金属アレルギー治療の最前線:金属アレルギーは治るのか?

2015年 7月 6日(月曜日)です。

7月4日(土曜日)、5日(日曜日)と
新潟の日本歯科大学で日本口臭学会が開催されました。

私は 相当数の学会に所属していますが、
この日本口臭学会は、他の学会と比べても大きく違うものです。

例えば、
インプラント学会や
歯周病学会、
審美歯科学会
等は、技術的な向上がなければ けしてうまくいく治療ではありません。

そのため、最新の情報(知識)、技術を常に身に付けることが必要な学問です。

しかし、口臭学会は、そうしたこととはまったく違う分野なので
また違った意味でとても勉強になる学会ではあります。

昨日行なわれた日本口臭学会については、
口臭ブログにアップしてありますので、
ご興味のある方は、以下をご覧下さい。
7月4日、5日の日本口臭学会に参加して

さて本日のブログを開始します。

このブログは「大船駅北口歯科 歯周病専門サイト」です。

現在は歯周病の話ではなく、
金属アレルギーについて解説しています。

今日のテーマは、
『金属アレルギー治療の最前線:金属アレルギーは治るのか?』になります。

まず、金属アレルギーが治るのか?
という答えから説明したいと思います。

治療を行なえば、
金属アレルギーが100%完治することはありません。

しかし、治らないということでもありません。

その理由について解説します。

まず金属アレルギーがどのようなものか?
ということについて説明致します。

口腔内金属がアレルギーの原因となっている場合、
口腔内で使用された金属から溶け出したイオン(金属イオン)が
生体内に入り込み、それを生体が異物と認識します
これを感作と言います。

そして、
次に侵入してくる 金属イオンに対して
身体を守るために働く機能が「免疫」なのです。

金属アレルギー反応とは、
身体に侵入してくるイオン(金属イオン)から生体を守る
「防衛監視システム」なのです。

そのため、一度「感作」されると
原因物質(アレルギーを起こす金属)と接触するたびに
反応が起こってしまうのです。

それでは、金属アレルギーは治らないのでしょうか?

いいえ、
金属アレルギーの症状が治ることもありますし、
軽減することもあります。

事実、パッチテスト 等で金属アレルギーに陽性反応が認められた場合で、
口腔内金属を撤去することで
アレルギー症状が治る方もいらっしゃいます。

現在金属アレルギーと最も因果関係の高いと言われているが
「掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)」
という皮膚疾患です。

しかし、
金属アレルギー と アレルギー疾患 を確実に結びつける根拠は少なく、
口腔内金属を撤去した結果、
アレルギー症状が治ったとか
軽減した
ということしかいえないのも事実です。

しかし、口腔内金属を撤去することで症状の悪化を防ぐことにつながります。

以前のブログでも書きましたが、
金属アレルギーの症状を患者様に説明する際に、
以下のように説明をすることがあります。

「コップ」を人間の身体
「水」をアレルギーとなる物質(金属)
とします。

「コップ」に「水」を注ぎます。

コップが小さいと 水を少し入れただけでも
「水」はすぐに溢れてしまいます。

この溢れた状態が「金属アレルギー」が発症した状態です。

「コップ」が大きければ、
ある程度「水」を入れても溢れません。

しかし、「コップ」がいくら大きくても
注ぐ「水」の量が 大量に注がれた場合には、
「水」はすぐに溢れてしまいます。

「コップ」が非常に小さければ、
注ぐ「水」の量が極端に少なくても
「コップ」からすぐに「水」が溢れてしまいます。

金属アレルギーが発症する方は、
もちろん金属に触れることが前提となりますが、
「コップ」つまり、生体の許容量の大きさにもよります。

「コップ」の大きさは、人によって大きく変わります。
子供 と 大人でも違いますし、

全身的な状態や
生活環境によっても変わってきます。

体調が不良であったり、
睡眠不足が続いたり、
ストレスが続いたり、
食生活が乱れたり、
等 さまざまなことで「コップ」の大きさは変わってきます。

もちろん「コップ」を大きくすることも大切ですが、
「コップ」に入れる「水」の量を少なくすることが大切です。

「水」を「コップ」に入れない、
「コップ」に入れる「水」の量を少なくすること
が大切なのです。

つまり、
金属アレルギーの原因を
身体に入れないことが重要なのです。

そのため、口腔内金属を徹底して少なくすることが
症状の改善、軽減になりますし、
今以上の悪化を防ぐことにもなります。

金属アレルギーの症状の代表的なこととして
「ピアス」の使用による金属アレルギー反応があります。

ピアスは、皮膚を貫通して 皮下組織に直接金属部分が触れるため、
指輪 や ネックレス といった装飾品によりも起こりやすいです。

もし、ピアスによる金属アレルギーが疑われた場合には
当然のことながら「ピアス」の使用を止めますよね。
ピアスから流出する金属イオンが生体内に入り込まないようにすることが
最大の防御だからです。

口腔内金属も同様であり、
コップ(生体)に注がれる 水(金属イオン)を少なくしないと
金属アレルギー症状がどんどんと起こってしまうのです。

もちろん、
口腔内に使用されている金属の種類 や
治療してある歯の数、
被せ物の古さ、
口腔内にあった期間
によっても変わってくるでしょうし、
体調不良があったり、
睡眠不足が続いたり、
ストレスが続いたり
等の生活習慣も大きく影響してきます。

また、金属を多く含む食品の摂取によっても その効果は変わってきます。
金属アレルギー検査により高頻度で陽性反応が起こる「ニッケル」は、
チョコレートコーヒー に多く含まれています。

そのため、金属アレルギー症状の改善のためには、
口腔内金属の撤去だけでなく、
生活習慣、食生活習慣 ともに見直すことが必要になるのです。

金属アレルギーを治すためには、
口腔内金属を撤去し、
オールセラミック や レジン 等を使用した「ノンメタル治療」を行うことは
非常に有効ですが、
食生活 等の生活習慣を見直すことも必要なのです。

ちなみに 金属アレルギーの方は、タバコは禁止です。

タバコには4000種以上の物質が含まれています。

その中でも ニコチン や タール、一酸化炭素などは、
有害物質としてご存知のことと思います。
タバコにも「ニッケル」をはじめ金属アレルギーの原因物質が含まれているため、
禁煙が必要です。

次回もこの続きです。

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