最新インプラント症例:220回目

2014年 8月21日(木曜日)です。
このブログはインプラント症例を紹介するブログです。
『220回目のインプラント症例』になります。
前々回のブログ では、上顎の奥歯では 骨吸収 と 上顎洞 の存在のため、
長いインプラントが埋め込むことでできないために、ソケットリフト法 を併用してインプラントを行ったケースを報告しました。
ただし、ソケットリフト法 はどのような骨吸収が大きい症例でも対応できるわけではありません。
骨吸収があまりにも大きい場合には、インプラント自体が埋め込めないため、骨移植を伴うサイナスリフト法(上顎洞底挙上術) を行うことがあります。
サイナスリフト法(上顎洞底挙上術) は、骨吸収が非常に大きく、
残っている骨の量が少なくても
インプラントを行える治療法の一つです。
当医院でも行っています。
しかし、私自身は、骨移植を伴うサイナスリフト法(上顎洞底挙上術) は治療に対する患者様の負担が大きいことから できるかぎり避けたいと考えています。
もちろん他に治療方法がない場合には、サイナスリフト法(上顎洞底挙上術) を行うこともありますが、
他に対応方法があれば、できるかぎり他の治療法を行いたいと考えています。
本日の症例は 以前にも紹介したケースですが、
上顎の奥歯に骨吸収が大きかったため、インプラントの傾斜埋入という治療方法で対応しました。
それでは早速始めましょう!
10年以上前に行った症例です。
以下は初診時のレントゲン写真です。
スライド01
患者様は、上顎の左右奥歯と下顎右側の奥歯がないため、食事ができないとのことで来院されました。
義歯は使用していましたが、違和感が強くほとんど食事ができない状態でした。
なんとか義歯ではない方法はないかと思い、当医院を来院された方です。
10年以上前は、現在よりインプラント治療が普及していない時期でした。
患者様が知り得る情報も限られていました。
そのため、ご紹介を受けて来院された方です。
歯はない部分は多数存在していました。
上顎右側の奥歯は 5歯欠損、
上顎左側の奥歯は 4歯欠損、
下顎の右側奥歯は 3歯欠損
でした。
スライド02
患者様は、初診時からすでにインプラント治療を行いたいとの強いご希望がありました。
そこで診査を行いましたが、さまざまな問題がありました。
一番大きな問題は、上顎の奥歯の骨吸収です。
いつものように 骨吸収の状態を分かりやすくするために
骨吸収の状態を線で書いたのが以下のレントゲンになります。
青線が骨吸収を起こす前の骨の位置です。
赤線は、現在の骨の位置です。
骨がかなり吸収しているのが分かるかと思います。
いつもこのブログを見られている方には、だいぶなれた骨吸収の線だと思います。
始めてこのブログを見られている方は、是非この骨吸収の線を覚えて下さい。
当医院にインプラント治療をご希望されて来院される方で
骨吸収がある患者様には、インプラント治療計画時に
今回の症例と同じように骨吸収の線を書いたインプラントシュミレーション計画をお渡ししています。
当医院に来院される患者様の多くは、このブログを見られているようですので、
このブログを十分にご理解されると
患者様それぞれに合わせた治療計画書をお渡しする際にさらに分かりやすくなると思います。
それでは、骨吸収の線を書いたレントゲンになります。
スライド03
もっと分かりやすくするために、骨が吸収した領域を赤色で表記します。
スライド04
骨吸収が非常に進行しているのが分かります。
さらに問題となったのが、上顎洞です。
以下のレントゲンの緑線は上顎洞という空洞です。
緑線の上方は、骨ではなく、穴が開いているのです。
いつもこのブログをご覧になっている方はもうすでにご存知のことと思います。
上顎洞の詳細は、以下を参考にして下さい。
上顎洞
スライド05
上顎洞をもっと分かりやすくするために 上顎洞という空洞を緑色の領域で表してみましょう。
緑色の領域の部分は、全て空洞です。
骨吸収と空洞をみると奥歯には、ほとんど骨が存在していないのが分かるかと思います。
スライド07
部位別に残っている骨の高さを見てみましょう!
スライド08
奥歯は本当に骨吸収がひどく、インプラント治療が難しそうですね。
インプラントは骨の中にネジ(インプラント)を埋め込む治療です。
骨がなければ、インプラントを埋め込むことすらできません。
もし、この状態でインプラントを埋入すると以下のようになってしまいます。
スライド09
奥歯では、非常に短いインプラントになってしまいます。
現実問題として このような短いインプラントは存在しませんし、
もし、存在していたとしても これでは当然のことながらダメになってしまいます。
それでは、どうすればインプラントを埋入できるのでしょう?
