金属アレルギー治療の最前線:オールセラミック

2015年 5月11日(月曜日)です。

このブログは「大船駅北口歯科 歯周病専門サイト」です。

久しぶりのブログです。
ゴールデンウィーク中頃から大風邪をひきまして、
とてもブログを書くこともできませんでした。

ほぼ4日間はなにも食べられず、
昨日ようやく少し食べれるようになりました。

今日はほぼ治ってきましたので、久しぶりのブログとなります。

今日のテーマは、
『金属アレルギー治療の最前線:オールセラミック』の話になります。

最近本当に金属アレルギーの患者様の来院が多いです。

また、金属アレルギーかどうか分からないが、
口腔内から金属を撤去して欲しいという方も本当に多くなりました。

金属治療は、世界的にも相当に減少してきています。

まず以下のデータから見ていきましょう。
スライド1

上記は、米国で、2007年と2013年に
歯科で使用された材料の内訳です。

固定性補綴物とは、
被せ物(差し歯)とか
ブリッジという物です。

メタルセラミックとは、
一般的にセラミックと言われる被せ物のことです。
メタルセラミックは、表面は白いセラミックなのですが、
セラミックだけだと強度が弱いので、内部に金属製のフレームを作製し、
そのフレームの表面にセラミックを焼き付けて作製されています。
そのため、セラミックといっても、内部や内側は金属製となります。
昔、セラミックをいれた という方の多くは、このタイプです。

オールセラミックとは、
金属を一切使用しない素材です。
今回の大きなテーマです。

次に
全部鋳造冠 です。
これは、被せ物が全てが金属で作製されているタイプです。
日本人の口腔内にはかなり大きくの全部鋳造冠が存在しています。
世界的にも非常に珍しい口腔内と言えます。

海外の方から見ると
日本人は、口を大きく開けると
ほんとの人に金属製の被せ物や詰め物が認められるので
不思議がられるものです。

他にもハイブリッドセラミック 等の素材も使用されていますが、
今回は、ほとんどを占める 上記の3種類で話をしていきます。

それでは、2007年のデータから見ていきましょう。
スライド2

2007年時点では、
メタルセラミックが65.3%
オールセラミックが23.9%
全部鋳造冠が    8.0%
という使用状況でした。

基本的にアメリカは、歯科は自費診療ですので、
被せ物に金属製を使用することはあまりありません。
また、審美性を非常に重要視する国ですので、
見える部位に金属を入れたがる方も少ないです。

日本ではまったく違うデータになりますよね。
日本は圧倒的に金属製が多いです。
日本で同じ時期にデータを取れば、
まあ95%は、金属を使用した固定性補綴物になるかと思います。

日本では以前より前歯は、保険で白い被せ物は作製可能でしたが、
表面はプラスチック製で、内部だけでなく、裏側も金属製がほとんどです。

ちなみに日本と同じ材質で治療している国は、
他国ではほとんど存在しません。

その一つが使用されている金属です。

世界的には、口腔内に使用される金属は、
金合金(金の含有率が75%以上)を使用することが一般的です。

しかし、日本保険制度では、
金の含有率を12%まで落としてあります。

日本で使用されてる金属は、12%パラジウム合金と言います。
ちなみに約50%は銀です。

これは、戦後歯科医療制度の中で、比較的安価に材料を設定するために
考案された一つの案であり、
それが長い年月変わりなく、引き継がれているのです。

日本の歯科の常識は、
世界では常識ではないのです。

日本の医療が世界で進んでいるなんて
歯科に限っていえば
違います。

話は、ちょっとずれてしまいましたので、
戻りましょう。

次のデータは、2013年の米国で作製された固定性補綴物の内訳です。
スライド3

メタルセラミックが16.9%
オールセラミックが80.2%
全部鋳造冠が    2.2%
という使用状況でした。

アメリカでは、2013年の時点で

金属を使用している被せ物は、わずかに2.2%しかなく、
日本で未だに使用されているメタルセラミックでさえ16.9%となっています。

ほとんどがオールセラミックとなっているのです。

これは後数年後になれば、
どうなるのでしょうか?

また、急激な変化が起こった理由はどこにあるのでしょうか?

その理由を大きく分けると以下になるかと思います。

1.患者様からのメタルフリーの需要が増加した
金属アレルーギーを避けたい
審美的な治療を行ないたい

2.近年のオールセラミックの成功率の高さ向上した

3.オールセラミックの技工費が格段に低下した

4.世界的に金合金の価格が高騰することで金属製治療の方が
圧倒的に高い治療となってしまった

5.オールセラミックは基本的にミリングマシンという器械が
オールセラミックのブロックを削りだしていくのですが、
この技術の急激な向上が高い精度のオールセラミックを可能にした。

6.今まで作製されていたメタルセラミック や 全部鋳造冠より
オールセラミックの方が作製が簡単であり、
歯科技工士の技術差が少なく作製が可能になった

今までの歯科で作製される被せ物は、
一つ一つが全ての行程で手作業であり、
1つ作製するのに非常に時間がかかり、
作製する歯科技工士によっても差が大きく現れるものでした。

しかし、現在の被せ物は、
コンピューター上で設計し、
セラミックのブロックを器械が削りだすという
方式をとっています。

今までは、たった一つの被せ物を作製するために
歯科技工所に依頼すると
5〜7日程度かかっていましたが、
今の作製方法ですと
本当に最短で言えば、セラミックを作製するのに
30分です。

部位によっても違いますが、
1歯だけの作製であれば、コンピューターで設計するのに5〜10分程度、
器械でセラミックを削りだすのに15〜20分程度です。

セラミックブロックは、自動的に器械(ミリングマシン)が削りだすので、
その間は、時間が自由に開きますので、
他の作業をすることができます。

このため、コストも圧倒的に下がりました。

当院でもセラミックを削りだす機械等を導入してから数年経ちますが、
コストも以前のメタルセラミックの半分になりました。

次回から続く、新しい金属アレルギーの話は、
今まで以上に新しい話を紹介したいと思います。

ちなみにコンピューター上でこんな感じでオールセラミック等を作製しています。

歯を削った型をコンピューター上に読み込みます。
スライド08

それを噛み合わせを確認するための
バーチャル咬合器という装置をコンピューター上で設定します。
スライド04

あとは、コンピューターが半分は、自動作製してくれます。
スライド05

スライド06

スライド07

その後、ミリンマシンというのがセラミックのブロックを削りだし、
最後に色合わせ等の細かい作業は、人の手になりますが、
完成したのが以下です。

スライド09

スライド03

口腔内に入れるとこんな感じです。
スライド02

以前は、こんな感じの治療が多かったですね。
スライド01

今後もちょっと忙しい日々が続きますので、
ブログも不定期になるかもしれませんが、
是非ご覧になって下さい。

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