なぜ 金属の詰め物は 取れるのか?:虫歯治療で行う 金属治療 の問題点!:その3

2014年6月2日(月)です。
久しぶりのブログアップです。
このところとても忙しく、なかなかブログをアップすることができずにいました。

今日のテーマは、前回の続きです。
『なぜ 金属の詰め物は 取れるのか?:虫歯治療で行う 金属治療 の問題点!:その3』になります。

前回 と 前々回のブログでは、
金属製の詰め物 や 被せ物が
取れたり、再度虫歯になってしまうことの原因の一つとして、
歯質と金属の性質上の違いと
詰め物の接着方法にあることを解説してきました。

従来の治療方法では、
歯 と 金属製の詰め物 は、くっついているのではなく、
歯と金属製の詰め物の隙間をセメントで埋めて 取れないようにしているだけなのです。

そのため、歯と金属の間にあるセメントが崩壊(壊れたり、溶け出したり)すると
隙間ができて、
虫歯になったり、取れたりするのです。

それでは、そうした問題点を解決するためには
どうしたら良いのでしょうか?

金属治療 問題点の改善方法

虫歯を削った後には、
歯質と性状の近い材質(熱膨張係数の低い材質)を使用し、
きちんと 歯と接着させることが重要!

ポイント1:オールセラミックの使用(熱膨張係数が低い)

ポイント2:レジンセメントの使用(歯質とセラミックを強固に接着)

それでは、接着というのは、どんなことなのでしょうか?
少し難しい話になりますが、接着について簡単に解説します。

歯 と セラミックを くっつける(接着する)ためには、
接着剤を使用して くっつけることになります。

ここで問題となるのが
「本当に 歯 と セラミック がくっつくのか?」
ということです。

セラミックが長期的に維持するためには、
歯を削った部分とセラミックが接着していることが重要なのですが、
歯を削った部分は、象牙質という組織が見えており、
その組成は、
無機質が69%、
有機質18%
水分13%
となっています。

この水分を含んだ有機質が接着をしにくくしているのです。

セラミックは、「無機質」という組織です。
無機質と有機質を多く含んだ物を接着させることは簡単ではないのです。

歯 以外のことで接着について説明すると分かりやすいと思います。

例えば、プラスチック同士を
アロンアルファーのような接着剤で着けた場合、
しっかりとくっつく感じがしますよね。
金属 と 金属、
プラスチック と 金属 も
接着剤でくっつく感じがしますよね。

しかし、食べ物(例えば 肉 )と金属を接着剤でつけようとすると
しっかりとは くっつかない感じがすると思います。

肉は有機質で
金属は無機質だからです。

このように素材の違いによって
接着剤でくっつきやすい物もあれば、くっつきにくい物もあります。

ちなみに歯を削る前の表面(通常口を開けると見える歯の白い部分)は、
エナメル質と言い、
その成分は、
無機質が96%、
有機質が2%、
水分が2%
で象牙質と比較すると カラカラ に乾いており、
接着しやすい状態です。

歯を削った表面(象牙質)は、水分を含んだ有機質ですので、
非常に接着剤がくっつきにくい状態です。

だいぶ前から
セラミックを歯につける治療は行われていましたが、
現在の接着技術と比較すると
歯とセラミックをくっつけることは まだまだ劣っていました。
そのため、セラミックが破損することがありました。

近年 この接着技術は格段に向上してきたため、
以前と比較すると セラミックが破損することが少なくなってきています。

接着の話をすると 非常に複雑で難しい話になりますので、
できるかぎり簡単に説明したいと思います。

まず、象牙質表面を 接着剤がくっつきやすい状態にします。
「プライマー」という薬液を象牙質に塗ります。

簡単に話しますと、「プライマー」処理することにより、
表面が凸凹し、接着表面積が増えると思って下さい。

次に「ボンディング」という薬液を塗ります。
「ボンディング」は、
先程の「プライマー」処理により起った凸凹の内部に浸透していきます。
そして強固に固まります。

その結果、象牙質と「ボンディング層」が一体化します。

この一体化した状態の歯質を
「樹脂含浸層 (じゅしがんしんそう)」と言います。

この「樹脂含浸層 (じゅしがんしんそう)」
接着に大きく影響しているのです。

この上にレジン系の接着剤でセラミックを着けるのです。

ここまでをまとめます。

水分を含んだ有機質が含まれる象牙質とセラミックは
くっつきにくいので
象牙質に
「プライマー」
「ボンディング」処理することで
「樹脂含浸層 (じゅしがんしんそう)」ができます。

この「樹脂含浸層 (じゅしがんしんそう)」
接着剤(レジン系セメント)が強固にくっつくき
セラミックと一体化するのです。

また、セラミックとレジンセメントがくっつきやすくするために
シランカップリングという処理を
セラミック表面に行うことも必要です。

スライド1

次回も接着の続きになります。

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