よくある質問
5. 子供の口臭Q&A
Q.5-5 口呼吸の改善方法
A:口呼吸を治すトレーニングとして、
最も簡単なのはガム法です。
ガム法については後で詳細を記載しますので、
口呼吸を治したい方は是非試して下さい。
ちなみに単にガムを噛めば良いのではありません。
次に寝方です。
仰向けで寝ます。
早期に離乳した子は、母乳を吸引するときに鍛えられるはずの口の筋肉が十分に発達せずに口を開くことが多いのです。
そのため、左右のどちらか片側で噛むことが多くなり、
噛癖側を下にして眠る傾向があります。
良い寝方は、低い枕を使用し、仰向けで寝ます。
次に食事方法です。
和食を中心とした食事を心がけて下さい。
ハンバーグやカレー、パスタ等の洋食は、比較的軟らかい内容が多く、
咀嚼回数が少なくなります。
和食は、食物繊維が多く含まれる食品が多いため、
必然的に咀嚼回数も増えていきます。
また、野菜等は、多少大きめで、固めに調理することでも咀嚼回数を増やすことができます。
そして、左右の歯で均等に(片噛をしない)噛むことも重要です。
噛む回数はできるかぎり多く
一口につき30回以上が理想的です。
それではガム法について解説します。
ガム法とは、名前のとおりガムを用いることで口臭を緩和させる方法です。
口臭減少にとって非常に効果が高い方法です。
もちろんガムの臭いで口臭を消すのではありません。
ただし、ガムをまだ噛めない幼児には適していません。
まずガム法の目的を列挙します。
目的1:口腔内緊張の緩和リハビリ
口臭が気になる方の中には、精神的不安をもっていることが多くあります。
精神的不安が持続すると会話が少なくなったり、呼気の臭いが気になるあまり口を閉じていることが多くなることがあります。
こうなると舌の動きが停滞します。(舌が動かなくなります)
舌の動きが鈍くなると唾液の流れが停滞し、唾液分泌も減少してきます。
また、口を閉じた状態(会話が少なくなると)では、舌の位置が以下のようになります。
通常、会話をしたり、口を開けたりする場合で、お口を少し閉じた状態では、以下の図1のように
上顎(口蓋)と舌にはある程度の隙間があります。
この図は顔を横から見たところです。
これは口臭が起こりにくい状態です。
しかし、会話をほとんどない状態(口を閉じた状態)が続いたり、
口臭を気にするあまり、
口を開けないようにしていたり、
精神的不安が持続すると
舌はあまり動かなくなり、唾液の分泌が少なくなります。
そして下の図2のように
舌の位置は、上顎に近づき、上顎との隙間が少なくなります。
口を開ける回数が少なくなることもあり、喉の奥は酸素が少ない状態となります。
こうなると酸素が嫌いな嫌気性菌が繁殖しやすくなります。
嫌気性菌は、口臭の原因となるガスを発生します。
抗菌性のある唾液の分泌も減少するので、ますます菌の繁殖が増えていきます。
ガム法を行なうことにより舌の運動を強制的に行なうことが可能となり、口腔機能(舌機能)の改善をはかるのです。
目的2:安静時唾液流の確保
これも上記と同様に舌のガムを噛むことにより舌の動きが活発になります。
結果的に唾液の流れが起こり、口臭を緩和させることが可能となるのです。
目的3:舌苔(ぜったい)付着防止
食後の食べかすは、舌の上に残りやすいのです。
舌の上に残った食べかすにより舌が白っぽくなっているものを舌苔(ぜったい)といいます。
口臭が気になる方の多くは、舌の上に付着している舌苔を頻繁にブラシのようなもので除去している場合が多いのですが、
これは絶対に避けなければいけません。
舌の上に付着した舌苔は、専用のスクレーパーというヘラで軽く取る程度にしないといけません。
