上顎臼歯部に十分な骨の高さがないために、特殊な治療を行う場合のレントゲン診査:1

はじめに

上顎臼歯部にインプラントを行う際に、骨の高さが十分ないケースは非常に多く認められます。
そのような場合にはソケットリフト法やサイナスリフト法等(詳細は“インプラントの特殊な治療”の項目を参考にして下さい)の特殊な治療を行うことになります。
このような場合は通常の診査以上に厳密な診査が必要になってきます。症例3は上下顎の奥歯に歯がないため義歯を装着していましたが、義歯による違和感のためインプラントを希望して来院しました。しかし、インプラントを埋入するための骨の高さがないためにソケットリフト法と親知らずが存在する場所(臼後結節部)に斜にインプラント埋入するための計画をたてました。
症例3はその診査法についてお話します。

症例3:ソケットリフト法および臼後結節部を応用する場合のレントゲン診査

写真1は初診時のレントゲンで、写真2はインプラントを埋入するために必要な位置を表した写真です。
白い線はインプラントが埋入できる骨の高さを表しています。奥歯ではインプラントを埋入するための高さが存在しないのがわかるかと思います。
そこでソケットリフト法および赤丸○で囲まれた親知らずの部分(臼後結節部)にインプラントを斜に埋入する治療計画をたてました。ソケットリフト法については“インプラントの特殊な治療 ”の項目を参考にして下さい。
この状態でインプラント治療が続きます。審美性、機能性に問題があることはありません。

症例3:外科用ステントにおけるレントゲン診査

症例1、2と同様に診断用ワックスアップから外科用ステントを作製し、口腔内に装着し、レントゲン写真(オルソパントモグラフィー)を行ったところです。
オルソパントモグラフィーは約10~30%程度拡大されて撮影されるため金属製のピン(今回は12mmの長さを使用)の拡大率をレントゲン上から計測し、実際の骨の高さを計算します。親知らずの部分(臼後結節部)には金属製のピンが2本斜に装着されており、この間にインプラントを斜に埋入することになります。

外科用ステントで得られた情報をもとにして骨の高さ等の診査を行いインプラントの埋入シュミレーションを行います。

症例3:治療終了後の状態