歯周病は生活習慣病です!:その2
6/14(月曜日)です。
このブログは、歯周病に関するブログです。
毎週 月曜日 にアップしています。
今日のテーマは、『歯周病は生活習慣病です!:その2』になります。
前回のブログでは、高血圧 や 糖尿病 等の生活習慣病と歯周病とは大きな関係あることを解説しました。
また、喫煙者はタバコを吸わない人と比較すると歯周病の進行が6倍以上も高い ことをお話しました。
この生活習慣を改善することは、非常に難しいことです。
日本人の三大死因である ガン(癌)、脳血管疾患、心疾患、および 脳血管疾患 や 心疾患の危険因子となる動脈硬化症、糖尿病、高血圧症、脂質異常症などはいずれも生活習慣病です。
逆に言えば、食事や運動、喫煙、飲酒、ストレスなどの生活習慣を改善すれば、病気になる確立は明らかに減少させることができるのです。
しかし、多くの方がこの生活習慣を改善させることができないのです。
生活習慣が乱れた結果、糖尿病、高血圧症、脂質異常症になるのです。
今回のテーマである『歯周病は生活習慣病です!』ということからも
歯周病と生活習慣は非常に密接な関係にあります。
私自身が歯周病専門医 ということもあり、
当医院に来院される方の中には、非常に進行された歯周病の方がいらっしゃいます。
『他の歯科医院で重度歯周病と診断された!』とか
『他歯科医院で歯周病のため抜歯と言われた!』とか
『年々歯が抜けて、噛むところが無くなってきた!』とか
『歯がグラグラして噛めない!』とか
『歯肉が良く腫れ、出血もある!』とか
さまざまな問題を抱えて来院されます。
そして、歯周病検査 を行い、
歯周病の治療計画のお話をします。
その際、喫煙者であったり、生活習慣に問題がある方の場合、
『生活習慣の改善を行わないと歯周病は治りません!』とお話をします。
来院された患者様は、当然のことながら
『歯周病を治したい!』というお気持ちを持っています。
しかし、治したい という気持ちはあっても
治す努力をしない方がかなりいらっしゃいます。
『歯周病は、歯科医院に通院すれば治る!』
『歯周病専門医 ならどんな歯周病でも治せる!』
と考えている方も多いのです。
歯科医院まかせ ということです。
何度もご説明しますが、歯周病は生活習慣病です。
歯科医院まかせの治療だけでは治りません。
例えば、糖尿病という病気は生活習慣病の典型です。
糖尿病を治療する場合、病院で処方される薬を使用していれば治る ということではありません。
食生活、睡眠、運動、ストレス、喫煙 …等さまざまなことを考えなければ治りません。
カロリーオーバーな食生活を送っていたのであれば、病院から処方される薬を使用しても治りません。
当たり前のことですが、これができない人が多いのです。
歯周病もまったく同じです。
口腔内清掃(歯磨き)を含めた、全身的なことを改善させないかぎり絶対に治らないのです。
このようなことを繰り返しお話するのは、
『なんとか歯周病を治していただきたい!』と思っているからです。
私は歯科医師ですから 歯科に関する病気を治すことが仕事です。
また、私自身が数少ない 歯周病専門医 ですので、歯周病で困っていらしゃる方には、なんとしても治ってもらいたい と思っています。
しかし、私(歯科医師)だけの努力では治らないのが歯周病です。
そのため、生活習慣の見直しを きちんとしていただきたいのです。
現実的に 毎日歯周病治療 を行っていると
治療途中で来院されなくなる方も多くいらっしゃいます(治療中断)。
治療が完了してもその後、メインテナンス(定期検査) に来院されなくなる方もいらっしゃいます。
また、一度歯周病が治っても、その後のブラッシング(歯磨き)が不適切になったり、生活習慣が乱れたりした結果、歯周病も再発してしまうケースも存在します。
歯周病になった状態をきちんと治し、
その状態を一生維持していくことは、それなりに大変なことなのです。
