最新インプラント症例114回目
9/15(木曜日)です。
始めに休診のお知らせです。
• 9/18(日)はインプラント学会のため休診となります。
• 9/24(土)は歯周病学会のため休診となります。
*前日の23日も祝日のため、代わりに9/23(木)は診療となります。
この最新インプラント症例ブログは毎週木曜日にアップしています。
『114回目のインプラント症例』になります。
本日は2症例アップします。
本日の症例のポイントとなるキーワードは
1.徹底した歯周病治療
2.現在できる最小限のインプラント治療
です。
当医院を受診される患者様の多くは、重度歯周病の方です。
これは私自身が日本歯周病学会の 歯周病専門医 ということもあるためですが、
重度歯周病の場合、治療計画が非常に複雑になります。
その理由の一つとして、
重度歯周病の場合、歯を支えている骨が吸収 していることが多く、
いくら歯周病治療 を行っても骨吸収が100%治り、
元の状態に回復するわけではありません。
そのため、治療後10年、20年という長期的なことを考えると
やはり重度歯周病の場合には将来的な不安が大きいのです。
重度歯周病が本当に治るのか?
という話しについては以下を参考にして下さい。
歯周病は治るのか?
理想的には将来性の低い歯については、
抜歯を行いインプラント治療を行った方がより良い場合あります。
しかし、全ての欠損部にインプラント治療を行うことは治療費も高額になり、
治療自体も大変になります。
また、重度歯周病の方の場合には骨が吸収 していることが多く、
抜歯後にインプラント治療を行うことが難しいケースも多く存在します。
治療計画とは、1つのプランしかないのではなく、
口腔内の状態や
患者様のご希望、
将来性、
治療費
等を考慮して立てることが重要です。
始めに本日の症例のキーワードを
1.徹底した歯周病治療
2.現在できる最小限のインプラント治療
と説明しましたが、以下の2症例とも
患者様のご希望等をふまえて 現在行える範囲で最も効果的な治療を行ったケースです。
それでは1症例目から見てみましょう!
以下は初診時です。
下顎の左右の奥歯 と 下顎前歯部が欠損しており、
歯肉は大きく腫れ、出血があり、グラグラしている歯も非常に多い状態でした。
歯周病検査 の結果、重度歯周病でした。
骨吸収 も大きく起こっていました。
それでは骨吸収の状態を見てみましょう!
いつものように 骨吸収の状態を分かりやすくするために
骨吸収の状態を線で書いたのが以下のレントゲンになります。
青線が骨吸収を起こす前の骨の位置です。
赤線は、現在の骨の位置です。
かなりの骨吸収が起こっているのが分かるかと思います。
さらに わかりやすくするために、
骨吸収部位を赤色で表示します。
骨吸収が著しく起こっているのが分かるかと思います。
将来性が低い歯は、以下の赤丸 :●印です。
もし、これらの将来性の低い歯を抜歯すると欠損部はさらに多くなります。
もし、上記のように将来性の低い歯を抜歯して
欠損部にインプラント治療を行った場合には、以下のような治療計画となります。
確かにこの治療計画であれば、将来的な不安は少なくなります。
しかし、患者様にとっても少しでもご自身の歯は長く維持していきたいものです。
抜歯したくないのは当然のことです。
それではどうしたら良いのでしょうか?
