ワンピースインプラント:その2 と インプラント症例報告

10/26(月曜日)です。
今日も前回の続きで、『ワンピースインプラント:その2』になります。

前回のブログでは、ワンピース インプラント と ツーピース インプラントの違いについて解説しました。

その中で、世界中で使用されているいインプラントのほとんどは、ツーピース インプラントであることを解説しました。

本日は、その理由について解説します。

まず、ワンピース インプラントは、インプラント手術当日から歯肉の上に土台(アバットメント)が見えます。
長い棒状の 金属製の土台です。
インプラントと一体型になっているためです。

以下の話は、前回と同様の話にはなりますが、非常に重要なことなので再度解説します。

世界的に一般的に使用されているツーピース インプラントは、 インプラント手術時には、インプラント本体(フィクスチャー)のみが骨内に埋込まれます。

あくあまでも 土台(アバットメント)は、インプラントと骨が結合したで装着するのです。

この土台(アバットメント)を装着するのが 骨とインプラントが結合した後で行う理由として、
インプラントを顎の骨の中に埋込んだ時点(手術時)では、まだインプラントと骨は結合(くっついて)していないのです。

インプラントが骨内に埋込まれてから 数ヶ月(通常2〜4ヶ月程度)という期間で 骨と結合するのです。

つまり、インプラントと骨が結合するまでは、安静にしておくことが必要なのです。

安静というのは、インプラントに外力が加わらないように することです。

そのため、土台(アバットメント)をインプラントに装着するのは、インプラントと骨が結合したになります。

インプラント手術時に土台(アバットメント)があると 舌で触れたり、食事の際にぶつかってしまったり、
どうしてもインプラント自体に外力を加えることになってしまいます。

このようなことから 一般的なインプラント治療は、インプラント本体(フィクスチャー)と 土台(アバットメント)は、分かれているのです。

以上のことが前回の話でした。

ワンピース インプラントは、どうしても手術直後から土台(アバットメント)が口腔内に露出(見えている)しているので、インプラントに外力が加わりやすいのです。

また、インプラントを埋込むための骨がしっかりしていないと ワンピース インプラントは適切にできません。

インプラント治療を行う方の多くは、
歯周病 歯根破折欠損状態を長く放置していた …等により骨吸収を起こしています。

骨吸収があった場合には、インプラントを適切に埋入することはできません。
適切にインプラントが埋入できないということは、埋入したインプラントが安定しないということです。
安定しないインプラントに外力が加われば、インプラント自体もダメになってしまいます。

また、骨吸収がある場合には、インプラントを埋入すると同時に吸収部位に骨の増大法を行います。
この方法をGBR法(骨増大法) と言います。

一般的にGBR法(骨増大法) を行った場合には、インプラント自体を歯肉の中に埋込みます。
インプラント手術時にインプラントを完全に歯肉の中に埋込む方法を2回法 と言います。

GBR法(骨増大法) を行った場合には、骨吸収がまったくなかった場合と比較してより手術後の感染に注意が必要です。

GBR法(骨増大法) には、人工骨を使用したり、骨の増大を行うためのGBR膜 等を使用します。
こうした骨増大に使用した材料が感染しないように インプラント本体も含め、全てを歯肉の中に埋込んでしまう2回法 がほとんどです。

また、上記以外にもさまざまな理由により、GBR法(骨増大法) を行った場合には、歯肉の完全閉鎖が基本になります。

インプラントを歯肉の中に埋込む(2回法 )ということは、ワンピース インプラントはできないということです。

私が日々インプラント手術を行う中で、骨の吸収がまったくなく、インプラントを埋入できるケースは、半数以下です。

半分以上のケースでは、GBR法(骨増大法) を行うのです。

つまり、骨吸収が起っている場合には、ツーピース インプラントが適応症ということになります。

他にもツーピース インプラントの利点があります。
これは、次回で解説します。
次回のブログは10/29(木曜日)になります。

今週(10/23〜25)のインプラント手術報告

今週(昨日)のインプラント手術の中から、
難しいケース であったり、
特殊なケース 等を抜粋して、紹介するコーナーです。

それでは、今週のインプラント手術の中から上下顎同時にインプラント埋入を行った1症例について解説します。

昨日も1日中 インプラントの手術でした。
その中でも難症例であった 上下顎に合計8本のインプラントを埋入した症例をご紹介します。

患者様は、長い間 歯科治療を繰り返されてきた方です。

虫歯、 歯周病
歯がない状態が長くあった 等の問題が長期的に続いたことにより、さまざまな問題が起っていました。

具体的なこととしては、
今まで治療してきた被せ物 等が何度も取れてしまう!
年々 歯がダメになり、抜歯を繰り返している!
欠損部位がどんどんと増えていき、噛むところがなくなってきた!

そして、『このままでは、もっと もっと 歯を失うことになり、
噛むこともできなくなってしまうのではないか!』 という不安になり、
全体的に きちんと治療を行いたい というご希望があり、
紹介を受けて 当医院を受診されました。

このような 歯科治療を繰り返している方は 多くいらっしゃいます。

治療部位がすぐにダメになる大きな原因の一つとして、
『神経がない歯が多い!』ことがあげられます。

今回ご紹介する患者様も 2/3以上の歯がすでに欠損しており、
残っている歯は、全て神経がない歯です。
神経のない歯は非常に脆く、 通常の噛む力でも折れてしまうことが多いのです。

そのため、少しでも残っている歯に負担をかけないようにするためにも 欠損部位にインプラントを行うことは有効です。

今回ご紹介する患者様のように 多くの歯が欠損しており、噛むことが御不自由になっている方が本当に多くなっています。

全ての欠損部位にインプラントを埋入する方法ももちろん有効ですが、
まず、必要な部位にのみインプラントを行うことも 重要なことです。
最初に審美的な改善、噛むことの改善が必要です。

話は戻りますが、今回の治療は、本当に難症例でした。
大変なインプラント手術でした。

骨の吸収も多くあり、8本全てにおいて、
GBR法(骨増大法)
ソケットリフト法
スプリットクレスト法(リッジエクスパンジョン法)
PRP法
等 さまざまな方法を併用し、インプラントを埋入しました。
(これらの骨増大治療費用は 全てインプラント埋入費用に含まれています)

使用したインプラントは、全て ストローマンインプラント(ITIインプラント)です。

麻酔方法は、 静脈内鎮静法(無痛治療)です。
完全に寝ている間に治療が行えますので、治療が恐い方(心配な方) や インプラントの埋入本数が多い方、骨吸収が大きく治療時間がかかる方 には、非常に有効な麻酔方法です。

難症例であったため、治療時間もだいぶかかりました。
通常、骨吸収がさほどなければ、1本のインプラントを埋入する時間は、約5分程度です。

しかし、今回は、約3時間かかりました。
今年行ったインプラント手術の中で最も大変な手術でした。

私自身は、この手術の直前にも困難な手術があっため、連続のオペで だいぶ大変でしたが、
静脈内鎮静法(無痛治療)で行ったため、患者様ご自身は、苦痛もなく、ぐっすりと眠っている間に終了します。

昨日は、大変でしたので、休診の今日は少しゆっくりしたいと思います。

次回のブログは、10/29(木)です。

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I.T.Iインプラント認定医でもあり、 GBR法 サイナスリフト 審美インプラント等の難症例も行います。
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