舌苔を歯ブラシ等で擦ったりすると
舌粘膜が傷つき、
舌粘膜が炎症を起こし、
剥がれ落ちた舌粘膜が口腔内に散らばり、細菌繁殖を起こし、
口臭を悪化させます。
後で詳細は解説しますが、ガム法を行なうことで舌の上の付着している舌苔を取り除き、奇麗にすることが可能になります。
目的4:舌粘膜過敏の改善と口腔乾燥防止
ガム法を行なうことにより、 舌の動きが活発になり、 唾液の分泌が促進され、 唾液の流れも行なわれるようになるため、 口腔乾燥の防止になります。
目的5:口腔内pHの中性化
口腔内が酸性化すると口臭が起こりやすくなることは、
さまざまなところで何回も解説してききたことです。
ガム法を行なうことにより唾液の分泌が促進され、
口腔内のpHが中性化しやすくなります。
口腔内の中性化、唾液の緩衝能力についての詳細は、
唾液の緩衝能力を参考にして下さい。
それでは、ガム法の目的がだいたい分かったところで 具体的なガム法の使用方法について解説します。
まず、食後に「お口直し」を行なって下さい。
この「お口直し」は本当に大切です。
お口直しは、唾液を損失させず、口腔内に残存した食べ残しを効果的に除去する非常に有効な方法です。
口臭が気になる方は、食後に必ず行なって下さいね。
ただし、年齢によっては、難しいこともあるので、子供の年齢等によって対応は変わります。
「お口直し」は以下のように行います。
お口直しの方法
食後の食べかすは、
歯の隙間に約10%
舌の上や頬等の粘膜に約90%
残っているのです。
そのため、粘膜や舌の汚れを取り除くことが口臭予防にとって非常に重要なのです。
飲食後に口に水を軽く含みます。
軽くブクブクとし、頬と歯肉についた食べかすを取り除き、
その水を飲み干して下さい。
次に再度水を口に含みます。
そして舌を口蓋(こうがい:上顎の真ん中の天井の部分)に擦り付けて洗って下さい。
舌の上には、食べかすが多く残ります。
これを取り除くことが目的です。
そしてその水も飲み込んで下さい。
この作業を味や臭気がなくなるまで行ないます。
通常2~3回程度行なうと汚れは取り除かれ、臭気は減少します。
口に含んだ水は、飲んだ方が良いです。
吐き出しても良いですが、吐き出すと唾液を失うことになりますので、
できるかぎり飲み込んだ方が良いです。
この後、ガム法を行います。
まず通常どおりガムを噛んで下さい。
そして、ここからがポイントです。
味がなくなったガムは、捨てずにそのまま口腔内に保持しておきます。
ガムを丸くして絶対に噛まずに残しておきます。
噛まないというのが最大のポイントです。
味がなくなった時点で絶対に噛まずに丸めて舌の上で保持するのです。
会話をする時には、ガムを上顎の奥歯の頬側に入れておきます。
ほっぺたと奥歯の間に挟んでおくのです。
結構落ちないでそのまま頬と奥歯の間に保持されます。
そして、会話をしない時には、舌の上でコロコロとガムを転がします。
舌の上でガムを転がすことにより、舌の上を奇麗にするのです。
そして、会話や水を飲む時には、再度 ガムを上顎の奥歯と頬の間に挟みます。
決して噛んではいけません。
味がなくなった後は、まるめて舌の上でコロコロと転がすだけです。
絶対に噛まないことが大切です。
口腔内に異物(ガム)があることにより 唾液分泌反射が起こることを利用しているのです。
「丸めたガムを舌の上でコロコロとガムを転がす」
これが最大のポイントです。
もちろん加糖入りのガムはダメですよ!
シュガーレスガムです。
推奨するガムとして
口臭予防を目的として専用のガムがあります。
ブレスコントロールガムです。
当医院でも販売していますので、ご希望の方は受付にお声をかけて下さい。