なぜ 金属の詰め物は 取れるのか?:虫歯治療で行う 金属治療 の問題点!:その4
2014年6月9日(月曜日)です。
このブログは、歯周病に関するブログです。
現在は歯周病の内容ではなく、
オールセラミックの接着方法について解説しています。
このブログが始まって以来 毎週月曜日にアップしていましたが、
今年の4月から毎週 大学で講義を行うことになったため、
ブログの更新が不規則になると思います。
毎週ご覧になっていただいている方も多くいらっしゃるかと思いますが、ご理解いただければと思います。
できるかぎり毎週月曜日にアップしたいと考えております。
今日のテーマは、『なぜ 金属の詰め物は 取れるのか?:虫歯治療で行う 金属治療 の問題点!:その4』になります。
前回まで
今まで一般的に行われてきた金属製の詰め物は、
金属製の詰め物の 熱膨張係数の違いや
セメントと言われる物で着けているため、しっかりと歯とくっついているわけでないことから
取れやすく、
虫歯になりやすいことを解説してきました。
そのため、虫歯治療を行った後は、
オールセラミックでしっかりと接着することで
今まであった問題点を改善させることが可能になってきたことを解説してきました。
本日は、オールセラミックの問題点について解説します。
始めてこのテーマをご覧になる方は、
先に今まで3回分のブログを読まれてからの方がより良いと思います。
オールセラミック治療は、従来の虫歯とは大きく異なる治療です。
従来の虫歯治療は、
虫歯を削った部位に金属を詰めるわけですが、
この時に使用するのがセメントです。
セメントは 厳密に言えば、
歯や金属と接着しているのではなく、
歯と金属の間に介在して固まり、金属を動かなくしている材料です。
家の庭塀でよく使用されているブロックと同じようなものです。
ブロックでできた壁は、
ブロック同士をセメントという泥状のものを
ブロック間に介在させて固まらせて、固定させます。
これによりブロックでできた壁が維持されているのです。
歯科で使用する金属と歯の間にあるセメントも同じです。
セメントは、口腔内で長く使用していると劣化します。
口腔内は非常に過酷な環境であり、
唾液 や
咬合力(噛む力)、
金属の熱膨張 による収縮、膨張の繰り返し
等
によって容易に崩壊(セメントが砕け、溶ける)してしまいます。
セメントが崩壊することで、
歯と金属製の詰め物に隙間(すきま)ができ、
そこから唾液 や 汚れが侵入し、
金属内部で細菌が繁殖して、再度虫歯(2次カリエス)になってしまいます。
このことについては、5月12日の 2回目のブログで紹介しています。
セメントが崩壊することで
結果的に
詰め物が取れたり、
歯が欠けたりします。
また、詰め物が取れた場合、
細菌の侵入と繁殖により、
内部が虫歯がなっていることが多く、
再度治療を行うために、
さらに多くの歯を削ることになり、
場合により 虫歯が深いと神経を取り除く治療が必要になることもあります。
そうした問題点を解決するために行われているのが「オールセラミック治療」です。
オールセラミック治療は、歯とセラミックをしっかりくっつけるための接着方法を
があってこそ効果を発揮します。
樹脂含浸層 (じゅしがんしんそう)を介在することで
歯とセラミックが強固に接着し、
強度を増すことで、再び虫歯になることを抑制することが可能です。
このことについては、6月2日の3回目の時に詳しく解説しています。
また、金属を使用しないため、
審美的にも優れ、
金属アレルギーの原因にもなりません。
それでは、オールセラミック治療は万能な治療なのでしょうか?
なにか問題点はないのでしょうか?
オールセラミック治療にも欠点があります。
まず、オールセラミックは、レジンセメントで付けることで、
強固に歯と接着することが可能となります。
しかし、噛み合わせの問題 等から破損(壊れる)する可能性がないわけで
もありません。
しかし、もしセラミックが破損したとしても
再度セラミックを再製すれば良いことになります。
金属治療の場合、金属が取れると内部では虫歯になっていることが多く、
場合によっては、虫歯の進行が大きく、神経まで達していることもあります。
もし、神経を取るようなことになってしまえば、
歯へのダメージはさらに大きくなります。
歯を長く維持させるためには、
神経を取らない方が良いのです。
オールセラミックの他の欠点として、
保険が適応されないこともあります。
しかし、近年ではオールセラミックの費用も
以前と比較すると だいぶ安価になってきています。
以下は、オールセラミック治療についての成功率のデータになります。
シロナデンタルシステムズ株式会社が公表している臨床研究データによると、
従来法のセラミックインレー(部分的なセラミックの詰め物)
の15年後の残存率は約68%とされています。
つまり、従来のセラミックインレー(部分的なセラミックの詰め物)は、
15年後には約3分の1が破折、脱離 等のトラブルが発生しているという
結果です。
当医院で取り扱っている オールセラミック(セレック)の
15年後の残存率を調べた臨床研究によれば、
約93%と非常に高いデータがでています。
上記のようにオールセラミック(セレック)の臨床成績は、非常に高い
ものですが、それでも100%ということではありません。
こうした点もオールセラミック治療の今後の課題になります。
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