唾液の分泌を促進するための方法:ガム法
2013年10月 7日(月曜日)です。
このブログは、口臭に悩む方のブログです。
口臭外来ブログは、暫くの間毎週月曜日アップ致します。
今日のテーマは、『唾液を分泌させるガム法』になります。
前回のブリグでは、
口臭予防を行うための歯磨きに有効なポイント
という話をしました。
ご覧になっていない方は、前回(9月30日)のブログをご覧になって下さい。
• 9月30日のブログ
唾液を失わないことが口臭にとって非常に重要なのです。
そこで本日は、唾液の分泌を促進するための方法:ガム法
について解説します。
ガム法とは、名前のとおりガムを噛むことで口臭を緩和させる方法です。
口臭減少にとって非常に効果が高い方法です。
もちろんガムの臭いで口臭を消すのではありません。
まずガム法の目的を列挙します。
目的1:口腔内緊張の緩和リハビリ
口臭が気になる方の中には、精神的不安をもっていることが多くあります。
精神的不安が持続すると会話が少なくなったり、呼気の臭いが気になるあまり口を閉じていることが多くなることがあります。
こうなると舌の動きが停滞します。
(舌が動かなくなります)舌の動きが鈍くなると唾液の流れが停滞し、唾液分泌も減少してきます。
また、口を閉じた状態(会話が少なくなると)では、舌の位置が以下のようになります。
通常、会話をしたり、口を開けたりする場合で、お口を少し閉じた状態では、以下のように上顎(口蓋)と舌にはある程度の隙間があります。
この図は顔を横から見たところです。
これは口臭が起こりにくい状態です。
しかし、会話をほとんどない状態(口を閉じた状態)が続いたり、口臭を気にするあまり、口を開けないようにしていたり、精神的不安が持続すると舌はあまり動かなくなり、唾液の分泌が少なくなります。
そして以下のように舌の位置は、上顎に近づき、上顎との隙間が少なくなります。
口を開ける回数が少なくなることもあり、喉の奥は酸素が少ない状態となります。
こうなると酸素が嫌いな嫌気性菌が繁殖しやすくなります。
嫌気性菌は、口臭の原因となるガスを発生します。
抗菌性のある唾液の分泌も減少するので、ますます菌の繁殖が増えていきます。
ガム法を行なうことにより舌の運動を強制的に行なうことが可能となり、口腔機能(舌機能)の改善をはかるのです。
目的2:安静時唾液流の確保
これも上記と同様に舌のガムを噛むことにより舌の動きが活発になります。
結果的に唾液の流れが起こり、口臭を緩和させることが可能となるのです。
目的3:舌苔(ぜったい)付着防止
食後の食べかすは、舌の上に残りやすいのです。
舌の上に残った食べかすにより舌が白っぽくなっているものを舌苔(ぜったい)といいます。
口臭が気になる方の多くは、舌の上に付着している舌苔を頻繁にブラシのようなもので除去している場合が多いのですが、これは絶対に避けなければいけません。
舌の上に付着した舌苔は、専用のスクレーパーというヘラで軽く取る程度にしないといけません。
舌苔を歯ブラシ等で擦ったりすると舌粘膜が傷つき、舌粘膜が炎症を起こし、剥がれ落ちた舌粘膜が口腔内に散らばり、細菌繁殖を起こし、口臭を悪化させます。
後で詳細は解説しますが、ガム法を行なうことで舌の上の付着している舌苔を取り除き、奇麗にすることが可能になります。
目的4:舌粘膜過敏の改善と口腔乾燥防止
ガム法を行なうことにより、舌の動きが活発になり、唾液の分泌が促進され、唾液の流れも行なわれるようになるため、口腔乾燥の防止になります。
目的5:口腔内pHの中性化
口腔内が酸性化すると口臭が起こりやすくなることは、さまざまなところで何回も解説してききたことです。
ガム法を行なうことにより唾液の分泌が促進され、口腔内のpHが中性化しやすくなります。
ガム法が有効な方
1.食後の口腔内不快感がある方
唾液緩衝能力の低い方や咀嚼能力の低い方に対して飲食後の唾液確保を可能にする。
2.緊張時口臭がある方
口腔内緊張の緩和リハビリ
3.安静時唾液流量の低い方
水の摂取と並行して安静時唾液を確保する
4.喫煙者、コーヒー愛好者
喫煙後、コーヒーを飲んだ後の舌表面への付着物を取り除く
5.口呼吸の是正と舌苔が気になる方
6.咀嚼機能が低下している方
それでは、ガム法の目的がだいたい分かったところで具体的なガム法の使用方法について解説します。
まず、食後にお口直しを行なって下さい。
お口直しは、唾液を損失させず、口腔内に残存した食べ残しを効果的に除去する非常に有効な方法です。
口臭が気になる方は、食後に必ず行なって下さいね。
お口直しの方法については、以下を参考にして下さい。
お口直し
お口直し後にガムを噛みます。
通常どおり噛んで下さい。
そして、ここからがポイントです。
味がなくなったガムは、捨てずにそのまま口腔内に保持しておきます。
ガムを丸くして絶対に噛まずに残しておきます。
会話をする時には、ガムを上顎の奥歯の頬側に入れておきます。
ほっぺたと奥歯の間に挟んでおくのです。
結構落ちないでそのまま頬と奥歯の間に保持されます。
そして、会話をしない時には、舌の上でコロコロとガムを転がします。
舌の上でガムを転がすことにより、舌の上を奇麗にするのです。
そして、会話や水を飲む時には、再度ガムを上顎の奥歯と頬の間に挟みます。
決して噛んではいけません。
味がなくなった後は、まるめて舌の上でコロコロと転がすだけです。
絶対に噛まないことが大切です。
口腔内に異物(ガム)があることにより 唾液分泌反射が起こることを利用しているのです。
また、この時に使用するガムは、一般的なガムではありません。
一般的に販売されているガムは、噛んでいると柔らかくなってしまい、長時間形態を丸く保持させることが難しいのです。
もちろん加糖入りのガムはダメですよ!
次回の口臭ブログは、10月21日(月)になります。
10月14日は祝日のため、ブログも休みです。
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