最新インプラント症例:101回目
4/28(木曜日)です。
この最新インプラント症例ブログは毎週木曜日にアップしています。
『101回目のインプラント症例』になります。
当医院は少し早くゴールデンウイークになります。
始めにゴールデンウィークの休診のお知らせです。
4/28(木)休診
4/29(金)休診
4/30(土)通常診療
5/ 1(日)通常診療
5/ 2(月)休診
5/ 3(火)休診
5/ 4(水)休診
5/ 5(木)休診
通院されている患者様の中で休診中になにかありましたら
下記までメールして下さい。
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本日の症例は以前にも解説した内容です。
当医院を受診される患者様の多くは、
歯周病治療 と インプラント治療 が混在している方です。
重度歯周病 の患者様の場合、
歯が欠損している部位が多かったり、
歯は欠損していないが 抜歯が必要であったりすることが多いことがあり
ほとんどの場合 欠損部が存在することになります。
歯が欠損していると
残っている歯にどうしても負担が加わってしまいます。
例えば、下顎の左側の奥歯が欠損していたとします。
左側では噛めないため、右側で噛むことになります。
右側で噛むと 当然のことながら 右側には負担が加わります。
この右側が健康な状態であれば まだ良いのですが、
重度歯周病 であると支えている骨が吸収しているため、
噛む力に耐えきれないのです。
結果的に右側も噛む力の負担でダメ(抜歯)になってしまいます。
右側と左側がダメになれば、
次には前歯もダメになります。
歯周病で多くの歯を失う典型的なパターンです。
この最初に歯を失った時点で 欠損部をきちんと 治療することが
今後を大きく左右するのです。
もちろん、歯周病治療 を徹底して行うことは重要ですが、
重度歯周病の場合、歯を支えている骨が少なくなっているため、
単に歯周病治療を行っただけでは、将来性が高い治療とはなりません。
きちんと欠損部を治療することが重要になってくるのです。
前置きが長くなってしまいましたが、本日ご紹介する症例は、
重度歯周病であり、
奥歯が欠損している患者様です。
現時点で 徹底した歯周病治療を行うことと
欠損部をきちんと治療することが 今後を大きく左右します。
患者様は、当医院に来院される前に 他歯科医院で重度歯周病のため 数本抜歯し、
グラグラしている上顎の歯は、連結したセラミックで固定する必要があるとの診断を受けたそうです。
また、欠損部位に対してはインプラント治療を行うことが必要との説明を受けたそうです。
患者様は、
1.抜歯の必要な歯が多いこと
2.上顎を全てセラミックで治療すると治療費が高額になること
3.治療方法の妥当性
を第三者に判断してもらいたいとのご希望があり、
セカンド オピニオン を希望され来院されました。
それでは、実際の症例を見ながら解説していきたいと思います。
以下が初診時のレントゲンです。
上顎の左側 奥から 3番目 と 4番目が欠損しており、下顎左側奥 2歯も欠損しています。
また、歯を支えている骨の吸収も起こっています。
(骨吸収の状態については後で詳細に解説します)
上顎の前歯部はグラグラ している状態でした。
上顎の右側の奥歯もグラグラ している状態でした。
当医院での歯周病検査 結果から
前医の治療計画のように 歯がない部分は、きちんと歯を作成し(インプラント治療 等で)、
上顎のグラグラしている歯は、被せ物で固定した方が良いことを患者様にお話しました。
この治療計画の理由については、以下の3枚のレントゲン写真の後で解説します。
いつものように 骨吸収の状態を分かりやすくするために 骨吸収の状態を線で書いたのが以下のレントゲンになります。
青線が骨吸収を起こす前の骨の位置です。
赤線は、現在の骨の位置です。
骨が吸収してしまったのが分かるかと思います。
上顎では、歯を支えている骨の量は
前歯部で50%程度(50%の骨は吸収している)、
上顎右側の奥歯で10〜40%(90〜60%の骨が吸収している)
でした。
少しでも分かりやすくするために 歯の長さを矢印であらわします。
支えている骨の量が少ないのが分かるかと思います。
診査の結果、上顎右側の1歯は抜歯と診断しました。
もちろん、可能なかぎり抜歯は避けたいところですが、
完全に治すことができない歯周病の状態の歯を そのままにしておくと
治らない歯から歯周病細菌は、他の歯へと感染 してしまいます。
これは、歯周病が感染症 だからです。
抜歯しないでそのままにしておくと 他の歯もダメになってしまいますのでどうしても抜歯が必要です。
また 感染が取除けないと 歯を支えている骨は どんどんと吸収してしまい、抜歯となった後の治療が難しくなってしまいます。
この1歯の抜歯については、患者様もご理解していただけました。
次に上顎の前歯部の治療方法です。
歯周病治療を行うと歯周病の進行は停止し、骨吸収の進行も停止させることが可能になります。
しかし、基本的には 吸収した骨は元には戻りませんので、歯のグラグラは改善しません。
骨の量が極端に少なくなっているため 噛む力には耐えきれず、ダメになってしまうことが考えられます。
そこで グラグラしている歯 と そうでない歯 を連結する治療法を行う必要性があります。
骨が吸収してしまった歯 と そうでない歯同士を つなぎ 連結することにより 安定が得られます。