これが重度歯周病であれば、なおさらです。
今日は、もう一つ 生活習慣の中でも口腔内清掃(歯磨きの程度)についてお話します。
簡単に言えば、『歯磨きがどれだけできるか?』 ということです。
ほとんどの患者様は、毎日(毎食)歯を磨いているため、多少の問題はあっても
『ぜんぜん磨けてない』とは思っていません。
完全に磨けている状態を100%とすれば、
70%、80%程度は磨けていると思っています。
しかし、現実的に歯周病で来院される患者様のほとんどが
50%以下しか磨けていないのが現状です。
半分以上の部分が磨けていないのです。
別の言い方をすれば、半分以上の歯に汚れ(食べかす)がついているのです。
『えー でも私はある程度は磨けている!』
と思われているかもしれません。
みなさん同じように思っているのです。
なぜかというと
毎食後、きちんと歯磨きを行っているからです。
まさか自分自身が磨けていない などとは考えてもいません。
しかし、患者様ご自身が思っている以上に まったく磨けていないのが現状です。
例えば、歯周病の患者様は治療後(歯周病が治った後)、メインテナンス(定期検査) を受けています。
このメインテナンス(定期検査) 時にも口腔内の清掃状態を確認します。
一度歯周病治療を受けた方ですから、歯磨きの方法は一般的な方と比較すれば圧倒的に上達しています。
そうした患者様でもメインテナンス(定期検査) 時に口腔内の清掃状態を確認すると かなり磨けていないのが現状です。
歯周病治療開始時やメインテナンス(定期検査) の最初の頃は、歯磨き程度も非常に良いのですが、だんだんと おろそかになっていくものです。
メインテナンス(定期検査) 時に歯磨きの状態を確認すると80%以上磨けている方の方が少ないのです。
中には、ほぼ100%近く磨けている方も数少ないですが、いらっしゃいます。
そうした方は、1回の歯磨き時間が20分程度磨いているそうです。
どうでしょう?
毎食後20分も歯磨きをさえていますか?
このブログを読まれている方の多くは、2〜3分程度ではないでしょうか?
5分以上という方は、非常に少ないと思います。
現実問題として、歯肉が退縮していたりする方の場合、
徹底して歯磨きを行うとすれば、通常の歯ブラシを使用するだけでなく、
歯間ブラシを使用したり、デンタルフロス(糸ようじ)を1歯づつ丁寧に行うと
10分以上は必ずかかります。
こうしたことで ようやく70%、80%というレベルの歯磨きが達成できるのです。
『そんな時間をかけて毎食歯磨きを行うのは無理!』
と考えられている方も多いかと思います。
もちろん もともと歯周病に問題のない方であれば、2〜3分の歯磨き時間でも問題ないこともあります。
(中には、ほとんど歯磨きをしなくても歯周病に問題がない方もいます)
しかし、歯周病が進行している方は、一般的な方と同じように考えていてはいけません。
糖尿病の方 と 健康な方 とは食生活が違うのと同じです。
確かに1日に何千キロカロリーという 暴飲暴食を行っていても問題が起こらない人もいます。
しかし、一度糖尿病(特に注射を行っているようなインスリンの分泌が少ない人)になった人は、
そうした健康な人とは、まったく違う生活習慣を行う必要性があります。
健康な方であれば問題ないかもしれませんが、
糖尿病の方は、少しの食生活の乱れでも大きく影響してきます。
一生、注意をしながら生活していくことが必要です。
歯周病の方もまったく同じです。
普通の方(歯周病でない人)と同じレベルの歯磨き時間であれば維持することはできません。
重度歯周病であても なんとか ご自身の歯を残したいと考えられている方は、徹底した管理が必要なのです。
話しが長くなってしまいましたので今日はこれで終了です。
次回のブログは、6月21日(月)になります。
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