一般的には、上顎洞という空洞の中に 骨の移植を行います。
本日の最初に説明をしました上顎洞に 骨の移植を行う治療をサイナスリフト法(上顎底挙上術) です。
スライド10
ただし、この治療法はかなり大変な治療になってしまいます。
患者様には、骨吸収が大きいため、骨の移植手術を伴うサイナスリフト法(上顎底挙上術) が必要なことをお話しました。
しかし、患者様は
『大変な治療は行いたくない!』とのご希望がありました。
そこで以下のようなプラン(治療計画)を立てました。
スライド11
ソケットリフト法
インプラントの傾斜埋入
という治療を駆使してインプラントを埋入する方法です。
スライド12
ソケットリフト法 は適応症はありますが、比較的患者様の負担が少ない治療法です。
上顎の奥歯で骨吸収があり、骨の高さが少ない場合には頻繁に使用される治療法です。
また、それでもインプラントが埋入できない部分には、無理にインプラントを埋入せずに
奥の骨が少しでも残っている部分にインプラントを斜めに埋入することにしました。
奥の骨が残っている部分は、親知らずがあった場所です。
この場所は比較的 骨が残っていることが多く、私自身 良く利用する場所です。
親知らず部分にインプラントを斜めに埋入(インプラントの傾斜埋入 )することで 可能となる治療方法です。
患者様もこの治療計画に同意していただけました。
そこでインプラントの診査になります。
以下はその診査の一つです。
インプラントを埋入する位置の確認です。
スライド13
そして インプラントの埋入に移ります。
まず最初に右側にインプラントを4本埋入しました。
ソケットリフト法 インプラントの傾斜埋入 を行ってです。
スライド14
次に左側にもインプラントを4本埋入します。
スライド15
さて次に考えなければいけないのが、下顎右側の欠損です。
下顎右側には2本のインプラントを埋入し3歯分を作製するインプラントブリッジの治療計画を立てました。
以下のようなプランです。
スライド16
以下が下顎右側にインプラントを埋入した直後です。
スライド17
インプラントと骨が結合(くっつく)まで待ちます。
上顎で約3〜4ヶ月、
下顎で約2〜3ヶ月
です。
その後、仮歯を作製します。
スライド18
この時点で下顎左側の奥歯が腫れてきました。
スライド19
初診時にすでにこの部分は、抜歯が必要なことをお話してあったため、この後抜歯となりました。
スライド20
抜歯後には以下のような治療計画になりました。
スライド21
ただし、抜歯した部位にインプラントを埋入するためには、抜歯部が治ってからの方が良いため、
まず1本のみを先に埋入し、抜歯部へのインプラント埋入は その後 行うことにしました。
スライド22
以下がインプラントの被せ物を行った後のレントゲンです。
スライド23
今後は、下顎左側の奥歯にインプラントを1本追加して終了です。
スライド24
治療費
上記の症例をインプラントモニターで行った場合の治療費は以下になります。
インプラント   1本  160.000円(消費税別)
被せ物(白い歯) 1歯  100.000円(消費税別)〜 になります。
治療費をさらに抑える方法として 被せ物を金属製にする方法があります。
金属製の被せ物は、1歯 70.000円(消費税別)になります。
当医院のインプラント治療費用の中には、
治療中のレントゲン撮影や薬代、
土台(アバットメント) の費用、
仮歯 の費用、
治療経過のレントゲン撮影、
セラミック等の被せ物の費用、
スプリッティング法(リッジエクスパンジョン法)
OAM(大口式)インプラントシステム
GBR法(骨増大法:インプラント埋入と同時の場合)
ソケットリフト法 の費用、
静脈内鎮静法(眠っている間に終了します) の費用も含まれています。
治療計画以上の追加費用はありません。
全て含まれた費用です。
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今回のモニター募集は、できるかぎり多くの症例を掲載したいと思っているため、1歯欠損も募集しています。
何歯欠損でも大丈夫ですので、ご希望がございましたらご連絡下さい。
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そこで、静脈内鎮静法 による麻酔をもっと多くの方にご利用していただくために 今まで3万円かかっていた費用を無料にしました。
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