ジルコニア オールセラミック と 噛み合わせ・歯周病の関係
2016年11月 7日(月曜日)です。
このブログは「大船駅北口歯科 歯周病専門サイト」です。
今日のテーマは、
『ジルコニア オールセラミック と 噛み合わせ・歯周病の関係』になります。
さてこのところオールセラミックと歯周病について解説しています。
前々回は、
歯周病の方に
歯周病治療後に
ジルコニア オールセラミックでグラグラしている歯を固定すると同時に
噛み合わせの改善を行った症例をみていただきました。
再度提示すると以下の症例でした。
本日ご紹介するケースは、歯周病でもあったのですが、
最も大きな問題は噛み合わせです。
ちょっと前にも少し話をしたケースですが、今回はもう少し詳細を解説します。
噛み合わせに大きな問題があったため、
ジルコニアで対応したケースです。
上顎の前歯のセラミックが破損(欠けた)とのことで来院されました。
確かに前歯が欠けています。
セラミックはこうして破損した場合、口腔内で修復することが困難な素材です。
この理由として、
この患者様に使用されているセラミックは瀬戸物(陶材)であり、
以下のように制作してあります。
まず、金属のフレームを作ります。
この金属フレームに陶材を焼き付けて作製します。
1000℃以上の高温の釜で陶材を金属に焼き付けるという作業が必要になります。
そのため、従来から使用されているセラミックは、
日本語で陶材焼付鋳造冠
(とうざいやきつけきんぞくかん)と言います。
口腔内でこうしたセラミックが欠けた場合には、
セラミック部分を一旦撤去して、
再度セラミックを1000℃以上で焼き付けることになるのですが、
当然のことながら口腔内ではできませんよね。
一度セラミックを口腔内から撤去することができれば
可能な話しですが、
天然歯にくっつけてあるセラミックを外すことは基本的に無理です。
それはセラミックは取れないように強いセメント(接着材)でつけてあるからです。
状況によりセラミックを仮止めすることがありますが、
こうした場合には、仮止めなので、
比較的簡単に一度撤去することができますが、
基本的には、取れないように強いセメントでつけてあります。
そのため、セラミックが欠けた場合には、応急処置として、
樹脂で欠けた部分を修復することになります。
この作業は1日でできますし、
セラミックを取り外すことはありません。
比較的簡単に行えます。
しかし、もともとセラミックが欠けるということは、
樹脂でくっつけても再度破損する確率が高いです。
根本的にセラミックと樹脂をきちんとくっつけることは難しいこともあります。
また、樹脂自体は、プラスチック製ですので、必ず変色します。
元々のセラミックとも色合いが合わないことが多く、
いかにも貼付けたという見た目になることもあります。
欠けた部分に樹脂を貼付けたとしても
すぐに取れてしまうケースも多いです。
そのため、セラミックが欠けた場合には、
応急的な処置となることがほとんどです。
もちろん全ての症例ですぐに取れてしまうわけではありませんが、
今回のような噛み合わせが問題で欠けた場合には、
噛み合わせの原因が根本的に治らないと
欠けた部分を樹脂で修復してもすぐに取れます。
さて今回の患者様の初診時の口腔内に戻ります。
再度初診時の口腔内写真を見てみましょう。
下の前歯の歯並びに問題があります。
右側の下の前歯が前に出ています。
通常 下の前歯は、噛み合った時に 上顎の前歯より奥に位置しています。
下の前歯の方が下がっているのです。
今回の患者様の場合、
下の前歯が前方に出ている部分があったり等
噛み合わせに大きく問題があります。
歯石等がついており歯肉が腫れているのは
歯周病の問題があるためで、今回はこの点についてははぶきます。
噛み合わせの問題についてみていきましょう。
左側が正常に近い状態です。
上顎の歯より 下顎の歯の方が内側に位置しています。
それに対して、
右側は噛み合わせに問題があります。
上顎より 下顎の方が外側(頬側)に出ています。
こうした噛み合わせは、さまざまな問題を引き起こします。
その結果セラミックが欠けてしまったと言えます。
このようなケースでは、矯正治療を行い、噛み合わせ全体を治すことがどうしても必要です。
現在の噛み合わせの状態のままで
セラミックをやり直しても同じことが繰り返されます。
しかし、現実的なこととして
年齢が高くなるにつれ、矯正治療を希望される方は少なくなってきます。
今回の患者様も矯正治療をご希望されませんでした。
こうした中でセラミックを再製することは非常に困難となります。
そこで、今回使用したのが、
100%のジルコニアです。
通常ジルコニアセラミックというのは、
専門的には、レイヤリングジルコニアと言います。
ジルコニアのフレームに陶材を焼き付けて作製します。
ジルコニアと言っても見える部分は先ほどの
陶材焼付鋳造冠と同じです。
そのため、表面にあるセラミックは
噛み合わせの問題が改善されないかぎり割れます。
ジルコニア自体は非常に強度のある素材ですが、
セラミック自体は、瀬戸物ですので、脆いです。
そこで、今回のケースでは見える部分も全てジルコニアで作製する方法をとりました。
専門用語で フルカンッアージルコニア(フルジルコニア) と言います。
100%がジルコニアです。
2程前であれば、こうしたフルジルコニアを前歯で使用することは
考えられませんでした。
その理由として、以前のジルコニア自体は、真っ白な紙のような色であり、
歯の色とは大きく違っていました。
色を着色しても 奥歯ではあればなんとか許容できる範囲でしたが、
とても前歯にフルジルコニア(100%ジルコニア)を使用することは
考えられない状況でした。
しかしここ2年程でジルコニアは大きく変化し、
審美性が格段が向上してきました。
そのため、今まで何度もセラミックが破損してきたようなケースでも
対応ができるようになってきました。
しかし、まだまだ審美的なことはジルコニアセラミックと比較すると万全ではありませんが、
今回のようなケースでは噛み合わせの改善をしない状態では
フルジルコニアは利点があります。
前歯だけでなく、奥歯もフルジルコニアで対応しました。
右側の噛み合わせも改善させています。
もちろん歯周病の状態もきちんと改善しています。
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