院内感染
院内感染とは、院内において体内に侵入した微生物によって引き起こされる感染症のことです。
医療行為によって感染する機会は考えられます。しかし、注意することにより十分防げるものです。
最近、院内感染という言葉を耳にするとことがあるかと思います。
院内感染とは、院内において体内に侵入した微生物によって引き起こされる感染症のことです。医療行為によって感染する機会は考えられます。しかし、注意することにより十分防げるものです。感染予防対策として
- 使用する(使用した)器具および診療周囲に対する感染予防対策
- 医療従事者に対する感染予防対策
があげられます。(1)および(2)を徹底することにより患者さんへ感染することを防ぐことができるのです。
ここでは実際の歯科診療における感染予防対策についてお話します。
詳細な内容は「院内感染の基礎知識」を参考にして下さい。
感染予防対策
通常私達が診療で使用した器具は超音波洗浄を行い、高圧蒸気滅菌器(写真1)という装置を使用して滅菌します。これは飽和蒸気中で121℃、2気圧で、30分間の器具の滅菌を行います。医療機関でもっとも良く行われている確実な滅菌法です。化膿球菌やMRSA、 B型肝炎ウイルス、AIDSウイルスなどはこの高圧蒸気滅菌を行うことにより器具を滅菌します。
治療で使用した金属製の器具は全てこの滅菌法を使用します。その後この状態を維持するために紫外線殺菌器(写真2)高圧蒸気滅菌に入れ、使用する直前まで保管されます。
プラスチック製品、ゴム等の金属以外の器具はグルクールアルデヒド(写真3)という薬液消毒を行います。 2%グルタールアルデヒドは非常に優れた殺菌カをもています.ブドウ球菌や芽胞を数分間で死滅させ、HBウイルスやAIDSウイルスで汚染された器具の消毒にも信頼のできる薬剤です.
また歯を削るタービン(写真4)という器具は何十年か前は滅菌が困難でしたが、現在は患者さん1人ごとにタービン滅菌器(写真5)により滅菌が可能となっています。
こうしたことにより現在治療で使用した器具によって感染することはありません。それ以外にも針やメス、注射針、縫合糸はもちろんのこと紙コップ、エプロン、グローブ等もすべて使い捨てとなっています。(写真6)
基本的な器具の滅菌と管理によって治療行為による感染は防げるのです。
治療中の歯科医院でどのような感染予防対策を行っているかが不安な場合は直接聞いてみると良いでしょう。
医療行為による感染は器具から起こるだけではありません。
使用する材料からも起こる可能性はあります。
肝炎ウイルスの感染で問題となったフィブリノーゲンやヤコブ病で問題があった脳硬膜等の生体材料がその一つです。
現在医療の現場では生体材料が多く使用されています。他人体からのもの、牛、豚等です。一部の生体材料から問題があったからと言って他の全てに問題があるとはもちろん思いませんが、歯科に限れば生体材料以外に選択肢があればあえて生体材料を使用する必要性はないと考えています。歯周病で失った骨を再生させる方法としてPRP「PRPの項参照」を使用しているのもその一つの考えです。
歯科診療に限って言えば、基本的な器具の滅菌と管理によって治療行為による感染は防げるのです。
治療中の歯科医院でどのような感染予防対策を行っているかが不安な場合は直接聞いてみると良いでしょう。感染予防対策を聞くことは決して失礼なことではありません。きちんとしている医院であれば的確に答えてくれるでしょう。