PDT:フォトダイナミックセラピー:新しい歯周病治療
2020年12月14日(月曜日)です。
このブログは「大船駅北口歯科 歯周病専門サイト」です。
今日のテーマは、
『PDT:フォトダイナミックセラピー:新しい歯周病治療』
になります。
PDTとは、
Photo Dynamic Therapy(フォトダイナミックセラピー)の略で、
日本語では光線力学療法と言います。
今までにない新しい歯周病治療です。
それでは PDT(a- PDT)の実際の使用方法について解説します。
詳細はその後で説明します。
まず、歯周ポケット内部にバイオジェル(光活性剤)を入れます。
次に歯周ポケット内部に光エネルギーを約1分間照射します。
これにより歯周ポケット内部の歯周病細菌は死滅します。
大まかな流れはこれで終了です。
非常に簡単な治療です。
痛みはありませんし、非常に短時間で行えます。
それではPDT(a- PDT)の詳細について解説します。
歯周ポケット内部にバイオジェル(光活性剤)を入れると
歯周病細菌 と結合(くっつく)します。
このバイオジェルは光感受性物質と言い、
光を吸着すると 化学反応が起こり活性酸素を発生させることができます。
この時に使用する光エネルギーは、
「Periowave」という装置を使用します。
「Periowave」は、
670nmの波長で 220mWの低出力光エネルギーです。
発熱を起こすこともないため、痛みを感じることはありません。
光エネルギー(Periowave)を照射することにより、
色素(バイオジェル)が結合した歯周病細菌は破壊されます。
このバイオジェル(色素)は、人間の身体の細胞には結合しません。
また、光が照射される1~2ミリが有効範囲であるため、その効果は限局的です。
そのため、
ピンポイントでバイオジェル(色素)を塗布し、
光を照射することが必要です。
以下は、「Periowave」という
光エネルギーを照射する実際の装置です。
非常に小さいものです。
以下は PDT(a- PDT)の適応です。
1.歯周病治療と併用すると有効!
歯周病の治療と併用して行うことにより効果があります。
あくまで歯周病に対してPDT(a- PDT)単独で使用するのではなく、
PDT(a- PDT)前に歯周ポケット内部の感染物質(歯石 等)を超音波スケ
ーラー等で除去(クリーニング)してからPDT(a- PDT)を行い、
PDT(a- PDT)終了後には必ず破壊された歯周病細菌 および 毒素を洗浄
することが必要です。
2.メインテナンス(定期検査)で使用すると有効!
PDT(a- PDT)によって ある程度の期間 歯周病細菌の再発を抑えることが
可能となりますので、メインテナンスにおいて歯周ポケットの再発した部
位に使用することにより維持安定を得ることができます。
どれくらいPDT(a- PDT)の効果が持続するかということは、
さざざまな条件により大きく変わりますが、約1~2ヶ月は維持可能とな
ります。
(PDTを使用すれば歯周病にならないということではありません
徹底した歯磨きができていないと効果はありません)
つまり、重度歯周病の方 や 再発率の高い人は、
メインテナンスの度に行うと効果が高いということになります。
PDTを行えば、一生歯周病細菌がいなくなるということではありません。
3.再発しやすい歯周病には有効!
先にも説明しましたように 歯周病は歯周病細菌よる感染症です。
そのため、もともと歯周病細菌が多い方は 再発率が高くなります。
歯周病が再発しやすい方にはPDT(a- PDT)は最適と言えます。
4.歯周病治療における菌血症の防止に有効!
歯科治療における菌血症とは、
汚れ(細菌)が歯周病治療(抜歯 等の他の歯科治療でも起こります)
を行うことにより、身体の中(血管内)に細菌侵入することを言います。
歯周ポケット内部(歯肉の内部)には当然のことですが、
血管が存在します。
特に歯周病で歯肉が腫れている方は出血が起こっていることが多いため、
歯周ポケット内部に存在する汚れ(歯石)と血管が触れていることになり
ます。
他の言い方をすれば、汚れ(歯周病細菌)が血管に触れている状態と
いってもいいでしょう。
こうした汚れ(細菌)が一時的に血管内部に侵入することを菌血症と
言います。
特に 歯周病治療 等の歯科治療を行うとこうした菌血症が起こることが
報告されています。
歯周病治療の基本的な治療であるルートプレーニングでは、
報告に差はありますが、
「8~79%の確立で菌血症が生じる!」
と報告されています。
事実 ルートプレーニング を行った後(6分後)に採血して調べると血液
中から歯周病細菌が発見されることが報告されています。
PDT(a- PDT)をルートプレーニング 前に行うことにより、歯周病細菌の
減少をはかることが可能となるため菌血症のリスクを減少できます。
5. 細菌性心内膜炎、大動脈弁膜症、チアノーゼ性先天性心疾患、人工弁、シャント術実施患者…の方に有効!
上記のような方は、歯周病治療を行う上で最もリスクが高い患者様と言え
ます。
上記の疾患等を 有する患者様は、歯周病治療において菌血症を起こす可能
性が高いため、PDT(a- PDT)は有効と言えます。
6.インプラント周囲炎(インプラントの歯周病)に有効!
インプラントは虫歯になることはありませんが、歯周病のような状態には
なります。
このことをインプラント周囲炎言います。
インプラント周囲炎はインプラントがダメになる原因として最も高いこと
です。
メインテナンス(定期検査)の際にPDT(a- PDT)を使用し、細菌の減少を
行うことも有効ですし、もしインプラント周囲炎になってしまった場合に
も効果が高い治療と言えます。
PDTの治療費
現在 歯科領域ではこのPDTは保険が適応されていません。
そのため、自費診療となります。
当医院でのPDTの治療費は
1歯 2.000円(1回分:消費税別)となっております。
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