歯周病は早期治療が本当に重要

10/10(月曜日)です。

このブログは、歯周病に関するブログです。
毎週月曜日 にアップしています。

今日のテーマは、『歯周病は早期治療が本当に重要』になります。

最近は 歯周病が非常に進行した状態で来院される方が多くいらっしゃいます。
歯を指で軽く触るだけで グラグラ で取れてしまいそうな状態の方が本当に多いです。
重度歯周病の患者様です。

本日の話しは、以前アップした内容ですが、
重度歯周病の患者様にはきちんと見ていただきたい内容ですので
再度お話させていただきます。

歯周病に患者様に対しては、初診時に歯周病検査 を行い、
診断結果を説明し、治療方針について説明させていただきます。

もちろん 私は、歯周病専門医 ですので、
可能なかぎり グラグラの歯 であっても徹底した 歯周病治療 を行い、保存することを行います。
しかし、全ての歯を残すことはできません。
当然のことですが…
そのため、完全に保存が不可能は歯は 抜歯の必要性があることを説明します。

ほとんどの患者様は、診断結果を理解していただけますが、
患者様の中には、抜歯と聞いただけで 強い不信感をもつ方がいらっしゃいます。
そうした患者様の考えには、
抜歯 = 悪いこと
という図式があるのです。
そのため、抜歯という言葉は、絶対に聞きたくない言葉なのです。

その中でも実際にあった症例についてお話します。

A さんのケースです。
Aさんは、初診時 多くの歯がグラグラ している状態でした。

Aさん は、グラグラしている歯をなんとか残したいというご希望がありました。
しかし、あまりにも骨吸収が進行しすぎているため、多くの歯は、抜歯になってしまう状態でした。

ただし、すぐに歯周病治療を開始すれば、何本かの歯は歯周病の進行を停止させることが
可能な状態です。

そのため、Aさん には、
『完全にダメな歯は抜歯をして、残る可能性がある歯を徹底して治療しましょう!』
とお話させていただきました。

しかし、Aさん は、
『絶対に1本も抜歯したくない!、抜歯するくらいなら このままにしたい!』
また、『ダメもとで歯周病の治療を行ってほしい!』との希望もございました。

私は、 歯周病専門医ですから、毎日のように重度歯周病の患者様が来院されます。

そして、進行した歯周病であっても治療を行うことにより、改善させることも可能です。

しかし、全ての歯周病が治療できるわけではありません。
あまりにも進行しすぎてしまった状態では、治療は不可能です。
この場合には、抜歯になります。

もし、治療を行っても治せない状態の歯を 無理に治療しても 治らないだけでなく、
歯周病の感染は、他の歯へも転移してしまいます。

その結果、さらに多くの歯を失うことになります。

歯周病の治療で大切なことは、治療可能な歯 と 治療不可能な歯 をきちんと判断することです。
もし、適切な判断がでずに、患者様の『抜きたくない!』という希望のみで治療方針を決定すると
さらに多くの歯失う結果になってしまいます。

どの歯が治療が可能で、
どの歯が治療が不可能なのか
を適切に診断することが重要なのです。

その上で、歯周病の治療が開始されます。
残る可能性がある歯は徹底して歯周病の治療を行うことにより、
歯周病を改善させることが可能ですし、
歯周病細菌が他の歯へも感染することを防ぐこともできるのです。

このような適切な判断ができるからこそ、 歯周病専門医と言えるのです。

『ただ単に 抜かない!』というだけでは、本当の治療には、ならないのです。

例えば、ガン(癌)という病気が発見された時に、
薬(抗ガン剤)で治療するのか?
放射線療法で治療するのか?
外科的に切除するのか?
という判断がでてきます。

外科的に切除する必要性があると診断された場合、
患者様に外科的切除の必要性をご説明します。

早期に外科的に切除しないと 他の臓器に転移してしまうからです。
進行を停止させないと結果的に、手遅れになってしまいます。

歯周病も細菌感染ですから、口腔内から歯周病細菌を排除し、感染を防ぐことが重要です。

話は、先程の患者様の話しに戻りますが、
完全に保存することができない歯が何本かありましたが、
患者様は、
『絶対に1本も抜歯したくない!』
と強い希望をお持ちでした。

現時点で、ダメな歯はダメとして、きちんと治療すれば、ある程度の数の歯は残すことが可能です。
歯が何本か残れば、残った歯を土台として、固定式のブリッジにすることも可能な症例です。
固定式のブリッジになれば、食事に困ることもありません。
この時点が大きなポイントになるのです。

しかし、このまま単に抜歯をしない ということのみであれば、
あと数年でほとんどの歯を失う結果になります。
いわゆる総入れ歯になってしまいます。

また、歯周病が進行して、抜歯となれば、歯を支えている骨が吸収しますので、
その後の治療(義歯)が難しくなってしまうのです。
顎の骨が吸収すると義歯自体も合わなくなってしまいます。

数年後には、ほとんどの歯を失うだけでなく、その後の食事も困難になってしまいます。
義歯(入れ歯)が合わないのですから…

この時になって始めて
『あの時治療をしていれば良かった…』と思うのです。

義歯(入れ歯)をしていて、義歯が合わず、困っている患者様のほとんどが
『もっと歯がダメになる前に治療をしていれば、良かった』
と後悔しているのです。

歯を失って始めて気がつくのです。

歯周病であっても十分治せる段階はあるのです。
重要なのは、このポイントを間違えないことです。

Aさん も
歯周病専門医 だから どのようなダメな歯であっても きっと治すことができる!」と期待して来院されたはずです。
しかし、私の「抜歯が必要な歯があります!」
という説明を受けた結果、次回の予約を取らずに
未来院となってしまいました。

先にも説明しましたように 全ての歯を100%残すことはできません。
重度歯周病の場合、抜歯になることもあるのです。
この時にどれだけ 歯周病について理解されるかが大きなポイントなのです。
ご自身の病気の内容をきちんと理解することができないために
「きっと抜歯しないで治療を行ってくれる歯科医院がきっとあるはず…」
と考え、歯科医院を転々とします。
絶対に治らない歯周病もあるのです。
時間をかけて、歯科医院を転々とした結果、
さらに歯周病は他の歯へも転移し、
さらに多くの歯を悪化させてしまうことになります。

Aさん も本当に残念な結果であると思います。
Aさん はおそらく後 数年すると多くの歯を失う結果になってしまいます。
今治療すれば、最小限の範囲での抜歯で済むはずなのです。
本当に残念なことです。

重度歯周病患者様に共通することとして、
ご自身の考えが最優先であり、
「ご自身の考え以外は、絶対に悪いこと!」
と考えられている人が多いのです。

本日の話しはちょっと厳しい話しになってしまいましたが、
重度歯周病の患者様の来院が途絶えるたびに
「あのままにしておけば、もっと悪化してしまうのに…」
「今 きちんと治療すれば、十分治るのに…」
「ダメな歯を抜歯することにより 他の歯への感染を防げるのに…」
と思うのです。

今回の話しは、当然のことながら
治ってほしいと思うからこその 警告なのです。

「専門家の意見をきちんと受け入れて 理解すること」
これも重要なことなのです。

私は歯科医師ですが、
内科 や 外科の先生の中にも
「もっと早く治療していれば、十分治ったのに…」
と考えられる患者様を多く見られると思います。

どのような病気もそうですが、
早期発見、早期治療が重要です。

次回のブログは、10月17日(月)になります。

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