重度歯周病が治りにくい方の原因について:その5
2017年 6月5日(月曜日)です。
このブログは「大船駅北口歯科 歯周病専門サイト」です。
今日のテーマは、『重度歯周病が治りにくい方の原因について:その5』になります。
このシリーズの話はかなりマニアックになっています。
前回は、根分岐部病変(こんぶんきぶびょうへん)という話でした。
ちょっとおさらいをしましょう。
前回と同じ写真なのですが、
正常な状態のレントゲンが以下になります。
この写真は下顎の奥歯なのですが、
通常 歯を支えている根は2本から3本存在しています。
この根と根の間に骨があるのが正常な状態です。
骨は白く見えます。
根を分かりやすいように線で書いてみました。
根と根の間が根分岐部(こんぶんきぶ)です。
次のレントゲン写真が根分岐部病変(こんぶんきぶびょうへん)です。
根と根の間が黒っぽく見えます。
骨が吸収しているのです。
今度は図で見てみましょう!
以下が正常な状態です。
以下が骨が吸収して根分岐部病変になった状態です。
ここまでは前回の写真と図です。
本日は分岐部病変の治療の話をしたいと思います。
まず歯周病と診断するためには、
歯周病の検査が必要です。
歯と歯肉には僅かな溝があります。
この溝を歯周ポケットと言います。
使用する器具は以下です。
これをプローブと言います。
プローブを歯と歯肉の境目に挿入します。
計測する部位は歯の周り6カ所です。
この歯周ポケットが深くなるほど歯周病が進行しているということです。
歯周病が進行している状態では
歯肉の中に汚れが詰まっているのです。
いわゆる歯石です。
この汚れの中に歯周病細菌が存在しており、
歯周病細菌が存在することで歯を支えている骨が溶けてしまうのです。
実際に重度歯周病のため、抜歯となった歯を見てみましょう。
黒く見えるのが歯石です。
歯の根の周囲に大量の歯石がついています。
このような状態になってしまうと抜歯となってしまうのですが、
歯周病の治療とは、歯肉の中 歯の根に付着した歯石を取ることになります。
以下の図は歯肉の中にある歯石を取ってるところです。
さて話を根分岐部病変に戻しましょう。
根分岐部病変になってしまうと
その将来性は非常に低くなってしまいます。
そうしたデータから見ていきましょう。
以下は
根分岐部病変がある状態と
問題がない状態の
抜歯となる率です。
分かりにくいのでポイントを絞ってみましょう。
黄色の部分が根分岐部病変がない状態です。
正常な状態です。
赤色の部分が根分岐部病変がある状態です。
歯周病が進行した状態です。
このデータによると
正常な状態の歯を失う率が4.1%だったのに対して
根分岐部病変となると歯を失う率が31%となり、
約8倍高くなります。
他の研究では
正常な状態の歯を失う率が6.7%だったのに対して
根分岐部病変となると歯を失う率が57%となり、
約9倍高くなります。
こうしたデータからも
根分岐部病変になると
歯を失う確率が格段に高くなります。
先に歯石を取る治療の図をアップしましたが、
この根分岐部病変になると
根の形態が複雑なため、汚れを取ることが非常に難しくなります。
根分岐部病変となると
歯周病治療でどれくらい歯石を取ることができるのかというデータを見てみましょう。
分かりにくいですが、
SRPというのが先の図にもあった汚れを取る治療です。
左側の3本の棒グラフです。
歯周ポケットが1〜3ミリは軽度の歯周病
歯周ポケットが4〜6ミリは中程度の歯周病
歯周ポケットが4〜6ミリは重度の歯周病
です。
歯周ポケットが1〜3ミリの軽度の歯周病ではSRPにより69%歯石が取れる
歯周ポケットが4〜6ミリの中程度の歯周病ではSRPにより18%歯石が取れる
歯周ポケットが6ミリ以上の重度の歯周病ではSRPにより15%しか歯石が取れない
というデータです。
歯周病が進行すればするほど
治療(SRP)により歯石が取れる確率が格段に下がるということです。
歯周ポケットが6ミリ以上の場合、
歯周病治療(SRP)では歯石が15%しか取れないのでは
治らないということです。
ちなみに
右側の3本の棒グラフは
歯周病の手術を行った場合の歯石除去率です。
手術をすればより歯石の除去率は高くなりますが、
それでも6ミリ以上の歯周ポケットの場合には42%しか歯石が取れないということです。
歯周病は進行すると非常に治しにくいのです。
早期発見、早期治療が最も大切なのです。
今日はかなり難しい話になってしまいました。
次回もお楽しみに!
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