下顎の歯がグラグラしている理由として
1.骨吸収が起こっている(歯周病のため)
2.奥歯が欠損しているために 前歯に負担が加わっている
そのため、まず残っている歯の歯周病の進行を止めるために
徹底した歯周病治療 が必要です。
また、欠損部をきちんと治すことも重要です。
最終的な治療計画は以下のようになりました。
まず、徹底した 歯周病治療 です。
その後
下顎左側の欠損部はインプラント治療を行い、
下顎右側はブリッジ(保険ブリッジ)で対応することにしました。
こうした治療プランには当然のことながら患者様の治療費に対するご希望もあります。
以下が治療終了後です。
下顎左側の奥歯の欠損部にインプラント治療を行うことにより
他の歯への噛む力の負担が少なくなります。
もし、下顎左側にインプラント治療を行わなかった場合には、
残っている歯を支えている骨が少なくなっているため、
どうしても残っている歯の将来性は低くなってしまいます。
最小限で最大の効果を得ることができた症例と言えます。
さて2症例目になります。
次のケースも重度歯周病の患者様です。
左右の奥歯が欠損しており、上顎の前歯がグラグラの方です。
他歯科医院で上顎前歯部は抜歯しか治療法はないと診断されたため、
歯周病専門医 である当医院を受診されました。
奥歯が欠損しているために、前歯に負担が加わり、
上顎前歯部が動揺(グラグラ)しているのです。
こうした歯周病の場合には、単に歯周病治療 を行っただけでは
上顎前歯部を助けることはできません。
奥歯がきちんと噛めるようにすることが大切です。
先程の症例と同様に骨吸収の状態を分かりやすくするために
骨吸収の状態を線で書いたのが以下のレントゲンになります。
青線が骨吸収を起こす前の骨の位置です。
赤線は、現在の骨の位置です。
かなりの骨吸収が起こっているのが分かるかと思います。
当然のことながら治療計画として
1.徹底した歯周病治療
2.欠損部のきちんと治す
ことが必要です。
そのためには、理想的には欠損部は全てインプラント治療を行うことです。
以下のようにです。
しかし、上顎右側の奥歯(欠損部)には大きな問題がありました。
上顎洞の存在です。
緑線の上方は上顎洞という空洞です。
空洞なのです。
骨ではなく、穴が開いているのです。
いつもこのブログをご覧になっている方はもうすでにご存知のことと思います。
上顎洞の詳細は、以下を参考にして下さい。
上顎洞
このように上顎の奥歯において
骨吸収が大きく、上顎洞の問題がある場合には、インプラントを埋め込むことが非常に困難なケースがあります。
このような場合には、この上顎洞内部に骨の移植を行います。
この治療はかなり大変です。
骨の移植ですから…
サイナスリフト法(上顎洞底挙上術) という治療法が必要なのです。
患者様にも上顎右側の奥歯の欠損部については、インプラント治療を行う場合にはサイナスリフト法(上顎洞底挙上術) が必要であることを説明しました。
しかし、患者様は
1.大変な治療は避けたい!
2.可能なかぎり治療費を最小限に抑えたい!
ということでしたので 上顎右側の奥歯にインプラント治療を行うことは断念しました。
以下は、歯周病治療と下顎左側のインプラント治療が終了した後です。
以下のような治療を行ったのです。
1.徹底した歯周病治療を行った後で 上顎前歯部の動揺の強い歯は、
連結した被せ物(保険診療の範囲で治療可能:1歯 約5.000円)を行いました。
2.下顎左側の奥歯に2本のインプラント治療を行いました。
こうしたことにより 最低限の噛み合わせの安定を得ることができました。
本日ご紹介した2症例とも
最小限ではありますが、インプラント治療を行うことにより
残っている歯の将来性を高めることが可能となりました。
全ての欠損にインプラント治療を行わないとダメ ということではありません。
現在できる範囲でインプラント治療を行うことより、
残っている歯の将来性が高くなるのです。
また、こうしたインプラント治療の基礎には
きちんとした歯周病治療を行うことは最低限必要なことです。
治療費
上記の症例をインプラントモニターで行った場合の治療費は以下になります。
インプラント 1本 168.000円(消費税込)×1本
被せ物(白い歯) 1歯 105.000円(消費税込)×1歯分
1歯分の合計 273.000円(消費税込)
になります。
治療費をさらに抑える方法として 被せ物を金属製にする方法があります。
金属製の被せ物は、1歯 73.500円(消費税込)になりますので、
金属製の被せ物1歯分の合計 241.500円(消費税込)
になります。
今回使用したインプラントは全てストローマンインプラント(ITIインプラント) です。
当医院のインプラント治療費用の中には、
治療中のレントゲン撮影や薬代、
土台(アバットメント) の費用、
仮歯 の費用、
治療経過のレントゲン撮影、
セラミック等の被せ物の費用、
スプリッティング法(リッジエクスパンジョン法) 、
OAM(大口式)インプラントシステム 、
GBR法(骨増大法:インプラント埋入と同時の場合) 、
ソケットリフト法 の費用、
静脈内鎮静法(眠っている間に終了します) の費用も含まれています。
治療計画以上の追加費用はありません。
全て含まれた費用です。
次回のブログは9/22(木曜日)になります。
今後は毎週木曜日にアップします。
次回もまだまだ続く『インプラント症例』です。
さまざまケースを紹介しますので、きっと あなたと同じような症例があるはずです。
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