で行っています。
治療費というのは、費用 対 効果 が重要です。
現時点で最も重要なことは、患者様のご希望にもあるように
義歯(入れ歯)避けるための治療です。
このことを達成するためには、上顎の左側の欠損部は、インプラント治療しか方法はありません。
そのため、上顎左側に治療費をかけることは 費用 対 効果 が最も有効となるのです。
上顎右側の天然歯のブリッジは、その次に考えれば良いのです。
費用的に余裕があれば、上顎右側の天然歯のブリッジもセラミック等にすれば良いですが、
優先順位としては、まず上顎左側のインプラント治療です。
また、将来的には 上顎右側の奥にもインプラントを埋入すれば、さらに良いでしょう!
以下のレントゲンは、治療終了後に骨吸収と上顎洞の状態を表示したものです。
上顎左側の奥歯では、骨吸収が大きく非常に厳しい状態であったことが分かるかと思います。
本日のテーマは、
「最小限の範囲の治療とは?」と
「治療期間中の仮歯」
ということで解説してきました。
正しい治療方針とは、患者様自身によって大きく変わってくるのです。
治療費
インプラントモニターの場合、1本168.000円(消費税込)になります。
被せ物は、
白い被せ物で 1歯84.000円(消費税込)、
金属製で 1歯58.800円(消費税込)
になります。
当医院のインプラント治療費用の中には、
治療中のレントゲン撮影や薬代、
土台(アバットメント) の費用、
仮歯 の費用、
治療経過のレントゲン撮影、
セラミック等の被せ物の費用、
GBR法(骨増大法:インプラント埋入と同時の場合) 、
ソケットリフト法 の費用、
静脈内鎮静法(眠っている間に終了します) の費用も含まれています。
治療計画以上の追加費用はありません。
全て含まれた費用です。
次回のブログは7/8(木曜日)になります。
次回もまだまだ続く『インプラント症例』です。
さまざまケースを紹介しますので、きっと あなたと同じような症例があるはずです。
先週(7/2〜3)のインプラント手術報告
今週(昨日)のインプラント手術の中から、
難しいケース であったり、
特殊なケース 等を抜粋して、紹介するコーナーです。
先週は日曜日がお休みでしたので2日間では、1件のみのインプラント手術でした。
上顎前歯部にインプラントを埋入しました。
長い間欠損部を放置していたため、骨吸収が大きかった症例です。
詳細は、また後日紹介しますが、インプラントの左側にある歯は歯根破折 しています。
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現在、新規にインプラント症例集のページを作成しています。
さまざまなケースを見ていただくことにより、よりインプラント治療についてご理解していただきたいと思います。
そのため、症例を公開しても大丈夫という方(インプラントモニター)を募集しています。
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