歯周ポケット検査と歯根破折、セメント質剥離
2017年 7月10日(月曜日)です。
このブログは「大船駅北口歯科 歯周病専門サイト」です。
歯周病の検査で最も基本的な検査として
歯周ポケット検査があります。
このブログでもよく解説する検査方法です。
非常に簡単であり、基本的にどこの歯科医院でも行えます。
知っている方も多いかと思いますが、
ちょっと見てて下さい。
歯と歯肉はくっついておらず 僅かな隙間があります。
この隙間のことを歯肉溝と言います。
歯肉溝がに汚れが入り込み 溝が深くなると
歯周ポケットと言われるようになります。
以下の図です。
以下のような器具を使用し、歯周ポケットの深さをはかります。
1歯につき 6カ所以上の深さを測定します。
この歯周ポケットが深くなると歯周病が進行しているということです。
歯周病ポケット1〜2ミリ :正常
歯周病ポケット3〜4ミリ :軽度
歯周病ポケット5〜6ミリ :中程度
歯周病ポケット7ミリ以上 :重度
という判断になります。
歯周病の検査はこれだけではなく、
レントゲンによる骨吸収状態や
噛み合わせ
等さまざまな検査を総合して歯周病の診断をするわけですが、
上記の歯周ポケット検査は基本中の基本です。
さて本日は歯周病の話とはちょっとズレます。
それは、歯周病と同じような症状があるが、
実は歯周病とはまったく違う原因であることがあります。
私自身が歯周病専門医ということもあり、
来院される患者様の多くは歯周病に問題をかかえた方です。
歯肉が腫れるとか
噛んでいたいとか
出血があるとか
患者様はご自身の判断やネット等で検索して
「きっと歯周病に違いない」
とお考えになり来院される方も多くいらっしゃいます。
実際に歯周ポケット検査をしてみると
歯周ポケットが8ミリ
というこもあります。
先ほど歯周病の検査で歯周ポケットが深くなると
歯周病が進行していることを解説しました。
しかし、歯周ポケットが深くなる原因は
歯周病だけではありません。
本日は歯周ポケットが深くなる他の原因について解説します。
1症例目は、以下の患者様です。
レントゲンをみてみましょう!
「歯肉が腫れて出血がある」
「痛みもある」
とのことで来院されました。
患者様は歯周病が原因ではないかと思われています。
早速歯周ポケット検査 と レントゲン写真の撮影を行いました。
問題となる歯は*印の歯です。
歯周ポケットは8ミリあり、
出血もあります。
本日の最初に重度歯周病は、歯周ポケットが7ミリ以上と解説しましたので
この歯は、8ミリもありますので
歯周病ということになりますが、
そうではありません。
確かに歯周ポケットは8ミリなのですが、
この歯周ポケットができた原因は、
歯周病細菌による感染症ではなく、
歯が折れたのです。
この歯は神経がない歯でした。
神経のない歯は脆く、通常の噛む力でも折れることが高頻度で起こります。
歯の根が折れることを
歯根破折と言います。
歯根破折の特徴的なレントゲン像をみてみましょう!
歯の根を取り囲むように黒い状態がみれます。
分かりやすいように黒くなっている部分を
黄色線で記載したのが以下です。
このようなレントゲン像を見た場合、
歯根破折を疑います。
患者様には歯根破折の可能性が高いことを説明させていただきました。
歯根破折を起こした場合には、
基本的に治すことはできません。
基本的にはですが…
歯根破折は抜歯となります。
今回ご来院された患者様には、
腫れの原因を説明させていただき、
歯根破折している場合には、抜歯となることも説明させていただきました。
患者様にとっては、抜歯は当然のことながら避けたいことです。
そのため、薬で腫れを抑えてこのまま経過をみられるとのご希望でした。
しかし、暫くして再度腫れたため、ご来院されました。
その時のレントゲンが以下です。
歯が完全に割れていました。
患者様はレントゲンの状況をみていただき、
ご納得の上、抜歯となりました。
現在はインプラント治療が完了し、噛めるようになっています。
神経のない歯は、本当に脆く、
こうした歯根破折が起こる確率が非常に高いです。
歯を削らないようにすること
神経を取らないようにすることは本当に大切なのです。
患者様も抜歯後には、できるかぎり周囲の歯に負担がかからない治療をご希望されていたため、
歯を削るブリッジではなく、
インプラント治療をご希望されました。
このように歯周ポケケットが深いから歯周病ということではなく、
様々な検査を総合して判断することが必要なのです。
次のケースになります。
患者様は、歯肉が腫れたとのことで来院されました。
出血もありました。
歯周病を疑い、歯周ポケット検査を行いました。
歯周ポケットは部分的に9ミリありました。
その時のレントゲン写真が以下です。
問題となるのが*印の歯です。
歯周病ポケットが9ミリとは深いですね。
それではこのケースは
歯周病でしょうか?
歯根破折なのでしょうか?
実は両方とも違います。
答えはセメント質剥離
という病態です。
セメント質とは、
歯の根の周囲を取り囲んでいる薄い硬い組織のことです。
このセメント質がなんらかの原因で剥がれしまうことをセメント質剥離と言います。
以下の矢印部分が剥がれたセメント質です。
セメント質剥離を例えていうと
家の外壁を想像してみて下さい。
家の外壁にタイルがはってはったとします。
このタイルが
地震とか
劣化により剥がれ落ちてしまうこともありますよね。
この剥がれたタイルがセメント質であると思って下さい。
外壁のタイルが剥がれると困りますよね。
セメント質も
噛み合わせの負担が強く起こったりすると剥がれてしまいます。
この確率は年齢が高くなればなるほど多くなりますし、
神経のない歯で起こりやすいと言われています。
セメント質剥離が起こっても問題とならない場合もありますが、
剥離した部分が大きかったりした場合には、
歯周ポケット交通し、感染が起こることで腫れてきます。
今回のケースはそうしたことが起こり
腫れや出血が起こったのです。
治療は剥離したセメント質を取り除くことです。
以下が治療前と後です。
剥離したセメント質を取り除くことで腫れは治まりますが、
予後はよくありません。
今後問題を起こす可能性が高いです。
このように歯周ポケット検査は、歯周病の診断にとって非常に重要な検査ですが、
歯周ポケットが深いからといって
必ず歯周病ということではありません。
今回のケースのように
歯根破折の場合もありますし、
セメント質剥離の場合もあります。
また、今回は紹介できませんでしたが
他にも原因はあります。
病気の診断をする場合には、
さまざまな面からみることが大切なのです。
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