ジルコニア オールセラミック と 噛み合わせ・歯周病の関係:その2

2016年11月21日(月曜日)です。

このブログは「大船駅北口歯科 歯周病専門サイト」です。

今日のテーマは、
『ジルコニア オールセラミック と 噛み合わせ・歯周病の関係:その2』
になります。

前回のブログをご覧になっていられない方は、
本日のブログの前に見ていただいた方がより分かりやすくなります。
前回のブログ:ジルコニア オールセラミック と 噛み合わせ・歯周病の関係:その1

ジルコニアオールセラミックにはいくつかの種類があります。

一般的に言われるジルコニアというのは、
ジルコニアの表面にセラミックを焼き付けて作製されます。
このタイプを
レイヤリング ジルコニアと言います。

つまり、
皆さんが見える表面はセラミックで
内部にジルコニアが使用されているのです。
現在のセラミック治療の主流です。

従来のセラミックの場合、
この内部に使用されているのが金属です。
10年以上前にセラミック治療を行っている方は
ほとんどがこのタイプです。

従来型のセラミックは、
メタルボンド(陶材焼付鋳造冠
)と言います。

メタルボンド(陶材焼付鋳造冠)は、内部に金属が使用されているため
光の透過性が悪く、審美的ではありませんでした。

またメタルボンド(陶材焼付鋳造冠)は、歯肉の根元が黒っぽく見えることも多くあり、
メタルボンド(陶材焼付鋳造冠)装着後に数年経ち、
歯肉が退縮した場合には、退縮部分から金属の黒っぽい部分が見えてしまうこともありました。

また当然のことながら金属を使用しているため、
金属アレルギーに対する問題もあります。

当医院では、金属を使用したメタルボンド(陶材焼付鋳造冠)は、
現在使用しておりません。

しかし、内部に金属を使用しないと強度が保てないため、
今までは金属のフレームを内部に使用してきたのです。

ジルコニアは、強度が非常に高いため、
金属フレームの代用として使用されるようになってきました。
もちろん 金属ではありませんので、
色は白です。

しかし、このジルコニアセラミックの欠点もあります。
先にも説明しましたように
レイヤリング ジルコニアは、
内部に高強度のジルコニアは使用されていますが、
見える部分(表面)は、セラミックです。

このタイプのレイヤリング ジルコニアは、審美性は高いのですが、
表面のセラミックが欠けることがあります。

セラミック自体は、さほど強度が高い素材ではありません。

レイヤリング ジルコニアは、前歯に使用されることが多いです。

そのため、現在では奥歯のような噛む力の負担が強い部位では、
ジルコニアを100%使用したタイプが適応されます。

ジルコニアが100%ですから割れる心配は非常に低いです。
このタイプのジルコニアを
フル ジルコニアと言います。

ジルコニアには、この他にもいくつものタイプがあります。

プレスオン ジルコニア
キャドオン ジルコニア
ラピッドレイヤー ジルコニア

というのがありますが、今回は省略します。

さて100%ジルコニアであるフル ジルコニアですが、
噛み合わせの負担がある方には非常に適しています。

例えば、
金属アレルギーがあったり、
従来型のセラミック(メタルボンド:陶材焼付鋳造冠)の審美性に問題がある方であったり
した場合には、
金属をまったく使用しないオールセラミックを選択することになるのですが、
奥歯で欠損が多く、ブリッジとしなければいけない場合であったり、
噛み合わせの負担が強い場合には、
レイヤリング ジルコニアでは、破損する可能性がありますので、
100%ジルコニアであるフル ジルコニアが適しています。

前置きが非常に長くなりましたが、
症例を見て行きましょう。
スライド01

上の写真は下顎を噛む面から見た状態です。
左側の奥歯に従来型のセラミックブリッジ(メタルボンド:陶材焼付鋳造冠)が装着されていますが、
強度の弱いセラミック部分が破損しています。
その結果、金属部分が口腔内に露出するようになり、
審美的にも問題が生じています。

スライド02

この部分がブリッジです。

レントゲン写真で見てみましょう。
スライド03

この部分が従来型のセラミックブリッジ(メタルボンド:陶材焼付鋳造冠
)です。

歯の欠損している部分を×印、
ブリッジの支えとなる歯の部分を
で記載します。
スライド04

このようなタイプの方は、
ジルコニアフレームにセラミックを焼き付けた
レイヤリング ジルコアでは、
セラミック部分が破損する可能性がありますので、
破損がしにくい100%ジルコニアフル ジルコニアを使用することにしました。

次の写真は、100%ジルコニアフル ジルコニア
治療した後です。
スライド05

以下は、治療前と治療後の比較写真です。
スライド06

少し前までは、100%ジルコニア(フル ジルコニア)は強度はあるが、
レイヤリング ジルコニアと比較すると審美性に劣りましたが、
現在ではそんなことはありません。

100%ジルコニア(フル ジルコニア)も審美性は非常に高くなってきました。

次のケースを見てみましょう。

この症例は、先日インプラントブログにも掲載したケースです。

インプラント治療後にも先ほどと同じように
従来型のセラミック(陶材焼付鋳造冠
)が使用されることが多かったですが、
患者様のご希望もあり、
当医院では、インプラントにも従来型のセラミック(陶材焼付鋳造冠)を使用することは
なくなってきました。

以下は初診時のレントゲンです。
右上の奥歯が5歯分欠損しています。
スライド07

患者様は、義歯(入れ歯)の治療は希望されなかったため、
インプラント治療で対応するこになりました。

以下は口腔内写真です。
上の歯を噛む面から見たところです。
スライド08

以下は、インプラント手術が終わった直後のレントゲンです。
スライド09

以下は、100%ジルコニア(フル ジルコニア)を装着した後です。
スライド10

100%ジルコニア(フル ジルコニア)を使用することで
強度、審美性ともに問題なく治療が行えました。

以下は治療後のレントゲン写真です。
スライド11

ジルコニアには、いくつかのタイプがあり、
その症例によって使い分けるようになってきています。

次回のブログでもそうした話をしたいと思います。

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