こうした治療法を専門用語で“ スプリント治療 ”といいます。
また、先程抜歯と診断した 上顎の奥歯の欠損部を治療する方法もかねて
上顎の奥歯は、ブリッジによるスプリント治療と計画しました。
この点は、前医と同じ治療方法です。
ただし、前医はセラミックで治療を行うという方法であったため、治療費がどうしても高額になってしまいます。
セラミックは保険が適応されませんので、どうしても治療する歯の数が多いと治療費が高くなります。
保険でも上顎の前歯部は、白い被せ物が可能です。
治療費は1歯分で約7.000〜8.000円程度です。(保険3割負担の場合)
ただし、保険の被せ物の材質は限られています。
硬質レジンと言われる プラスチックの歯 しか認められていません。
プラスチックの歯は、どうしても変色を起こしてしまうため、審美的には良い材質とは言えません。
しかし、今回の治療の中で 可能であれば どうしても行いたい治療があります。
それは、上下顎左側の欠損部の治療です。
下顎左側奥歯の2歯欠損 と
上顎左側2歯欠損は、
このままにしておくと さまざまな問題が起こってきます。
左側で噛めないため、右側や前歯に負担がかかってきます。
現状で、上顎右側 や 前歯部は骨吸収が大きいため、これ以上の負担が加わると ダメになってしまうことが十分考えられます。
左側の欠損部をきちんと噛める状態にすることが 他の歯の将来性を決めると言ってもいいでしょう。
左側の欠損部を治療することが この治療の大きなポイントになるのです。
以下のレントゲンは、上顎左側 と 上顎前歯部の固定(スプリント治療)によるシュミレーションです。
スプリント治療の詳細については以下を参考にして下さい。
スプリント法(グラグラしている歯の固定)
次にインプラント予定部分にも問題がありました。
骨の吸収があったのです。
いつものように 骨吸収の状態を分かりやすくするために
骨吸収の状態を線で書いたのが以下になります。
青線が骨吸収を起こす前の骨の位置です。
赤線は、現在の骨の位置です。
骨が吸収してしまったのが分かるかと思います。
緑線は上顎洞です。
上顎洞(緑線の上方)は空洞です。
骨ではなく、穴が開いているのです。
上顎洞の詳細は、以下を参考にして下さい。
上顎洞
以下のレントゲンは、骨吸収の状態と上顎洞をさらに分かりやすくあらわしたものです。
緑色の部分は空洞ですので、
骨が存在するのは赤線と緑色の間だけになります。
骨の高さが非常に少ない状態です。
同部分は、ソケットリフト法 とGBR法(骨増大法) を併用してインプラントを埋入する計画を立てました。
以下が
歯周病治療 、
スプリント治療 、
インプラント治療が終了したレントゲンになります。
今回の治療で、上顎はグラグラしている歯を固定するため、スプリント法(グラグラしている歯の固定) という治療法を行いました。
確かに歯を削ること自体は、歯にとって決して良いことではありません。
可能であれば 歯を削らない方が良いのです。
しかし、歯周病の検査 や 噛み合わせの検査 等からグラグラしている歯の固定を行わないと
結果的に多くの歯を失うことになると判断したため、今回の治療方法になったのです。
歯を失ってからでは 遅いのです。
また、こうした治療を行う際にも治療費の問題は大きく関わってきます。
今回の治療で最も治療費をかける必要性がある部位は、左側の欠損でした。
この部分できちんと噛めることが 他の歯の負担を少なくする点でも有効な治療方法です。
そのため、治療費削減のために 上顎前歯部はセラミックではなく、保険で連結した被せ物を行いました。
なんでもかんでも治療費をかけるのではなく、さまざまなことを考えれ、費用 対 効果 がきちんと達成できるプランを提示することも歯科医師として重要なことです。
このような問題を多く抱えている患者様の場合、治療後の管理(メインテナンス) が重要になってきます。
せっかく時間をかけ、費用をかけた治療ですからトラブルがおきぬようにしたいものです。
治療費
上記の症例をインプラントモニターで行った場合の治療費は以下になります。
1歯欠損の治療費
インプラント 1本 168.000円(消費税込)
被せ物(白い歯) 1歯 84.000円(消費税込)
1歯欠損の合計 252.000円(消費税込)
になります。
治療費をさらに抑える方法として 被せ物を金属製にする方法があります。
金属製の被せ物は、1歯 58.800円(消費税込)になりますので、
1歯欠損の合計 226.800円(消費税込)
になります。
当医院のインプラント治療費用の中には、
治療中のレントゲン撮影や薬代、
土台(アバットメント) の費用、
仮歯 の費用、
治療経過のレントゲン撮影、
セラミック等の被せ物の費用、
スプリッティング法(リッジエクスパンジョン法) 、
OAM(大口式)インプラントシステム 、
GBR法(骨増大法:インプラント埋入と同時の場合) 、
ソケットリフト法 の費用、
静脈内鎮静法(眠っている間に終了します) の費用も含まれています。
治療計画以上の追加費用はありません。
全て含まれた費用です。
次回のブログは5/5(木曜日)になります。
今後は毎週木曜日にアップします。
次回もまだまだ続く『インプラント症例』です。
さまざまケースを紹介しますので、きっと あなたと同じような症例があるはずです。
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